フロッピーディスクという名称は
「フロッピー」や「フロッピィディスク」などと呼ばれていたいましたが、
JIS(日本産業規格)の用語集では「フレキシブルディスク」と
「フレキシブルディスクカートリッジ」となっているそうです。
最初のフロッピーディスクは、1971年に米国企業IBMが開発しました。
当時の名称は「フレキシブル・ディスケット」(flexible diskette)もしくは
「ディスケット」で、IBMの登録商標となったのです。
一般向けには「フロッピーディスク」の用語も併用していました。
「フレキシブル」も「フロッピー」も“柔らかい”という意味で命名されたもので、
当初はメディアの構造が、薄いディスクを、薄い保護ケースに包んだ、
薄く柔らかいもの、であったためなのです。
これに対して、従来の硬い磁気ディスクは「ハードディスク」や「ハードドライブ」
と呼ばれるようになったのですね。

ハードディスクドライブ外観
ハードディスクドライブ - Wikipedia
パソコンのデータを保管したり、フロッピーディスクのデータを読み込んだり、
フロッピーディスクを差し込むと「カチャッ」という音と感触。
取り出すときは、小さな凸ボタンを押すとポコッとフロッピーディスクが出て来る。
新しいパソコンにはフロッピーディスクドライブがなくなり
昔(昭和)の人である自分は、フロッピーディスクドライブがなくなったときは
なんとなく寂しくなったものです。

3.5インチフロッピーディスクドライブ
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サイズ
フロッピーディスクは、外装はプラスチックなどで覆われ正方形でしたね。
この外装の辺の長さによってサイズが決められていたのです。
8インチは、200ミリ
5.25インチは、130ミリ
3.5インチは、90ミリ
5インチは?と思われた方もいるのではないでしょうか。
5インチは、じつは5.25インチのことなんですね。
ちなみに3インチは、実際にあったサイズですので、3.5インチのことではありません。

左から8インチ、5インチ、3.5インチ
8インチフロッピーディスク
1970年にIBMによってIBM System/370のIPLローダーとして8インチの
フロッピーディスクが開発されました。
容量は80キロバイト。
その後、ディスクを両面化し容量を800KBとしたフロッピーディスクとなり、
さらに倍密度化して1.6MBが登場しました。
このフロッピーディスクは、小型コンピュータやワードプロセッサの記憶媒体
として利用されていくことになります。
初期の8ビットや16ビットパソコン用としても1980年代後半前後まで使われていました。

8インチ型フロッピーディスク
5.25インチフロッピーディスク(通称5インチ)
ミニフロッピーディスクとも呼ばれた5.25インチの開発きっかけは、
8インチフロッピーディスクドライブはデスクの上に載せるには大きすぎると
いうことからでした。
最初に5.25インチに最小化したのは、米シュガートアソシエイツで、
1976年にSA-400と呼ばれる5.25インチのディスクとドライブを発表・発売しました。
当初は容量が109.4KB(1S、片面単密)と小さかったのですが、
1980年には両面・倍密度として容量を約4倍の437.5KBとしたものが発売されました。
フロッピーディスクとドライブの小型化により、コンピューターに内蔵することも
可能となり、フロッピーディスクはコンピュータにとって必要不可欠なものと位置づけ
られるようになりました。
容量は、1D(片面倍密度)や2D(両面倍密度)などに発展し、
2DD(両面倍密度倍トラック)を経て、やがて主流となる2HD(両面高密度)に
なります。
日本では、NTTが5.25インチ2HDドライブの開発を行なっていました。
発表当時は電電公社フォーマットドライブとも言われ、容量が約1.2MBで、
8インチドライブと互換性があり、8インチドライブからの代替が可能だったり、
古いMS-DOS等の5.25インチ2HD用ディスクフォーマットを持たないオペレー
ティングシステム (OS) でも、これを8インチ2Dディスク用フォーマットで代用
できるものでした。
これだけ進化した5.25インチですが、残念なところは、
磁気に弱い
外装が変形しやすい
常にヘッド部が露出している
ディスクの中央部も露出している
ということ。
このため保管時は専用の封筒を用いねばならなく、
封筒の開口部からは塵や埃が内部に侵入する危険性があり、
取り扱いには相当な注意を払うことが要求されるものだったのです。

5.25インチ型フロッピーディスク
3.5インチフロッピーディスク
小型化そして取り扱いやすさを兼ね備えたフロッピーディスクの
3.5インチは、1980年にソニーが開発し、翌年に英文ワープロ「シリーズ35」の
外部記録媒体として採用・発売しました。
外装をプラスチック製の硬質なケースに改良され、
金属製のスライドカバーがあり、5.25インチディスクと比べ磁性面が接触から守ら
れるようになりました。
金属製のスライドカバーをスライドさせるとペラペラの円盤磁気ディスクが見られ
ますよね。
1982年に発売されたソニーのパソコンに搭載されてから、他社も搭載するようになり
1985年にソニーは、未フォーマット時1.6MB、フォーマット時1.44MBの「2HD」の
ディスクを開発、他社もこれに追従したことで、1988年までに3.5インチの販売枚数
は5.25インチを超えたのです。
このように大変普及した3.5インチフロッピーディスクですが、
1993年頃からCD-ROMが普及し生産枚数が減少していったのです。

3.5インチ型フロッピーディスク

CD-ROM
CD-ROM - Wikipedia
フロッピーの外装の呼び方
磁性体を塗布したペラペラのプラスチック円盤(厚さ0.075ミリ)のディスクを
守っるものが外装です。この外装にも呼び名がありましたね。
8インチと5.25インチのものは薄く弱い樹脂製、
3.5インチは硬質のハードケースになっていますが、
これを「エンベロープ」や「ジャケット」と呼びます。
ですが、8インチと5.25インチの場合、
ディスクを補完するときに紙製の封筒のようなものに入れてあったり
しませんでしたか?
この紙製の袋を同じように「エンベロープ」や「ジャケット」と
呼ばれていてディスクの外装なのか、保管袋なのか混同することも
しばしばではなかったでしょうか?
5.25インチで紹介しましたが、5.25インチまではディスクがむき出しで
あったため大変取り扱いに注意が必要でした。
しかし、3.5インチになるとジャケットは固いプラスチック、
ディスクのヘッドには金属のカバーと、とても取り扱いやすくなりましたね。

5.25インチ型フロッピーディスクと保管紙袋
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3.5インチ型フロッピーディスクと保管ケース
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普及はしなかったけど、こんなサイズもありました
3インチ
コンパクトフロッピーとも呼ばれた3インチフロッピーディスク。
1981年、松下電器産業、日立製作所、日立マクセルの3社が5.25インチと
互換が取れるように設計したものを発表しました。
ただし記憶容量は3.5インチの半分。

3インチ
フロッピーディスク - Wikipedia
2インチ
1981年、ビデオフロッピーディスクをデータ用に使用したものをソニーが発表。
ジャケットは約47mm、容量は1MB。
ソニーのワープロ「PRODUCE」シリーズに使われましたが、パソコンでは標準
搭載された機種は存在しません。

2インチ型フロッピーディスク
フロッピーディスク - Wikipedia
クイックディスク(ファミリーコンピュータ ディスクシステム)
1984年、ミツミ電機が発表したのが、2.8インチで片面64キロバイト、
両面で128キロバイトのクイックディスク。
ジャケットは78×78×3mm、プラスチック製でシャッターはありません。
3.5インチより小さく、3インチコンパクトフロッピーディスクより薄い。
任天堂が、ジャケットの厚みや形状を変更して、ファミリーコンピュータ
ディスクシステムで採用していました。

ファミリーコンピュータ ディスクカード
クイックディスク - Wikipedia
フロッピーディスクは消えてしまったのか
さてさて、
記憶媒体の小型化が進み、記憶容量も大きくなっている現在、
フロッピーディスクなんか完全に消えてしまったかと思ったのですが、
じつは、世界各国の刺繍機や現金自動預け払い機、医療、航空機関連の機器で
未だにフロッピーディスクは現役。
日本国内では、2011年3月以前にソニーが生産と販売を終了しているにも関わらず
需要は消滅していないのです。
なんとアメリカ合衆国連邦政府では、2016年になっても核兵器の運用部門に
フロッピーディスクが使われています。
このため旧式システムの維持管理に、年間600億ドル(約6兆6000億円)以上も
費やされることが問題となっているとか。
アメリカ国防総省は、一刻も速くフロッピーディスクの使用を停止する方針を発表
しているそうですが、新システム構築費用は旧システム維持費用の3分の1以下。
実質、旧システムを維持し使用するほかないようです。
しかし、これらの旧システムには利点もあり、フロッピー機器はその古さゆえに、
インターネットから遮断され、サイバー攻撃の影響を受けないこと、
また長年使用されてきた信頼性と確実性は、新規システムを上回ること等があげ
られるようです。
巷で使わなくなったフロッピーディスクは、大変重要なポストで現在もなお現役
なのですね。