まさかり投法にサブマリン、個性的な投手が多かった昭和のプロ野球

まさかり投法にサブマリン、個性的な投手が多かった昭和のプロ野球

今や国民的スポーツとして、日本に根付いているプロ野球。現在のような娯楽がすくなっか時代、国民はひいきのチームの活躍に一喜一憂していました。そんな昭和のプロ野球界、個性的な選手がたくさんいました。その選手の中から、投法に特徴のある投手をピックアップしてみました。


一刀両断のまさかり投法

村田兆治(むらたちょうじ )は、1967年のドラフト1位で東京オリオンズに入団。現役時代は東京オリオンズ(ロッテオリオンズ)一筋で活躍した投手です。そのダイナミックな投球フォームから「マサカリ投法」と呼ばれ、打者に向かって真っ向勝負を挑む姿は、まさに侍そのものでしたね。1990年が引退の年となりますが、なんとその年40歳代で10勝を記録しているんですよ。これは、史上二人目の快挙でした。

1976年、村田兆治はフォークボールを習得します。人並み外れた長い指から投じられるフォークボールは、切れ味鋭い変化をしてことごとく打者のバットは空を切りました。ただ、常にノーサインで投げていたため、1979年までの4年連続で2桁暴投も記録しています。しかし、これはこれで一つの勲章でもありますね。

アンダースローの剛速球投手

山田久志(やまだ ひさし )は、アンダースロー投手として、日本プロ野球最多となる通算284勝を記録した投手です。更には、12年連続開幕投手を務めるなど、球界関係者からは史上最高のサブマリン投手と称されているんですよ。阪急ブレーブスの黄金時代を築き上げたメンバーの一人ですね。

一般にサブマリン投手は、ほとんどが技巧派です。コントロール良く、低めを突いて内野ゴロを打たせて取るタイプですね。しかし山田久志は、アンダースローにはない剛球投手でした。威力のあるストレートを高めに投げ込んで勝負できる数少ないサブマリン。力が衰える晩年は鋭いシンカーを覚え、新たな投球術で阪急のエースとして活躍しました。

真っ向勝負のザトペック投法

村山実(むらやまみのる)は、闘志をみなぎらせて打者に向かっていく、真っ向勝負のできる投手でした。その投法は、ザトペック投法と呼ばれていました。ザトペックとは、ヘルシンキオリンピックのマラソンで優勝したエミール・ザトペック選手の姿に似ていることから付けられたようです。「人間機関車」と呼ばれたザトペックは、まさに闘志むき出しのランナーだったのです。

村山実の特徴も、闘志をむき出しにした投球スタイルですよね。何も知らずに投球フォームだけを見ると、オーソドックスなオーバースロー。しかし、村山実という人物が打者に向かって投げる時は、ザトペックになるんです。村山のことを、人は「炎の闘将」と言いました。一球一球に闘志を込めて、全身を使った投げ方をする投手だったのです。そして、その村山の永遠のライバルが、ミスタージャイアンツの長嶋茂雄でした。

失明危機の中で復活を果たしたサブマリン

金城基泰(かねしろ もとやす)は、豪快なフォームのアンダースロー投手です。そのフォームで勝負ができるとも言われ、大きく腕を振り上げるまるで鳥が羽ばたくような投球フォームでした。1974年のシーズンに広島カープで20勝を挙げ、ブレイクした金城でしたが、不運が襲い掛かります。シーズンオフの霧深い朝、車同士の正面衝突に巻き込まれ、助手席にいた金城さんは重傷を負い、両眼が傷つき失明寸前になってしまったのです。

翌年は退団覚悟の中での療養に務めますが、本人ももうマウンドに上がることは諦めていました。開幕してしばらくした頃、古葉監督から呼び出しを受け、驚きの言葉を聞くことになります。それは、無理を承知でスーパーマンになって復活してくれというもの。意気に感じた金城は、シーズン途中に見事に復活、初優勝に大きく貢献するのです。その選手生命を絶たれかけた投手が、見事胴上げ投手に。まさに、感動の瞬間でしたね。

ぶつけて上等の喧嘩投法

東尾 修(ひがしお おさむ )は、1968年に西鉄ライオンズに入団、その後太平洋クラブ・クラウンライター・西武と球団名は変わりましたが、ライオンズ一筋でプレーした投手です。1995年~2001年まで、西武ライオンズの監督の務めています。現役の成績として通算251勝を達成、1988年限りで現役を引退しました。

投法自体は普通のオーバースローですが、東尾の特徴は切れ味鋭いスライダーやシュートを巧みに操り、内外角の横の揺さぶりで勝負すること。特に打者の内角をえぐる強気の投球スタイルが特徴でした。そのため死球になることも多く、通算与165死球は日本記録Tなっています。まさにこれは東尾の勲章。死球を与えても全く動じない性格から「喧嘩投法」とまで言われていました。

関連するキーワード


投手

関連する投稿


【池谷公二郎】三振かホームラン!? 被本塁打のシーズン歴代最多記録を持つ広島のエース

【池谷公二郎】三振かホームラン!? 被本塁打のシーズン歴代最多記録を持つ広島のエース

シーソー投法と呼ばれたダイナミックな投球フォーム。広島ファンならずとも、真似しようとしたプロ野球ファンは多かったのではないでしょうか。ストレート真っ向勝負が多かったことから、奪三振も被本塁打も多かった投手で、広島の躍進に大いに貢献したエースです。そんな池谷公二郎投手の記録を振り返ります。


【間柴茂有】戦後初の勝率10割!日本ハム19年ぶりの優勝に貢献した投手!

【間柴茂有】戦後初の勝率10割!日本ハム19年ぶりの優勝に貢献した投手!

投手のシーズン勝率10割といえば、記憶に新しいところでは、2013年の楽天・田中将大投手の24連勝を思い浮かべる人が多いかもしれません。実は、戦後に限ると、過去にもう一人いました。それが、1981年の日本ハム・間柴茂有投手。今回は、間柴投手の勝率10割と日本シリーズの成績を振り返ります。


【プロ野球】最多負け越し記録!チームの暗黒期を支えた名投手たち6選

【プロ野球】最多負け越し記録!チームの暗黒期を支えた名投手たち6選

今回注目するのは、投手の「最多負け越し記録」。この記録を作るには、チームの主力投手として登板数が多く、なおかつチームが低迷して敗北数も多い必要があります。実際に名を連ねるのは、タイトルを獲得するほどの名投手ばかり。今回は、1970年以後、年間11敗以上負け越している6投手を見てみます。


【武田一浩】史上3人目!全12球団から勝利したピッチャー!1998年には最多勝も記録

【武田一浩】史上3人目!全12球団から勝利したピッチャー!1998年には最多勝も記録

セ・パ交流戦が始まる以前、公式戦でセ・パ全12球団から勝利を挙げた投手はわずか3人です。その一人が、今回ご紹介する武田一浩。最多勝、最優秀救援のタイトルも獲得したことのある実力派で、中日ドラゴンズのリーグ優勝にも貢献しました。そんな武田投手の各球団初勝利の軌跡を振り返ります。


【全球団から敗北】交流戦以前に達成した投手はたった1人!その誰もが知る大投手とは!?

【全球団から敗北】交流戦以前に達成した投手はたった1人!その誰もが知る大投手とは!?

セ・パ交流戦が始まる以前、公式戦でセ・パ全12球団から勝利を挙げた投手は3人。しかし、セ・パ全12球団から "敗北を喫した投手" はたった1人しかいません。それは、誰もが知るあの投手。所属した先々で、数々の伝説を残した大投手です。そんな大投手の "全球団初敗北" の軌跡を振り返ります。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。