80年代初頭、話題を呼んだ「めんたいロック」。あんまりなネーミングだがカテゴライズされているバンドは、ピリリと辛い曲者揃い!

80年代初頭、話題を呼んだ「めんたいロック」。あんまりなネーミングだがカテゴライズされているバンドは、ピリリと辛い曲者揃い!

福岡出身ということで、博多の名物にひっかけて「めんたいロック」と呼ばれたムーブメントが80年代初頭にありました。「めんたいロック」とは脱力するようなネーミングですが、カテゴライズされているのはザ・モッズ、ルースターズにロッカーズ。シーナ&ザ・ロケットやARBなど一癖も二癖もあるピリリと辛いバンドばかりです!


めんたいロック

80年代初頭、福岡県から立て続けに生きのいいロックンロールバンドがデビューし、ひとつのムーブメントとなりました。福岡といえば、生きが良いといえば、そうです、今も昔も明太子!ということで、同時期に福岡から登場したバンドのことを、誰が名付けたのか「めんたいロック」と呼んだのでした。

音楽的な特徴としては、3分にも満たないような短い曲を、キャッチーなメロディーとビートに乗せていたことでしょう。その代表格が、ザ・ロッカーズです。

ザ・ロッカーズ

現在は俳優、タレントとして活躍している陣内孝則が在籍していたことで知られるザ・ロッカーズは、1980年「黒い眼をしてU.S.A」でデビューしています。

今の眼で見るとそうでもないものの、当時は衣装からステージングまでとても派手で、特にギターの鶴川仁美の金髪やメイクは珍しく目立っていました。

陣内孝則(ボーカル)
谷信雄(ギター)
鶴川仁美(ギター)
穴井仁吉(ベース)
船越祥一(ドラムス)

Th eRockers

とにかく曲が短く、そして速い。チープでトリッキーなロックンロールをこんなにもカッコよく演奏できたのはザ・ロッカーズだけでした。
めんたいロックの中心バンドとして注目され、当時は他のバンドと比べ最もセールスが良かったにも拘らず、現在までフォロワーを生まないのは個性が際立っているからでしょう。

ザ・モッズ

60年代のイギリスではモッズ、ロッカーズという独特のライススタイルを持った若者文化が誕生しましたが、福岡にもロッカーズとモッズがいました。
面白いことに、どちらかと言えばザ・ロッカーズのファッションはモッズで、ザ・モッズの方がむしろロッカーズっぽいんですよね。

ただ、共にパンクの影響を受けて出てきたバンドということでは共通しています。

ザ・モッズのデビュー曲は「崩れ落ちる前に」で1981年6月21日のリリースでした。

森山達也(ボーカル・ギター・ブルースハープ)
苣木寛之(ギター・ボーカル)
北里晃一(ベース・ピアノ・ボーカル)
梶浦雅裕( ドラムス)

ザ・モッズ

「めんたいロック」と呼ばれるバンドの中でも、デビュー当時の曲作りの上手さではトップだったのではないでしょうか?!パンキッシュな出で立ち、音作りの中に、キラリと光るポップなセンスが魅力的です。

デビュー曲から4ヶ月後の10月にリリースされたセカンド・シングル「ゴキゲンRADIO」は、タイトル通りまさにご機嫌な1曲です!

ザ・ルースターズ

1980年11月にシングル「ロージー/恋をしようよ」でデビューしたザ・ルースターズ。1988年に解散しているにも関わらず、今でも多くのフォロワーを生んでおり、リスペクトするプロのミュージシャンも多くいます。

「ロージー」はスカのリズムを持った曲ですが、当時の日本の音楽シーンにスカを演奏するバンドはほとんど居ませんでしたし、スカという言葉自体浸透しておらず、このリズムがスカだということを知らずに聴いていたリスナーがほとんどだったと思われます。

それにしてもカッコイイ曲。いまだに色あせることのない名曲と言っていいでしょう。

大江慎也 (ボーカル、ギター)
花田裕之 (ボーカル、ギター)
井上富雄 (ベース)
池畑潤二 (ドラムス)

THE ROOSTERS

しかし、「ロージー」よりも衝撃的だったのはカップリング曲の「恋をしようよ」の方だったかもしれないですね。何が衝撃的かと言うと、性急なロックのリズムに乗って歌われる男の本音、下心まる出しの歌詞です。
彼女がいくらオシャレをしてきても、そんなことは気にしていない、俺はお前とやりたいだけなんだ!というストレートすぎるその内容に度肝を抜かされた男どもは数知れません。

ドライブするリズム隊と大江慎也のぶっきらぼうなボーカルが最高です!

シーナ&ザ・ロケット

ザ・ロッカーズ、ザ・モッズ、ザ・ルースターズがほぼ同時期にデビューしたことで福岡が注目されるようになったのですが、この3バンドに大きな影響を与えた福岡のバンドがあります。

サンハウスです。

菊(ボーカル、ハーモニカ)
鮎川誠(ギター)
篠山哲雄(ギター)
奈良敏博(ベース)
鬼平(ドラムス)

サンハウス

1975年にシングル「地獄へドライブ/キングスネークブルース」でサンハウスはデビューしています。菊こと柴山俊之の歌詞とボーカルスタイル、鮎川誠のギターは当時の福岡のアマチュア・バンドに絶大な影響を与えました。

サンハウスは1978年3月に解散し、その年の10月に鮎川誠はシーナ&ロケッツとして「涙のハイウェイ」で再デビューします。
「レモンティー」は、シーナ&ロケッツでも定番曲としてライブでは必ず演奏されていましたね。

因みに、デビュー当時は「鮎川誠&シーナ・ロケット」です。

シーナ (ボーカル)
鮎川誠 (ギター・ボーカル)
浅田孟 (ベース)
川嶋一秀 (ドラム)

シーナ&ザ・ロケッツ

ベースの浅田孟 、ドラムの川嶋一秀は、共にサンハウスの後期メンバーですし、シーナ&ザ・ロケットの作詞の多くは柴山俊之が提供していたこともあり、基本的にはサンハウスの流れを受け継いでいます。
大きな違いはサンハウスよりもポップになっており、デビュー当初はYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の協力得たことでテクノの要素が加わったことでしょう。

1979年にはYMOの細野晴臣プロデュースによるシングル「ユー・メイ・ドリーム」が大ヒットし、シーナ&ザ・ロケットの名前は広く浸透しました。

アレキサンダー・ラグタイム・バンド

最後にもうひとバンドご紹介しましょう。アレキサンダー・ラグタイム・バンド、後のARBです。
デビューは、1978年のシングル「野良犬」でした。当時のバンドとしては珍しくキーボードが入った5人組だったんです。

石橋凌(ボーカル)
田中一郎(ギター)
KEITH(ドラムス)
宮城伸一郎(ベース)
エンマ(キーボード)

ARB

ARBもルースターズと並び、非常にメンバーチェンジの多いバンドでした。
ファースト・アルバムのリリース後、早々にベースとキーボードが脱退し、代表曲である3枚目のシングル「魂こがして」は、石橋凌、田中一郎(ベース兼務)、KEITHの3人編成となっています。

ARBも後半は武道館や国立代々木第一体育館といった大きな会場でライブを行うようになっていましたし、デビュー当時はセールス的に恵まれていなかった「めんたいロック」と呼ばれていたバンドは、みんな日本のロック史に名を刻むような存在となっています。

この後、BOØWYやバービーボーイズ、レベッカなどが出てくるわけですが、「めんたいロック」とは日本のロックがメジャーになるきっかけのようなムーブメントだったのでしょうね。

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