黒沢健一とは

L⇔R
kenichi kurosawa : special issue | 黒沢健一
1968年8月11日生まれ。茨城県日立市出身。
L⇔Rのボーカルとして1991年にメジャーデビュー。
L⇔Rの活動休止後はソロ活動の他、音楽プロデューサーや作曲家としても精力的に活動していた。
追悼アルバム「HEAR ME NOW」を紹介

HEAR ME NOW / 黒沢健一
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一周忌にあたる2017年12月5日、黒沢健一さんの追悼アルバム「HEAR ME NOW」が発売されました。
発起人は黒沢健一さんが所属していたインターブレンドの代表取締役社長・江口譲二さん。参加メンバーはL⇔Rのメンバーとして活動していた黒沢秀樹さんと木下裕晴さんをはじめ、プロデューサーとしてL⇔Rに深く関わっていた岡井大二さん、ポリスター時代からの盟友・石田ショーキチさんなど実に豪華な顔ぶれ。黒沢健一さんが残した楽曲を基に、彼の身近にいた多くのミュージシャンたちが創り上げた珠玉の一枚です。
曲ごとにカラーが違う、それなのにすべてに黒沢さんらしさが感じられる全16曲を、詳しく紹介していきたいと思います。
M1 「I Need You Loving」
歌詞、歌ともに1番しか残っていなかったそうで、実弟である黒沢秀樹さんが2番の作詞&歌唱を担当しています。サビは2人のデュエットで、兄弟ならではの絶妙なハーモニーが2009年の兄弟パンダユニット「ハンキー・パンキー」を思わせる1曲です。
M2「Baby You Are Mine」
どっぷりかかったエコーが心地よいラブソングです。途中のギターソロは健一さん本人の演奏を採用しているそうで、聴くたびに「健一さんが弾いているんだなぁ」と感慨深いです。
M3「Hear Me Now」
いわゆる表題曲なのですが、曲の始まりの儚げな雰囲気から、サビに向けて存在感がはっきりしていくような、そんなイメージの曲だなと思いました。
ちなみに筆者は長い間、タイトルの「Hear」を「Here」と勘違いしていまして、「僕はここにいるよ」というような意味だと勝手に思い込んでいました。実際は「僕の声をすぐに聴いて」という意味なので、アルバム全体のタイトルとしてもしっくりきますね。
M4「A Song For Christmas」
歌詞は無く、全て「ラララ…」で歌われています。もしもの話ですが黒沢健一さんが存命で、この曲がいずれ世に出ていたとしたらどのような歌詞になっていたのか気になるところ。とはいえ歌詞がなくとも十分素敵な、心がほっこり暖かくなるようなクリスマスソングです。
M5「Dream Of Life」
曲が始まって約50秒間の、オーバーチュア(フランス語で「開始」の意味)のストリングスパートが美しく、印象的。
もともとは歌詞がなくラララの状態だったものに、茂村泰彦さんが歌詞を書き、ボーカルも担当しています。ちなみに茂村さんはかつて2人組フォークデュオ「19」のサウンドプロデュースをされていた方。黒沢さんのラストシングル「Looking For The Places」のプロデュース&編曲を担当しています。
M6「Looking Like My Player」
MOTORWORKS用に作られた曲であり、石田ショーキチさんがボーカルを担当しています。ショーキチさんのクールな歌声と疾走感あるメロディーが格好良い1曲です。
M7「Fontana」
「1950年代アメリカのフォンタナレーベルみたいな曲」がテーマだそうで、歌詞にフォンタナは出てきませんが、タイトルはそのまま「Fontana」。陽気で爽やかなイメージの曲です。
M8「Reason For Your Smile」
ボーカルは楽曲アレンジやライブのサポートメンバーとしてL⇔R及び黒沢健一さんに長らく関わってきた遠山裕さんが担当しています。(黒沢さんが存命だったとしたら)次のアルバムに入っていただろうな、と思われる曲だそう。とても素敵なラブソングで遠山さんの歌声も非常にマッチしていますが、やはり黒沢さんバージョンも聴いてみたかったな、と思ってしまいます。
M9「Winds Blow」
このアルバムで唯一、デモテープのまま採用されている曲です。公式サイトによると「もしもの長すぎてカットする必要が出たときのためにデモのままの1曲も入れました」とのことで、この曲は入らなかった可能性もあったわけですが、入れてくれて本当に良かったと思える1曲です。
M10「Please My Baby Tonight」
元々MOTORWORKSのために作られた曲だったこともあり、「Looking Like My Player」に引き続き、石田ショーキチさん、スピッツの田村明浩さん、ホリノブヨシさん、ウルフルズのサンコンJr.さんが参加しています。とはいえボーカルは黒沢さん本人なので、また違った雰囲気の曲になっています。
M11「Don’t Let It Bring You Down」
この曲でコーラスを担当しているプライアンペックさんは、L⇔R時代から全編英語詞の作詞などを担当されていた方。そして筆者も最近知ったのですが、Eテレ「えいごであそぼ」の歌や「こどもちゃれんじEnglish」の英語監修も担当されているのだとか!有名な方でびっくりしています(笑)
M12「Shake It Back!」
ボーカルはライダー俳優やアニメ「最遊記」の主題歌等で知られる徳山秀典さんが担当。黒沢健一さんは徳山さんの歌手デビュー時からの音楽プロデューサーだったのですが、徳山さんは黒沢さんを兄のように慕っており、とても仲良しだったとのこと。2017年1月に行われた黒沢さんの献花の会で、徳山さんはミッキーマウスの格好で登場して会場を和ませたそうです。
M13「Rainin’ In My Heart」
哀愁を感じさせる切ない歌詞とメロディーが印象的。L⇔Rとしてデビューする前からあった曲なんだそう。今まで世に出ていなかったのが不思議なくらい、素敵なラブソングです。
M14「Good Night」
L⇔R時代からレコーディングやライブのサポートメンバーとして参加してきたギタリスト・菊池真義さんがギターを担当。
・左チャンネルは黒沢アコギと黒沢歌のみ
・右チャンネルは菊池アコギと黒沢歌
左右ともボーカルは黒沢さんですが別テイクだそうで、まったく別々の曲を左右一緒に再生している状態なのだとか!
左だけのモノラル、もしくは右だけのモノラルで聴くことで、それぞれの曲を楽しむことができるそうです。
M15「45’s Love Song」
かつて黒沢兄弟がやっていた「ラギーズ」というバンドの曲を、L⇔Rのベーシスト・木下裕晴さんがウクレレやピアニカ(!)でインストにアレンジ。曲の最後にはラギーズ時代のバンド演奏がそのまま使われています。
M16「19 Aug. 1987」
この曲が残されていたデモテープの日付(1987年8月19日)がそのまま曲のタイトルになっています。まるで微睡んでいるような、ゆったりとしたメロディが心地よい1曲です。
最後に

アルバムのブックレットの最後には、歌詞のみの「この場所から」という詩が収録されています。
上記で紹介してきた曲だけならば配信でも聴くことができますが、ブックレットのみの「この場所から」の歌詞や、アルバムのレコーディング風景の写真が見られるのもCDならでは。気になる方はぜひ、CDで聴いてみてほしいです!