シャア・アズナブルは倒れているトワニング准将を発見。
「キシリア閣下が脱出されるので護衛にと思いましたが残念です。
大佐なら・・・」
「安心しろ。
貴様に代わってキシリア殿は必ずお守りしてみせる」
「ありがとうございます」
トワニング准将の死亡を確認すると立ち上がりいった。
「ここもだいぶ空気が薄くなってきた。
アルテイシアは脱出しろ。」
「兄さんはどうするのです?」
「チャンスは最大限に生かす。
それが私の主義だ。」
「兄さん」
「お前ももう大人だろ。
戦争も忘れろ。
いい女になるのだな。
アムロ君が呼んでいる」
「アムロが・・・」
シャア・アズナブルはビームバズーカ砲を持って妹から去った。
12時05分、シャア・アズナブルは脱出しようとしているキシリア・ザビの戦艦の前にいって敬礼を送った。
「シャアか」
キシリア・ザビは、それに気づいた。
「ガルマ、私のたむけだ。
姉上と仲良く暮らすがいい」
そうつぶやきながらシャア・アズナブルは、ザンジバル級機動巡洋艦のコックピットに向かってビームバズーカを撃ちこんだ。
それはキシリア・ザビの頭部を貫通し、船も破壊。
直後、ア・パオア・クー防衛司令部から緊急伝文が各隊へ発せられた。
「我、すでに指揮能力なし。
作戦参加の全艦艇は速やかに戦闘を中止し各個の判断によって行動せよ」
以後、ア・パオア・クーとの連絡は途絶。
「投降せよっていってる」
「ギレン総帥が戦死されたって本当なんだ」
「キシリア少将も」
「まるで敗走ではないか」
ジオン軍の各部隊は戦線を離脱し始めた。
12時30分、
「ちくしょう、ここまでか」
戦火の中、ア・パオア・クーの中をひたすら逃げ続け、あきらめかけたアムロ・レイの目前に偶然、頭部と腕を失い横たわったガンダムが現れた。
「まだ助かる」
アムロ・レイは機体を切り離し、コア・ブースターに乗り込んだ。
するとララァ・スンの声が聞こえた。
「殺し合うのがニュータイプじゃないでしょ」
「あ、みえるよララァ。
みえるよ、みんなが」
その後、ホワイトベースのクルーたちはアムロ・レイの声を聞いた。
「セイラさん立ってください」
「アムロ?
アムロなの?
でもここはどこだかわからないのよ。
エッ、ここを真っ直ぐ?」
(セイラ・マス)
「アムロ?
退艦命令を出さないと全滅する?」
(ブライト・ノア)
「アムロ?
そうね、ランチの発進準備をさせるわ」
(ミライ)
「聞こえましたか?」
(ハヤト)
「ああ、アムロだ」
(カイ)
「もうここは撤退ですって」
「そう思うな」
「連邦軍は攻勢らしいし」
「勝つとなりゃここを引き上げてもよかろう」
「僕の好きなフラウ。
次に銃撃が止んだら一気に走り抜けられるよ」
「アムロなのね。
どこにいるの?」
「ランチのところへ行くんだ。
いいね」
アムロ・レイの導きにより乗組員はランチに乗ってア・パオア・クーを脱出。
直後、ホワイトベースは爆発した。
「アムロが呼んでくれなければ我々はあの炎の中で焼かれていた」
ノア・ブライトは敬礼を送ると周囲もそれに倣った。
「じゃあ、このランチにアムロはいないの?!
ブライト!」
(セイラ・マス)
「いない」
(ブライト・ノア)
「・・・・・」
「・・・・・」
そのときクルーたちは炎の中から飛び出す一機のコアブースターを認めた。
「アムロー」
「アムロ」
「アムロ」
仲間の無事を確認したアムロ・レイは涙を流しながらいった。
「ホワイトベースのみんな。
ああっ・・・ごめんよ。
僕にはまだ帰れるところがあるんだ。
わかってくれるよね。
ララァにはいつでも逢いに行けるから」
そしてコアブースターを乗り捨て、ランチに飛びこんでいった。
崩れ行くア・パオア・クーはザビ家の崩壊を思わせた。
ジオンの敗北は歴史の必然だったのか。
18時30分、デギン公王から内密に依頼を受けていたジオン公国首相:ダルシア・バハロが、公国から共和制へ移行を宣言。
サイド6を通じて、地球連邦政府に終戦協定の締結を打診した。
U.C.0080、1月1日15時、月面都市グラナダにおいて地球連邦とジオン共和国の間で終戦協定が結ばれた。
サイド3、すなわち敗戦国となったジオン共和国は武装解除され、地球連邦軍が進駐。
地球連邦政府は、第2のザビ家を出現させないために強力な中央集権体制を布き、実質的にその統治下においた。
こうして地球圏に再び平和が訪れたが、それは争いがなくなったのではなく争うことすらできない抑圧が人々に課せられただけだった。
やがてその抑圧は新たな戦いの火種となる。
戦後も抵抗を続けるジオンの戦士たち、再起を待ち闇に潜む崇高な魂が、暗黒の宇宙から地球を見つめていた。