NHK大河ドラマとは
1963年から放送開始された大河ドラマ。
日本史上実在した人物の生涯を描いた歴史ドラマシリーズです。また、架空の人物を通して時代そのものを描き出すオリジナル作品もあります。
テレビ離れ、NHK離れの昨今ですが、現在もなおシリーズは続き2023年1月スタートの「どうする家康」は62作品目となります。
そんな大河ドラマの高平均視聴率を1990年代(38作品)までで区切らせていただき、トップ10をご紹介したいと思います。
10位「八代将軍吉宗」

八代将軍 吉宗
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第10位の「八代将軍吉宗」の平均視聴率は26.4%、最高視聴率は31.4%でした。
1995年1月から同年12月まで放送され、大河ドラマ第34作品目となります。この作品で8回目の大河ドラマ出演となる西田敏行が主演。ちなみに西田敏行は2022年までに大河出演は14作品にものぼります。
江戸時代中期、御三家の一つ紀州徳川家の四男として生まれ、江戸幕府第八代征夷大将軍となって享保の改革を行い、「幕府中興の祖」と呼ばれた徳川吉宗の生涯が描かれています。脚本はジェームス三木で、1987年の「独眼竜政宗」以来、二度目となります。「独眼竜政宗」では原作小説を元に描かれていましたが、本作品はオリジナル脚本となっています。
9位「いのち」

いのち
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第9位の「いのち」の平均視聴率は29.3%、最高視聴率は36.7%でした。近代を描いた作品の中では、一番平均視聴率が良かった作品です。
1986年1月から12月に放送され、大河ドラマ第24作品となります。主演は三田佳子。
脚本は橋田壽賀子で、時代設定を終戦直後の1945年(昭和20年)から放送当時の1985年(昭和60年)前後とし、日本の戦後40年の歩みの中に「いのち」をいとおしみ、「心」を大切に生き抜く女医・岩田未希を描いたオリジナルのシナリオ作品となっています。また、大河ドラマでは最も新しい時代を取り上げた作品でもあります。
この作品を含む「山河燃ゆ(1984年」、「春の波涛(1985年)」をの近代大河3部作と呼ばれていますが、「いのち」以外の近代作品は視聴率低迷で、なんと近代を描く作品は2019年の「いだてん〜東京オリムピック噺〜」まで33年間制作されなかったそうです。
8位「秀吉」

秀吉
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第8位の「秀吉」の平均視聴率30.5%、最高視聴率は37.4%でした。この作品以降、平均視聴率・最高視聴率いずれも30%を越えた作品は存在しません。
1996年1月から12月に放送され、大河ドラマ第35作目となります。主演は竹中直人。
豊臣秀吉を主人公にした作品は2作目となります。堺屋太一の小説「秀吉〜夢を超えた男〜」「豊臣秀長」「鬼と人と 信長と光秀」の3作品を物語の基とし、脚本家の竹山洋のオリジナルも取り入れた作品です。
豊臣秀吉役の竹中直人が事あるごとに「心配御無用!」と手を突き出して言う決め台詞は、その年の流行語となり、その後、この決め台詞は同作品の真田広之演じる石田三成にも引き継がれています。
第6位「太閤記」「徳川家康」
6位は平均視聴率は31.2%で同率2作品となります。
まずは「太閤記」。1965年1月から12月に放送され、大河ドラマ第3作品です。主演は緒形拳。
豊臣秀吉の半生を描いた吉川英治の小説「新書太閤記」が原作です。この作品では桶狭間の戦いなど大規模なロケが行われ、テレビドラマで初めてヘリコプターからの空中撮影が行われた作品でもあります。また、信長役の高橋幸治の人気で「信長を殺さないで」という投書がNHKに相次いだため、本能寺の変をシーンは2カ月延期されたというエピソードがあります。

太閤記
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同率6位のもう一つの作品は「徳川家康」です。1983年1月から12月に放送され、NHK大河ドラマ第21作品です。主演は滝田栄。
原作は山岡荘八の小説「徳川家康」で、当時「昭和59年から大河ドラマは近代路線に移行する」というタイムテーブルのもと、時代劇大河の最後の作品として企画されました。当時、徳川家康といえば丸顔、小太りというイメージがありましたが、「なにも家康のそっくりショーをやるわけではない。われわれの手で新しい家康像を作り出そうではないか」という声で、滝田栄が選ばれました。

徳川家康
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第5位「おんな太閤記」

おんな太閤記
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第5位の「おんな太閤記」の平均視聴率は31.8%で、最高視聴率は36.8%。1981年1月から12月に放映された大河ドラマ第19作品となります。主演は佐久間良子です。
「太閤記」との差別化を図るため、豊臣秀吉の正室・ねね(北政所)の視点で戦国時代から江戸時代初期(大坂の陣)までを描いています。原作は橋田壽賀子。女性の視点からの戦国時代の描写は、従来の男性を中心とした戦国時代のファン層のほか主婦層にも幅広い支持を得ました。
第4位「赤穂浪士」

赤穂浪士
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第4位の「赤穂浪士」の平均視聴率は31.9%、浪士討入りの回は視聴率53%という大河ドラマ史上最高視聴率記録を打ち立てています。
1964年1月から12月に放映され、大河ドラマ第2作品となります。原作は大佛次郎の「赤穂浪士」。赤穂四十七士たちの討ち入りを決意するまでの苦悩や葛藤、彼らに関わる人々の思惑などをじっくりと描かれています。
主演の大石内蔵助は、大映の看板俳優だった長谷川一夫で、放送開始時55歳10ヶ月9日で大河ドラマ単独主演では歴代最高齢の主演となっています。また主演以外も歌舞伎界や新劇界の大物、歌謡界の人気アイドルまでも起用し豪華キャストでの作品となっています。
第3位「春日局」
第3位の「春日局」の平均視聴率は32.4%、最高視聴率は39.4%です。
1989年1月~12月に放映され、大河ドラマ第27作品目となります。主演は、大河ドラマ出演5回目となる大原麗子。橋田壽賀子によるオリジナル脚本です。
明智光秀の重臣斎藤利三の娘というつらい境遇にありながら戦国を生き抜き、その力量を徳川家康に見込まれ、のちの3代将軍徳川家光の乳母となって大奥を取り仕切った春日局(おふく)の生涯ですが、それまで強い女のイメージが強かった春日局を、平和な世を希求し家光・徳川家を支え献身的に生きた女性として描いています。

春日局
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第2位「武田信玄」

武田信玄
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第2位の「武田信玄」の平均視聴率は39.2%、最高視聴率は49.2%と1位との差は僅か0.5%差となっています。
1988年1月から12月に放送され、大河ドラマ第26作品目となります。主演は大河ドラマ初出演の中井貴一。昭和の内に最終回を迎えた最後の作品となっています。
原作は新田次郎の「武田信玄」と「武田三代」で、脚本家は田向正健です。甲斐の戦国大名である武田信玄が主人公となっていますが、武田信玄が主要登場人物として登場する大河ドラマは、この他に「天と地と(1969年)」、「風林火山(2007年)」があります。
信玄の母・大井夫人役の若尾文子がナレーションも務めていましたが、毎回「今宵はここまでに致しとうござりまする」というセリフで締めくくられ、この年の流行語大賞に選ばれています。
第1位「独眼竜政宗」

独眼竜政宗
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第1位の「独眼竜政宗」の平均視聴率は39.7%、最高視聴率47.8%となっています。
1987年1月から12月に放送され、大河ドラマ第25作品目となります。主演は渡辺謙。
原作は山岡荘八の小説「伊達政宗」で、仙台藩62万石の礎を一代で築いた奥州の戦国武将・伊達政宗の生涯が描かれました。伊達家を題材にした大河ドラマは江戸時代の伊達騒動を描いた「樅ノ木は残った(1970年)」以来、17年ぶりとなっています。
不動明王について教えられた梵天丸(政宗の幼名)が養育係である喜多(竹下景子)に語った「梵天丸もかくありたい」という台詞は、当時流行語となりました。
またNHKが2003年にテレビ放送開始50年を記念して行った「もう一度見たいあの番組」という一般視聴者によるテレビ番組のリクエストでは、総合部門第9位、大河ドラマ部門第1位と獲得し、2005年に行われた「好きな大河ドラマは?」というアンケートでも第1位を獲得しています。
おしまいに
日曜夜8時になると大人たちがNHKへチャンネルを変え、「大河ドラマ」を真剣に見入っていたのを思い出します。子どもながらに、同じチャンバラや時代劇を観るなら遠山の金さんや銭形平次のほうがずっと楽しいと思っていましたが、ある一定の年齢を超えると「大河ドラマ」の面白さに気づいてしまったように思うのです。しかしながら、1位の「独眼竜政宗」は面白いといういか、渡辺謙がかっこよかったですね。彼に代わる政宗はいないだろうと思います。