カーオーディオなどで使用された!「8トラック(8トラ)」って覚えてますか?
皆さんは「8トラック」というテープを覚えていますでしょうか?1965年に開発された音楽用の再生メディアで、主にカーオーディオでの使用を想定していました。「8トラ」の略称でも知られています。
こちらが8トラックのテープ。

60年代半ば、既にカセットテープ(コンパクトカセット)は開発されていたのですが、当時はテープ幅の狭さなどが相まって会議等の録音などで使用されており、音楽メディアとは認識されていませんでした。そこで登場したのが、幅が6.35mm(カセットテープは3.81mm)の磁気テープを使用した8トラックです。
8トラックの内部構造。

カラオケやバスの車内放送などにも用いられる!
この8トラックですが、カーオーディオとしての用途のほか、カラオケでの使用、バスの車内放送での使用など、業務用途としても用いられていました。また、少数ながら自宅での再生を想定した再生機器も登場したものの、こちらはメジャーな存在とはなりませんでした。
70年代に発売されたステレオデッキ。


どんな歌手が作品を発表してた?
カセットテープ同様、70年代を中心に様々な歌手が8トラックで作品を発売していました。レコードやカセットで発売したアルバムをそのまま8トラックにしたものや、「ヒット曲集」といった形で何人かの歌手の作品を一つにまとめたものも。
なお、8トラックは「A面、B面、C面、D面」と4トラックで再生可能であり、当時販売されていたテープも「A、B、C、D」や「1、2、3、4」と、トラックに番号が振られていました。また、8トラックは「一方向のみの回転で、巻き戻しが出来ない」という特徴があり、この点についてはカセットテープに比べ不便だった模様です。
当時販売されていた8トラックテープ。

中にはプレミア価格になっているタイトルも!
8トラックとして発売された音楽テープですが、中には高騰しているタイトルもあり、ビートルズ、ピンク・フロイドといったバンドの作品の中には1万円を超える価格で取引されているものもあります。再生目的というよりも、コレクターズアイテムとしてファンが収集していると思われます。
ピンク・フロイド「狂気」は48800円で落札!

70年代後半以降、徐々に衰退。
1970年の時点では、カセットテープよりも再生機器が安価であり庶民の手に届きやすいメディアであった8トラックですが、70年代半ばに入ると安価で高性能なカセットテープのデッキが続々と登場、さらに80年代に入るとCD(コンパクトディスク)が発売され、衰退の一途を辿っていきました。それでも車内放送などには用いられ続けていたのですが、それも音声合成による自動放送の登場により役目を終え、8トラックの生産は終了することとなりました。
それから早数十年が経過し、令和の時代となった現在。8トラックを駆逐したカセットテープ、CDなども衰退し、過去のメディアとなりつつあります。これから先、どのような形で音楽を楽しむ未来が待っているのでしょうか?注目したいところです!
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