【プロ野球】最多負け越し記録!チームの暗黒期を支えた名投手たち6選

【プロ野球】最多負け越し記録!チームの暗黒期を支えた名投手たち6選

今回注目するのは、投手の「最多負け越し記録」。この記録を作るには、チームの主力投手として登板数が多く、なおかつチームが低迷して敗北数も多い必要があります。実際に名を連ねるのは、タイトルを獲得するほどの名投手ばかり。今回は、1970年以後、年間11敗以上負け越している6投手を見てみます。


【負け越し13】山内新一(南海)3勝16敗

1978年 成績

3勝16敗 防御率4.91




山内新一は、元々は読売ジャイアンツの投手で、1973年のオフ、富田勝とのトレードで南海ホークスに移籍します。巨人では4年間でわずか14勝でしたが、南海では "野村再生工場" で、移籍初年にいきなり20勝を記録。その後も南海のエースとして、毎年二桁勝利を挙げる活躍を見せ、1976年には二度目の20勝を記録しました。



しかし、野村が南海を去った1978年は、チームの低迷とともに山内の記録も低迷。4月5日には日本ハム戦で完封勝利を挙げますが、その後は11連敗を喫します。エースとして一年間フルに登板するも、成績はなんと3勝16敗前々年20勝した投手が、13も負け越す屈辱的な結果となりました。防御率はリーグ最下位の20位で、チームもまた前後期ともに最下位でした。



1984年には阪神タイガースに移籍。優勝した1985年には5試合に登板し、1勝を挙げています。その年に引退しました。

山内 新一(阪神タイガース) | 個人年度別成績 | NPB.jp 日本野球機構

【負け越し12】河原明(西鉄)4勝16敗

1971年 成績

4勝16敗 防御率5.45




河原明は、1967年のドラフト1位で西鉄ライオンズに入団。東尾修の1年先輩で、1969年には2年目ながらエース池永正明に次ぐ12勝を挙げます。1970年の黒い霧事件以後は、東尾と二人で投手陣を牽引。しかし、その1970年は13勝19敗とリーグ最多敗(東尾は11勝18敗)、そして、1971年には、初戦こそ勝利を挙げるも4勝16敗と、東尾の8勝16敗と並んでリーグ最多敗を記録してしまいます。規定投球回数をクリアした投手の中で、防御率はダントツの最下位(23位)でした。



1975年には、江藤慎一とのトレードで、大洋ホエールズに移籍しますが、故障などあり、その年に引退しました。

河原 明(大洋ホエールズ) | 個人年度別成績 | NPB.jp 日本野球機構

【負け越し12】清俊彦(近鉄)5勝17敗

1973年 成績

5勝17敗 防御率4.71




清俊彦は、元々は西鉄ライオンズの選手でしたが、1968年に近鉄バファローズに移籍。すると、初年度から頭角を現し、1969年には18勝7敗 勝率.720最高勝率のタイトルを獲得します。1972年には19勝14敗 防御率2.36で、最優秀防御率のタイトルも獲得。鈴木啓示に次ぐチームのエースとして、投手陣を牽引しました。



しかし、タイトルを獲得した翌1973年に、チームは低迷。チームが最下位に転落しただけでなく、自身の記録も5勝17敗と大きく負け越す結果となりました。防御率は、前年1位からまさかの最下位(25位)に転落。その後は登板数が減り、1976年に阪神に移籍するも、シーズン半ばに引退しました。



2017年11月15日、肺炎のため、72歳で亡くなっています。

清 俊彦(阪神タイガース) | 個人年度別成績 | NPB.jp 日本野球機構

【負け越し12】佐々岡真司(広島)5勝17敗

1993年 成績

5勝17敗 防御率4.33




佐々岡真司は、1989年ドラフト1位で広島東洋カープに入団。ルーキーの1990年には、チーム最多の13勝、17セーブを挙げ、1年目から先発、抑えに大活躍します。そして、キャリアハイとなる2年目の1991年は、17勝9敗 防御率2.44で、最多勝利、最優秀防御率のタイトルを獲得。チームはリーグ優勝し、セ・リーグのMVP、沢村賞投手として表彰されました。



しかし、そのわずか2年後の1993年、チームは、4月こそ開幕6連勝、11勝4敗と首位を独走しますが、達川光男捕手が前年引退した影響が大きく、その後は最下位まで転落。佐々岡はリーグ最多の17敗を喫し、まさかの防御率最下位となってしまいました。



その後も広島の主力投手として、1996年、1997年には抑え投手として活躍。1999年5月8日の中日戦では、プロ野球史上67人目のノーヒットノーランを達成しています。プロ通算18年間、広島一筋で、2020〜2022年には監督も務めました。

佐々岡 真司(広島東洋カープ) | 個人年度別成績 | NPB.jp 日本野球機構

【負け越し11】森繁和(西武)5勝16敗

1979年 成績

5勝16敗7S 防御率4.51




西武ライオンズが誕生したのが1979年。その前年ドラフト1位で西武に入団し、チームの一年目を担った一人が森繁和です。開幕2戦目の近鉄戦に先発登板しますが、4回途中でKO。開幕から6連敗で、初白星を挙げたのは5月9日の南海戦でした。規定投球回数に到達したのは、松沼兄、東尾、森の3人で、森は16敗を喫し、防御率はリーグ20位。西武の初年度は、総合成績43勝73敗12分と最下位に終わりました。



その後はチームの躍進とともに成績を伸ばし、1983年には抑えの切り札として活躍。5勝5敗34セーブで最優秀救援投手のタイトルを獲得し、チームの日本一に貢献しました。



引退後は、監督・コーチとして活躍。2004年からは中日ドラゴンズの名コーチとして、落合博満監督を支え、4度のリーグ優勝、1度の日本一を達成しました。

森 繁和(西武ライオンズ) | 個人年度別成績 | NPB.jp 日本野球機構

【負け越し11】森口益光(南海)3勝14敗

1980年 成績

3勝14敗0S 防御率5.47




森口益光は、山内新一らとともに、暗黒時代の南海ホークスを支えた投手の一人です。野村克也監督が解任された1978年から活躍し出しますが、チームの低迷が始まったのがまさにこの年で、以後一度も勝ち越すことはできませんでした。



1980年は、ギリギリ規定投球回数に到達しますが、3勝14敗と大きく負け越し、防御率5.47はリーグ21位。かつては「日ハムキラー」と呼ばれ、1978年には日本ハムから4勝を挙げた投手ですが、この年の日本ハムとの対戦成績は1勝7敗。逆にカモにされてしまいました。



チームは、この年も前後期の総合成績が48勝77敗5分で最下位。全チームに負け越し、5位とは10ゲーム差をつけられました。因みに、山内はリーグ6位の防御率3.78を記録するものの、9勝16敗と大きく負け越し、森口以上の敗北を喫しています。

森口 益光(中日ドラゴンズ) | 個人年度別成績 | NPB.jp 日本野球機構

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