「1984年ロサンゼルスオリンピック」アスリート魂を見せたスイス人ランナー・アンデルセンの執念

「1984年ロサンゼルスオリンピック」アスリート魂を見せたスイス人ランナー・アンデルセンの執念

ガブリエラ・アンデルセンは、デンマーク人の血を引くスイスの元陸上競技選手です。1984年8月5日に開催されたロサンゼルスオリンピックの女子マラソン競技に出場して、猛暑の中極度の体調不良に陥りながらも不屈の根性でゴール。トラックに戻ってから見せたアスリート魂に、世界中の誰もが心を打たれました。


女子マラソンが正式競技種目に

1984年のロサンゼルスオリンピック。この大会は、女子マラソンが競技種目に新たに加わるという、女子陸上史上記念すべきオリンピックとなりました。しかしロサンゼルスの夏はあまりにも過酷で、棄権者続出と言う惨憺たる結果になったのも事実です。

真夏の猛暑とアスファルトの照り返しで、マラソンランナーにはあまりにも辛い大会となりました。少しでも選手の暑さを緩和しようと、コースの途中に選手の上から水を噴霧する装置も設けられましたが、暑さ防止としては役に立たず、噴霧された水はすぐに猛暑で熱くなりほとんど効果がなかったようです。

ふらふらで競技場に

最悪のコンディションの中、アメリカのジョーン・ベノイトが2時間24分52秒の記録で金メダルを獲得、オリンピック史上初の女子マラソン金メダリストになりました。ジョーン・ベノイトのゴールから約20分後のことです。競技場で待っていた観客が目にした光景は、まさに息を吞むものでした。

それは、ふらふらになって今にも倒れそうになりながらゴールを目指して歩み続けるアンデルセン選手の姿でした。当時のマラソンでは、給水スポット4〜5カ所にしかなかったそうです。ただでさえ少ない給水スポットの上に、最悪にもアンデルセン選手は、最後のスポットでの給水に失敗していたのです。

選手に触れたらその場でアウト

アンデルセン選手の様子から、熱中症にかかってしまっていることは誰が見ても分かりました。あまりの状況を見て助けようとした競技スタッフでしたが、すぐそばまで駆け寄ってもアンデルセン選手に手を触れることはできません。彼女がトラックサイドの係員にゴールする意思表示をしていたからなのです。誰かがアンデルセン選手に手を触れれば、その場で危険となってしまうからなのです。

トラックサイドで待機していた医師は、アンデルセン選手が汗をかいているのを見て、まだ大丈夫と判断。ドクターストップを宣告しないで、ゴールラインを割るまで見届けたのです。ゴールすると同時に係員に抱きかかえられて、医務室に運ばれたアンデルセン選手でしたが、大事には至らなかったようで、本当によかったですね。

絶対にゴールする

競技場内に入ってきたアンデルセン選手の右足は、ほとんど動いていない状態。そして右手はぶらつき、まるで夢遊病者のようでした。それほどの極限にまで追い込まれながら、競技場の大観衆の声援によって後押しされ、競技場に入ってから5分44秒後の2時間48分42秒の37位で完走を果たしたのでした。絶対に完走するという、アンデルセン選手の執念が起こさせたゴールは、まさにアスリート魂を見せられた瞬間でしたね。

この話を知った人たちは、アンデルセン選手が最下位でゴールしたと思われがちのようですが、まだ遅れてゴールした選手が数人いました。それでも最悪の条件の中でよく頑張ったですよね。棄権者も続出だった今回のレース、日本から参加した増田明美選手も残念ながら途中棄権をしています。

人生最悪のレース

レース後にアンデルセンさんは、他のマラソン大会なら棄権してたと語っています。でもオリンピックの歴史的な大会だったこともあり、どうしてもゴールしたかったということだったそうです。更にアンデルセンさんは、自分のことが大きく報道されたが、最後まで頑張って走ってゴールした選手の皆さんをもっと取り上げるべきだと思うとも話しています。その後に出版された自伝において、ロサンゼルスオリンピックは、人生で最悪のレースだったとも記述されているんですよ。やっぱり大変だったんですね。

ロサンゼルスオリンピックが終わった後、オリンピック発祥の地であるギリシャから、ギリシャ旅行をプレゼントされたそうです。また翌年の1985年1月に行われた大阪国際女子マラソンにも参加して、日本でも大きな話題となりました。

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