今ではもう見られない、敬遠球を打った決勝打やホームラン

今ではもう見られない、敬遠球を打った決勝打やホームラン

2017年、メジャーリーグで試合時間短縮を目的に採用されたのが申告敬遠。日本でも2018年から野球規則改正によって採用されました。敬遠は投手がボールを投げていたのを、申告すればその場で打者は出塁できることになりました。確かに時間短縮はできますが、昔からプロ野球を見ていたファンにとっては、寂しい思いも感じますね。実はこれまで、この敬遠球によって、数々のドラマがあったのです。


今は敬遠も申告制

最近のプロ野球の試合でよくみられる申告敬遠。守備側の監督が、故意四球の意思を球審に伝えると、相手投手が投げることなく、打者に一塁ベースが与えられます。日本のプロ野球だけでなく、アメリカのメジャーリーグや、その他のアマチュア野球にソフトボールでも採用されているルールです。故意に打者を歩かせる四球のことを敬遠と呼びますが、意思表示だけで一塁を与える時を申告敬遠といいます。

実は申告敬遠制は、ソフトボールの国際ルールで以前から存在していたのです。日本でも、2013年のルール改正の際、導入されているんです。しかし、実際に試合で使われるようになったのが2018年の野球規則改正、前年に試合時間の短縮を目的としてメジャーリーグで採用されてからになります。同時に、大学野球と社会人野球でも採用されましたが、高校野球は見送られました。しかし、2020年より遅れて採用されています。

敬遠球を打って決勝打やホームランに

申告敬遠が導入される前、敬遠球でのドラマも見られました。1960年、読売ジャイアンツの長嶋茂雄は、このシーズンだけで3度も敬遠球を打って安打にしているんです。1981年7月19日、日本ハムファイターズの柏原純一は、西武ライオンズ戦において敬遠球を本塁打にしてます。敬遠球をホームランにした唯一の選手になっています。

敬遠球における有名な話が、1999年6月12日に起きた阪神タイガースの新庄剛志、現在日本ハムの監督として注目されていますね。読売ジャイアンツの槙原寛己が投じた敬遠球をさよなら安打にしました。新庄選手曰く、わざとホームベースから離れた位置に立って、敬遠球をストライクゾーン近くなるように誘導したとか。因みにこの時の打撃コーチが柏原純一だったのも、何かの巡り合わせだったのかもしれませんね。

意外に多い敬遠で暴投

1952年8月9日、国鉄スワローズのエースだった金田正一は、延長13回裏に敬遠教に剛速球を投げ、捕手が取れずにサヨナラ負けを喫しています。30年後の1982年4月3日、阪神タイガースの小林繁は、開幕戦となった横浜大洋ホエールズ戦で、敬遠のはずが暴投となりこれまたサヨナラ負け。

最近では2016年7月18日、DeNAの小杉陽太が起こした悪夢が東京ヤクルトスワローズ戦でのこと。8回に満塁のピンチを背負い、山田哲人への3球目を暴投してしまい失点。更に二三塁とピンチが続く場面で敬遠教を暴投してしまい失点を重ねてしまいました。まさに独り相撲ですね。2017年5月21日には、ヤクルトのジョシュ・ルーキが阪神戦7回で敬遠球を暴投して決勝点を与えています。

敬遠の場合、捕手が伸ばしたミットのみを目がけて投げるのですが、全力投球もできず、力の抜き具合が結構難しくコントロールを乱してしまうとか。このような事態を防ぐためには、捕手がバッターボックスから遠く離れたところで構えれば良いのですが、投球前にキャッチャースボックスから出た場合、ボークが宣言されていまうのです。投手・捕手・打者の位置関係も微妙に絡み合って、面白いドラマが誕生してきたのです。

敬遠への抗議パフォーマンス

もう50年以上も前の話ですが、1968年5月11日、読売ジャイアンツの長嶋茂雄は中日戦で敬遠を受けます。これに対して長嶋は、なんとバットを持たずに打席に入ったのです。当然にバッティングはできませんが、ルール上は問題ありませんでした。それでも、中日側は敬遠をしたのです。普通に真っすぐなげれば良かったのにと思いますけどね。

2003年9月20日には、西部のアレックス・カブレラが対近鉄の延長11回裏一死二塁のチャンスでバッターボックスに入ります。ところが近鉄側は2打席連続の敬遠策。これに怒った右打者のカブレラは、なんと左打席に立ったのです。それでも近鉄バッテリーは敬遠しています。

そしてオリックスへ移籍後のカブレラ、2010年7月8日の西武戦ではバットを逆に持って打席に入っています。それでも西武側は敬遠をしたのですが、やっぱりストライクを取りに行けばと思いますよね。

合理化もいいけれど

時間短縮や合理化を進めるのもよいですが、ファンが楽しむプロ野球でもあるので、こんなに楽しいパフォーマンスやアクシデントなど、見てみたいですよね。実際のところ、敬遠は申告しなければいけない訳でなく、アッと驚くプレーも期待したいところ。しかし、今となっては無理なのでしょうか。

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