サンハウス
鮎川誠が在籍していたことで知られるサンハウスは1970年に福岡で結成されました。福岡と言えば、ARB、モッズ、ルースターズなどをはじめとし、多くのロックバンドを輩出した土地柄ですが、その多くがサンハウスの影響下にあるといえます。
因みに1970年と言えば日本ではロックの黎明期で、京都で村八分が結成され、東京では はっぴいえんど がデビューした年になります。
サンハウス結成当時のメンバーは、菊こと柴山俊之 (Vo)、鮎川誠 (Gu)、篠山哲雄 (Gu)、後藤龍一 (Ba)、浦田賢一 (Dr)でした。
が、サンハウスはメンバーチェンジの多いバンドで、メジャーデビューを果たした1975年時には、ベースが後藤龍一から浜田卓を経て奈良敏博に、ドラムスが浦田賢一から鬼平に代わっています。

サンハウス
メジャーデビュー前の1975年1月15日に自主制作盤としてシングル「地獄へドライブ/キングスネークブルース」をリリース。

地獄へドライブ/キングスネークブルース
それから半年後、満を持して1975年6月25日にサンハウスはメジャーデビューを果たします!
有頂天
1975年6月25日にデビューシングル「ロックンロールの真最中/レモンティー」とファースト・アルバム「有頂天」を同時リリース。
先の「地獄へドライブ」と「キングスネークブルース」も収録されたアルバム「有頂天」は一部で大きく注目されました。
なぜ一部かというと、そもそも当時の日本のロック市場があまりにも小さかったからなんですよ。

有頂天
バンド名はアメリカのブルース歌手、サン・ハウスからとられています。だからなのか何なのかジャケットのアメリカンなイラストもその辺からきているのでしょうか?インパクトはあるものの、ちょっと意味不明で奇妙なジャケットではありますが、今となっては実にサンハウスらしいです。
で、中身は最高です。多くのバンドに影響を与えたのも頷けます。サンハウスの代表曲であり、バンド解散後に鮎川誠が結成したシーナ&ザ・ロケッツで再び取り上げた「レモンティー」は広く知られています。
シーナが歌う「レモンティー」も良いですが、菊の歌うオリジナルはひと味違いますね。さすがオリジナルというべきでしょうか。
サンハウスは日比谷野外音楽堂にてデビューライブを行い少しづつその名を知られていくことになります。
仁輪加
ちょうど一年後の仁輪加 1976年6月25日にセカンド・アルバム「仁輪加」がリリースされています。アルバム・ジャケットに描かれているのは地元の博多っ子には見慣れた博多仁輪加の面。インパクトはあるとはいえ、やはり意味不明でヘンなジャケットです。が、これもまたサンハウスらしいなと思いますね。

仁輪加
当時としてはかなり過激な内容の歌が多いサンハウスではありますが、このアルバムで聴かれる孤独な胸の内を綴った「ふっと一息」や「雨」といった内省的な歌はとても素晴らしいです。菊という人はナイーブなんだろうなぁと思いますね。
この感性があってこそ、攻撃的な歌が生まれてくるのでしょう。
サンハウスというと、どうしても菊と鮎川誠に目が行ってしまいがちですが、「爆弾」なんかを聴くとベース、ドラムスも素晴らしいですね。
ドライヴ
3枚目にしてラストアルバムとなった「ドライヴ」は、1978年3月25日にリリースされました。
代名詞の「キングスネークブルース」から始まるスリルに満ちたライブアルバムで、ライブバンドとしての本領をいかんなく発揮しています。

ドライヴ
サンハウスに限らず、この時期のライブ映像が残っているアーティストというのは奇跡的だと思います。残念ながら「ドライヴ」ではないのですが、サンハウスの当時のライブ映像がYouTubeにアップされていますので是非見てみてください!
1975年のライブですが、デビュー直後の動画が現在こうして観れるというのは幸せなことだなぁと思いますね。
サンハウスは「ドライヴ」の発売日である1978年3月25日に解散を発表しています。
STREET NOISE
サンハウス解散後、悪名高きマネージャー柏木省三のプロデュースによって10インチサイズのレコードとして1980年にリリースされた「STREET NOISE」。
ルースターズ及び大江慎也のファン方面では特に毛嫌いされている感のある柏木省三。その柏木省三が関わっているとなると全くもって期待できないという方も多いかと思いますが(私だけ?)、ところがどっこい「STREET NOISE」はアルバムカバーとも相まって実に素晴らしい!
もしかすると、これこそがサンハウスの最高傑作と言えるかもしれません。なんと言っても収録曲は捨て曲なしの粒揃いですからねぇ。

STREET NOISE
後にシーナ&ザ・ロケッツで鮎川誠が歌う「i love you」が収録されているのも嬉しいところです。この曲、もっと注目されても良いと思うのですけどね。ポップというかキャッチーというか、最高のナンバーですよ。
この後に何度か再結成されアルバムもライブや未発表音源がリリースされています。それらも聴きごたえ十分ですので、興味のある方は是非ご一聴ください。
最初に書いたようにサンハウスはメンバーチェンジの多いバンドで、結成時から解散まで在籍していたのは菊(柴山俊之)と鮎川誠のみで、総人数は11名にもなります。
時代が時代だったなら大々的にブレイクできたのかもしれませんが、不遇ではあったとはいえ、この時代だったからこそ、この時代に頑張りぬいたからこそ、日本のロック史に名を残したとも言えるのかもしれませんね。