平成の大横綱 65代横綱 貴乃花光司

平成の大横綱 65代横綱 貴乃花光司

この記事は、平成の相撲界を牽引してきた第65代横綱貴乃花光司について、令和となった今、日本人横綱の誕生が期待されている中、貴乃花光司が初土俵から現役力士時代、引退後親方として、2018年退職後の現在の活動までを紹介します。


2010年の初場所が開催される2日前の1月8日、貴乃花が日本相撲協会の理事選挙屁の立候補を表明した。選挙は協会に属する5つの一門からそれぞれ合計して10人の理事候補を推薦し、無投票で選ぶのが慣例となっていた。貴乃花部屋が所属していた二所ノ関一門(二所一門)では、現職の二所ノ関(元関脇金剛、2014年逝去)、放駒(元大関魁傑、2014年逝去)のほか、新たに鳴戸(元横綱隆の里、2011年逝去)を擁立し、ここに貴乃花が加わると4人となるため、37才の最年少だった貴乃花に出馬を断念する方向で調整していたが、これに貴乃花が反発。初場所中日に解説をつとめ、所信表明を行ったことを受け、一門が緊急会合を開き、貴乃花、貴乃花支持を表明した大嶽、阿武松、間垣の4つの部屋に属する親方を事実上破門とした。このとき二所一門は現職2人が立候補することが決定したことで11人が立候補する形となり、2002年以来の評議員による投票が行われた。結果、立浪一門に属する大島(元大関旭国)が落選し、貴乃花の当選が決定した。理事長となった武蔵川は貴乃花の一連の行動を厳しく批判した。このとき、兄弟子にあたる音羽山、大嶽(理事選当選直後に野球賭博問題で解雇)、元横綱2代目若乃花の間垣(2013年退職)、阿武松(元関脇益荒雄、2019年退職)らは当然のことながら貴乃花へ投票、当時大嶽の義父だった大鵬(元横綱・一代年寄)は、既に協会を定年退職していることから理事選へ出馬する貴乃花を精神面で応援し、縁の下の力持ちとして全面的にバックアップした。理事に当選した夜には、貴乃花に票を投じた親方らが大嶽部屋に集結し、大鵬に当選を報告をした。この一連の動きは「貴の乱」と称され、「相撲界の革命児」と報じられた。

日本相撲協会理事としての4期8年

貴乃花が理事に当選直後は、日本相撲協会では不祥事が山積していたが、のちにファンとの交流が盛んになり、相撲人気がV字回復を見せた。
2010年
当選後、音羽山、間垣、大嶽、阿武松ら二所一門を離脱した親方が中心となり「貴乃花グループ」を結成した。理事選から3日後の2月4日、貴乃花は臨時理事会に出席し、新弟子の教育を行う場である相撲教習所所長に就任した。奇しくもこの日、自分の引退と入れ替わりに横綱に昇進した朝青龍が初場所中に起こした暴行事件の責任をとって現役引退を表明した。新理事として早くも直面した大きな問題だった。貴乃花は朝青龍引退について「協会も本人も決断を迫られた大変な日だった」と振り返った。
また、夏場所中には、大関琴光喜ら現役力士が、阿武松部屋に所属し仲介役だった床山らの誘いを受け、元力士(幕下)が中心となり、で暴力団を胴元としたプロ野球を中心とした野球賭博に手を染めているとの報道が一部週刊誌で報じられた。その中には兄弟子で二所一門時代から苦楽をともにしてきた大嶽の名前もあった。これを受け協会は佐渡ヶ嶽(元関脇琴ノ若)、阿武松らから事情を聴くが、当初は弟子の関与を否定していた。名指しされた琴光喜本人も当初から関与を否定、夏場所14日目に受けた警視庁の事情聴取でも関与を否定していた。後日、一部週刊誌で阿武松部屋に所属する幕内力士がの野球賭博への関与と阿武松が暴力団と交際があることが報じられるが、阿武松は協会の事情聴取で関与を否定した。同じグループから起こった問題に貴乃花はさぞ心を痛めたであろう。6月に入り、当初は野球賭博への関与を否定していたが、一転して琴光喜らが野球賭博に関与していたことを認めた。野球賭博だけで29人の協会関係者が確認されたほか、掛け麻雀や横綱白鵬らが花札賭博を行っていたことも明らかになった。当初は名古屋場所の開催すら危ぶまれた。7月4日、名古屋市内のホテルで臨時理事会が開催され、琴光喜と大嶽は解雇処分、2014年に大関に昇進した豪栄道(現・武隈親方)、昨年引退した豊ノ島(現・井筒親方)ら18人の力士、理事長の武蔵川をはじめ、佐渡ヶ嶽、阿武松ら11人の親方に謹慎処分が言い渡された。そのため、武蔵川の代行を外部理事の村山弘義がつとめた。また貴乃花はその際、自分のグループから阿武松、大嶽らが野球賭博の中心となっていたことに責任を感じ、協会に退職願を提出したが慰留され、翌日宿舎で退職を撤回した。名古屋場所は予定通り開催されたが、NHKの大相撲中継が中止となる異例の事態となった。場所後、武蔵川が理事長を辞任、放駒が理事長に選任された。放駒体制では、わずか半年で審判部長に就任した。
野球賭博問題に関しては、翌年元力士3名と仲介していた人物の母親が「賭博開帳賭図利」およびその幇助の容疑で逮捕された。その後、東京地方における刑事裁判で4名のうち2名に懲役10ヶ月および執行猶予3年の有罪判決が言い渡されるなど相撲界をゆるがした大きな不祥事へと発展した。

2011年
初場所後の2月2日、前年の野球賭博問題に関する一連の操作で、警視庁が関与した力士から押収した携帯電話の中から、過去に消去されたデータを復元した結果、八百長に関与した力士13人の名前が明らかになった。相撲協会は関与したとされる力士らから事情聴取を行ったものの、力士らは関与を否定した。協会ないに調査委員会を設置した。また、協会は電子メールの内容まで公表した警視庁に対し批判的の意見をのべたものの、警視庁が公表した理由は「公共および公益性の観点」からだったと言う。理事長の放駒は会見で「協会存亡の危機」と述べ、謝罪した。大相撲における八百長に関する疑惑は以前からあったものの、大々的に報じられたのはこのときがはじめてだった。この騒動を受け、同月6日には例年3月に大阪で行われる春場所の中止が決定した。本場所の中止は戦後初の事だった。同時期に貴乃花・景子夫妻は、一部週刊誌て報じられた「自身の八百長に関する疑惑や相続の問題」に関する一連の記事について名誉を傷つけられたとして提訴していた裁判の「控訴審」が東京高裁で行われた。この時、担当裁判官から「八百長問題との関連性」について聞かれた代理人弁護士は、きっぱり否定したとされる。もちろん、控訴審の日程は、八百長問題が明らかになる前から決まっていたとされる。この年の名古屋場所、1988年春場所初土俵で唯一土俵に上がっていた同期で大関だった魁皇が現役引退を表明。貴乃花は「これからは相撲界のために一緒に頑張ろう」とエールを送った。

2012年
初場所後に行われた理事選に立候補し、再選。2期目がスタートした。職務分掌では地方場所(大阪)担当部長に就任、場所前にはなんばグランド花月の吉本新喜劇に出演して場所をPRした。
夏場所後には前年に引退した元大関魁皇の「引退年寄浅香山襲名披露大相撲」に出席し、断髪式で髷に鋏を入れた。式後、貴乃花は「自分達の時代が終わったと感じた。これからは今まで積もった話をしていきたい」と語った。

2014年
初場所後の理事選で3期目の当選。この時、審判部長をはじめ、協会常勤の総合企画部長などの5つの部長職を任された。この年から日本相撲協会が公益財団法人に移行される。また、懇意にしていた北の湖が理事長に再選され、相撲人気回復のための改革がスタート、この年の本場所が大入りが続いた。また、春場所後に横綱に昇進した鶴竜に雲竜型の土俵入りを披露した。

2016年
初場所後の理事選で4期目。協会執行部のナンバー3である巡業部長に就任した。また前年、理事長北の湖が急死したことより改選となった理事長選挙で貴乃花は立候補を表明、春場所前には気合いをいれて坊主頭にしていたことが話題となった。春場所後に行われた理事選では、八角との元横綱同士の決選投票となり、八角6・貴乃花2で八角の圧勝となった。


貴乃花一門の歴史

2010年に実施された理事選で貴乃花を支持した親方と大嶽、阿武松、間垣の4つの部屋で「貴乃花グループ」を結成した。

2012年
元小結旭豊が師匠をつとめる立浪部屋が新たにグループに加わった。

2013年
間垣部屋師匠の間垣が、健康上の理由で春場所を最後に協会を退職、弟子および裏方は、元横綱旭富士が師匠を務める伊勢ヶ濱部屋へ移籍。その中には、のちに大関に昇進した照ノ富士もいた。

2014年
に貴乃花グループにも協会からの助成金が支給されることが正式に決まり、「貴乃花一門」に改称した。既存の出羽海、時津風、二所ノ関、高砂、伊勢ヶ濱と並び6つの一門となった。

2016年
元関脇舛田山の千賀ノ浦が4月に定年を控えていたことから、貴乃花部屋の部屋付きだった元小結・隆三杉の常磐山が千賀ノ浦部屋継承が決定。常磐山と千賀ノ浦の名跡交換を行い、千賀ノ浦部屋は貴乃花一門に移籍した。

2017年
秋巡業中に発生した日馬富士による貴ノ岩への暴行事件で貴乃花を支持した錣山部屋、湊部屋が合流。両部屋は一門には所属していなかったものの、系列の部屋となった。

2018年
前年の暴行事件や貴公俊の暴行事件などの影響から貴乃花は、4月に「看板を下ろしたい」と申し出、了承されたことから、6月20日付けで貴乃花は一門から離脱した。これにより貴乃花一門は消滅した。その後、一旦は「阿武松一門」創設などが検討されたが、名古屋場所後に行われた理事会にて、「すべての親方が時津風、出羽海、二所ノ関、高砂、伊勢ヶ濱の5つのいずれかの一門に所属しなければならない」旨の決定がなされたことから、大嶽、阿武松、千賀ノ浦と系列の錣山、湊の5部屋は二所ノ関一門へ、立浪部屋は出羽海一門へ移籍となった。

横綱日馬富士による弟子・貴ノ岩への暴行事件とその対応から理事解任まで

2017年11月14日、横綱日馬富士が弟子の貴ノ岩にたいしてビール瓶で殴るなどの暴行を働いたことがマスコミで報じられた。この場所貴ノ岩は初日から休場していた。事の発端は秋場所、都内のバーで先輩にあたる元力士らと口論になったことだった。その後、秋巡業中に鳥取県内で母校の鳥取城北高校関係者や横綱白鵬(以下、白鵬)をはじめとするモンゴル人力士らが会食、その際、貴ノ岩がスマートフォンをいじるなどの態度の悪さに日馬富士が激怒し、貴ノ岩をビール瓶で殴り暴行を加えたものだ。その際、白鵬が仲裁に入ったことも後日協会の聴取などで明らかになった。
その後、秋巡業を終え力士らは九州場所のため福岡入りした。貴ノ岩は場所前の11月2日、貴ノはは部屋の宿舎がある福岡県田川市の市長を貴乃花や部屋の関取らと表敬訪問し、「二桁勝てるように頑張りたい」と抱負を語っていた。その3日後の5日に福岡市内の病院に入院、その際、怪我の後遺症とも言える「脳震盪」等で2週間前後の安静加療を要するという診断書が協会に提出され、九州場所を初日から休場した。事件が明るみに出たのは、それから2日後の14日(九州場所3日目)だった。この日、朝稽古を終えた日馬富士は、報道陣の取材に応じ「大変申し訳ない」と謝罪、この日からの九州場所の休場が決定した。その後、師匠の伊勢ケ濱(元横綱旭富士)とともに謝罪のため貴乃花部屋を訪問した。日馬富士・伊勢ヶ濱が到着したとき、貴乃花は会場である福岡国際センターに向かうため、車に乗り込んでいたが、2人の姿に気づいてもそのまま車を発進させた。2人は事前に連絡をしていなかったが、気配に気づきながら貴乃花が車を発進させたことが結果として謝罪拒否となった。日馬富士はのちにこの行動(謝罪拒否)されたことが、「現役引退」につながったが自著で振り返った。協会は当初、この問題については把握していたものの貴ノ岩が最後まで秋巡業に参加していること、通常通り相撲がとれていることなどから大事として認識していなかったが、このとき貴乃花は既に鳥取県警へ被害届を提出していた。この後、警察と協会に提出した診断書の相違や「ビール瓶で殴った」とされる報道を白鵬が否定するなど当初の報道との食い違いが見られ、貴ノ岩や師匠の貴乃花から具体的な説明がないことから、混迷した。事態を重く見た協会は、「協会への報告なしに鳥取県警へ被害届を出したこと」や「日馬富士、伊勢ヶ濱の謝罪に応じなかったこと」など貴乃花にたいして不信感を抱いた。貴乃花は自身や貴ノ岩への協会聴取について「警察が捜査中」であることを理由に断っているなど、貴乃花と八角をはじめとする協会執行部の対立の構図が浮き彫りになった。日馬富士は場所中にも鳥取県警の事情聴取に応じるなど操作に協力してきたが、先述の貴乃花部屋へ謝罪に行った際の貴乃花の態度を目の当たりにし、「親方やおかみさんに迷惑をかけた」という理由から11月29日、福岡の伊勢ヶ濱部屋宿舎で会見を開き、現役引退を表明した。貴乃花は日馬富士が貴ノ岩にたいして「礼儀と礼節を忘れず生きていってもらいたい」と言った言葉に、「話にならに」と怒りをにじませていたと言う。その後、12月3日に長崎県大村市からスタートした巡業には巡業部長として帯同しない事が決定、広報部長の春日野(元関脇栃ノ和歌)が代行した。貴乃花が巡業に同行しない背景には、11月28日に福岡市内で事件を受けて開催された協会内の危機管理委員会の講話の中で「貴乃花親方が巡業部長なら巡業に参加したくない」という白鵬の発言があったと見られる。それから1ヶ月後の12月28日に開かれたに本相撲協会の臨時理事会にて貴乃花が師匠としてまた巡業部長として、被害届を出した旨の報告を怠ったこと、協会の聴取に一貫して非協力的な態度を取り続けたことから「忠実義務違反」の名目で解任決議がなされ、年明けの2018年1月4日に正式に承認されたことで、人気を1ヶ月残したまま、2010年から約8年間つとめた相撲協会理事を解任された。



「貴乃花親方が巡業部長なら巡業には参加しない」

https://www.asahi.com/articles/ASKCZ7GBWKCZUTQP02Q.html

白鵬、講話で「貴乃花親方が巡業部長なら行きたくない」:朝日新聞デジタル

理事解任後

2018年1月4日に理事を解任された貴乃花は、役員待遇委員に降格し、指導普及部副部長となった。その後、初場所の2月2日に行われる理事選への立候補を表明した。理事は解任されても、立候補は認められている。しかし、一門は貴乃花ではなく、初当選時から行動を共にしてきた阿武松を擁立することで1本化する方向で動いており、貴乃花に出馬辞退を迫るも、これを貴乃花が一蹴。結局、貴乃花、阿武松2人が一門から立候補、他の一門と合わせて合計11名となったため協会員による投票が行われることとなった。結果、貴乃花は2表の得票数で落選。前年から続いている弟子の貴ノ岩が被害者の暴行事件における一連の行動による悪いイメージを払拭できなかった。理事選落選後の2月7日には、テレビ朝日系列でこの騒動に関する約2時間にわたる特番が放送され出演して思いを語り、さらに同じ週にはフジテレビ系の「グッディ」(2020年9月放送終了)に出演し、2005年以来の協会批判を繰り広げた。いずれの番組の出演も協会の承諾なしに出演したこと、さらに2月16日に行われた不祥事再発防止の研修会を欠席したことで、貴乃花に対する厳罰および懲戒を求める声が相次いだ。その後、力士や親方は春場所のために大阪へ移動するが、大阪移動後も貴乃花に関する報道が連日のスポーツ紙を賑わせた。場所2日前の3月9日に行われた年寄総会を欠席。同日、一連の事件に関する協会の対応について、内閣府の公益認定委員会に告発状を提出したことを明かしている。

貴公俊の暴行事件

2018年春場所中日の3月18日、弟子の貴公俊が付き人に暴行を働いた事実が明らかになった。この日、付け人が取り組みの時間を間違えたことが暴行の理由だった。貴公俊は、取り組み後に付け人の貴西龍にしたく部屋で複数回暴力を働いた。貴乃花は、この日は会場から離れていたという。その後協会から連絡が入り、貴乃花と貴公俊は翌日、協会関係者に謝罪した。なお、貴公俊は翌9日目から休場、夏場所は出場停止処分を受け全休した。その後、6月に大阪府警に書類送検され、同月13日には起訴猶予処分を受けた。

平年寄に降格 一兵卒として

春場所後の2018年3月28日、前年九州場所からの貴乃花の行動や弟子の暴行事件など貴乃花の責任を重く見た協会は、貴乃花へ理事会出席を要請した。その席で、一門の親方週からは、「勝手な理由で休む(会場にいないなど)はダメだ」という苦言があり、他の一門の親方週からは厳しい意見や質問、苦情など批判が相次いだ。親方衆の中には、貴乃花に対して「契約解除」を求める声も上がったという。また、貴乃花はこの日の人事で再び審判部に配属となり、理事選落選による協会の慣例から役員待遇から一旦委員に降格、翌29日に、暴行事件の影響も手伝って「平年寄」に降格した。横綱経験者が平年寄に降格することは極めて異例の事態であった。さらに、5月2日の理事会では、
3月に内閣府に提出した告発状が協会幹部に公開され、「事実と異なる」旨の指摘を受けると「間違っている点については改善する」と話した。6月20日付けで貴乃花一門が消滅し、無所属となった。同じ一門だった阿武松から一門属するよう説得されるも貴乃花は断固として拒否した。

退職届の提出と年寄引退を表明

2018年9月25日午後、衝撃の情報が伝わった。「貴乃花親方が日本相撲協会に退職届を提出」。このニュースは各局のワイドショーで速報として伝えられた。それから2時間後の午後5時、弁護士同席のもと記者会見を開いた。直接の理由は、3月に内閣府に提出した告発状のことで夏巡業中の8月7日に協会が依頼した外部弁護士より「告発状は事実無根に基づいてなされたもの」と結論付けられた書面が届き、貴乃花は「事実無根ではない」と否定するも、後日改めて「事実無根であると認めなければ、親方を廃業せざるを得ないという有形無形の要請をを受け続けた」とし、協会で「すべての親方はいずれかの一門に所属しなければならない、一門に所属しない親方は部屋を持つことはできない」決定され、「一門所属の条件として告発状の内容は事実無根であると認めることなどを要請されたが、貴乃花は「それを認めることができない」とした。また、部屋の力士や部屋関係者に迷惑がかかることから、力士、床山および世話人を「千賀ノ浦部屋に移籍することになった」と表明した。このとき実際に提出したのは、「引退届」で親方には引退という制度がないことから書類不備などの理由で同日中に受理されなかった。

日本相撲協会退職

会見翌日の9月26日、貴乃花部屋の弟子を受け入れる予定の千賀ノ浦部屋師匠の千賀ノ浦が貴のは部屋に所属する力士や床山などの裏方を受け入れるための署名捺印をするため、貴乃花部屋を訪問した。貴乃花が会見を行った前日のことを千賀ノ浦は、電話でのやり取りだったと説明。この日はじめて了承した形となった。その後貴乃花および千賀ノ浦が提出した書類に不備が見られたことから、退職届は再び不受理となり、正式な書類を提出したのは、9月29日だった。週明けの10月1日に臨時理事会が開かれ、「貴乃花の退職」と「力士らの千賀ノ浦部屋移籍」が正式に決定し、貴乃花はこの日をもって入門から約30年間所属した日本相撲協会を退職した。これにより貴乃花部屋は消滅した。貴乃花は部屋消滅後も現在の部屋跡地に居住している。

貴乃花部屋の弟子たちの反応とその後

秋場所後、貴乃花部屋の弟子たちにとって、師匠の退職は恐らく衝撃的なものだったであろう。貴乃花も会見で「泣き出す子もいた」と言っていたことからもその状況が手に取るように伝わってくる。弟子たちは、会見から3日後の9月28日、部屋でささやかなお別れ会を開いていた。参加した人によると女将である景子も涙を流していたという。このとき貴景勝は両親が電話やLINEなどで連絡しても連絡がなかったという。貴乃花の退職が決定した翌日の10月2日、弟子たちは貴乃花部屋から千賀ノ浦部屋に引っ越した。車に乗り込んだ際、貴源治が涙を流しハンカチで顔を覆っている姿が映された。暴行事件の被害者となった貴ノ岩は、福岡県行橋市ないのホテルで「巡業先で忘れ物をした」として付け人の貴大将に暴行を加えた。この事実は翌日報道された。貴大将の母親は元サッカー日本代表でサッカー解説者の松木安太郎と従兄弟同士であり、松木もレギュラー番組で当時の様子を語っていた。貴ノ岩は、事件の責任を取り巡業を途中休場した。しかし、7日に責任をとる形で現役引退を表明した。貴景勝は千賀ノ浦部屋所属としてはじめて迎えた九州場所で、初日から6連勝、その後御嶽海、高安に敗れるものの場所中は好調を維持し、13勝2敗の成績で初優勝を飾り、翌2019年春場所後に大関に昇進した。貴乃花の退職がなければと思うと悔やまれる。貴源治は2019年名古屋場所に新入幕を果たした。現在も十両の地位で相撲を取り続けている。貴公俊は千賀ノ浦部屋移籍後に四股名を「貴ノ富士」に改称。十両の地位で相撲を取り続けていたが、秋場所前の2019年8月下旬に再び付け人に暴行を加え、秋場所は出場停止処分となるが、10月に協会に引退届けを提出し、現役を引退。現在はプロレスラーとして活躍している。

貴乃花との関わり
18年九州場所前に宿舎のある田川市で行われたイベントに妻・景子とともに出席。旧貴乃花部屋の弟子たちもイベントに参加した。さらに九州場所で貴景勝が初優勝を決めたときには、支援者と田川市内で見守っていたという。その後スポーツ紙に「あたらな鍛練を始めよ」とエールを送った。さらに19年春場所で大関昇進を決めたときには、「健闘を祈る」と関係者を通じてエールを送った。
また、18年の冬巡業で付け人に暴行を加え現役を引退した貴ノ岩に対しては、「今後10年は会わない」「言語道断」と切り捨てた。自身が貴ノ岩を守り、協会を退職した直後のことで怒りに満ちていたと推察される。それ以降の弟子と貴乃花の関わりは伝わってきていない。

相撲協会退職後の貴乃花の活動

相撲協会退職前の2018年8月頃より、日本サッカー協会会長の川渕三郎氏らが発起人となり、「貴乃花応援会」が発足、それ以降は貴乃花部屋の公式サイト以外に、同会の公式サイトでもブログを更新するようになる。さらに貴乃花部屋の宿舎がある田川市で「田川応援大使」を引き続きつとめ、地元ファンとの交流を続けている。退職後、何度か自民党衆議院議員で元文部科学大臣の馳浩と何度か面会を重ねていたことから、「政界進出」と報道された。現に馳は貴乃花に翌19年の参議院議員選挙への出馬を打診したというが、貴乃花は政界進出を否定した。

2019年
2月2日、貴乃花は名古屋市内のホテルで「貴乃花応援会」を開催。一部では「政治資金を集めるために開催した」と報じられたが、この場でも貴乃花は改めて政界進出を否定した。さらに同月18日には、芸能事務所「Megu Entertainment」と業務提携を締結したことが報じられた。3月には、六本木ヒルズで子供たちに相撲を教える普及活動を開始。さらには絵本作家としても活動することを発表した。5月10日には、相撲普及活動の一環として「一般社団法人貴乃花道場」設立を発表。「相撲道に由来する伝統文化を通じての青少年の育成」を目的としている。6月、ふるさと納税サイト「ふるなび」のイメージキャラクターに就任し、現在もCMに出演している。それ以外にも国内での相撲普及活動の他、海外でも講演活動を行い相撲の魅力を広めるなど活躍の場を広げている。

2020年
4月より、神奈川歯科大学の特任教授に就任することを3月5日に発表した。

2021年
1月上旬、2019年に日本テレビなどで家族の絆を描いたデビュー作「光のテーブルとっても大切なカエルのおはなし」が紹介され、日本テレビの公式サイトで公開された。その後出版社と交渉に入ったものの、挿し絵を担当したイラストレーター鉄拳や絵本作成を企画した日本テレビからそれぞれ20%の印税を求められるなど契約面から出版社と合意に至らず、本の出版が頓挫したことが報じられた。










相撲協会退職後にも度々報じられる家族との確執

貴乃花と言えば、兄勝(若乃花)との絶縁騒動が世の中に知られているが、それ以外にも母、妻、息子との確執が報じられている。

母との確執
母で元女将、現在はタレントとして活動している藤田紀子(以下、藤田)との絶縁は14年以上にも及んでいるという。きっかけは亡き夫が貴乃花に藤田に関するデタラメなことを吹き込んだことだったといい、それを藤田が鵜呑みにしてしまったことだと、所属事務所の生島企画室のYouTubeチャンネルで語っている。以前から藤田は貴乃花の弟子・貴ノ岩が日馬富士から暴行を受けたときや貴乃花が相撲協会を退職したときにもワイドショーにテレビ出演し、涙ながらに語るなど母親としての思いが伝わる場面があった。

兄との確執
兄・勝とは、現役時代の1998年と父が死去した2005年に確執が表面化した。かつてはなかがよかった兄弟間の根深い確執に勝は、「もう2度と会うことはない」と話している。

母・兄との和解を受け入れるも…
相撲協会退職後の2019年3月、日本テレビで放送された「ザ発言X~勝負の一日」にて母や兄との和解を希望する一面があった。兄・勝のことを「お兄さん」と読んで思いを語り、母紀子についても語った貴乃花、これがきっかけとなったのが前述の絵本だった。それ以前の貴乃花の発言を巡り、母や兄も驚いた様子だったという。ここでも「政界進出が関係しているのでは」と噂された。しかし、2021年現在も和解に至っていない。

妻・景子との関係
1995年、妻・景子との結婚を発表した貴乃花。その後1男2女をもうけ、引退後には貴乃花部屋の師匠夫妻として部屋での稽古の様子の他、時折、夫婦揃ってテレビ出演するなどおしどり夫婦として知られていた。部屋のホームページでは親方、女将ともに弟子たちの様子をアップするなど良好な部屋運営がなされていると印象づけた。しかし、2017年6月に行われた元巌雄が師匠の山響部屋の落成式に次女を除く家族4人で出席した際に、貴乃花だけ別の席にいたことなどから周囲が異変を感じたと週刊紙で報じられた。また、2018年8月の夏巡業中に秋田県で貴乃花が意識を失って救急搬送されたときも見舞うことがなかった。さらに9月25日に行われたいわゆる「年寄引退会見」を開くことも景子は知らされていなかったという報道がありこの時点で夫婦関係はすでに破綻していたと考えられていた。貴乃花部屋消滅後の同年11月3日に行われた田川市内のイベントに景子も参加したが、薬指に指輪がなかったことも報じられている。先述の通り、11月26日に離婚が報じられた。翌日、貴乃花は日本テレビ系の情報番組「スッキリ」で離婚の真相を語っている。その後、景子には2020年12月、映画監督で実業家のジャッキーウーとの再婚が報道された。これを受け貴乃花は「幸せでいてくれたら」と元妻にエールを送っている






息子優一との関わりと勘当
貴乃花にまつわる近年の家族の話題といえば、なんといっても靴職人でタレントの息子・優一との関わりだろう。優一は父と同じ力士としての道を歩まず、中学卒業後に修行のためイタリアに渡った。帰国後の2016年頃から「靴職人」という肩書きタレントとして活動している。優一は2017年頃から現在の父の所属事務所と契約し、ラジオ番組も持っていた。同時期には高砂一門の八角部屋に所属する陣幕親方の娘と結婚した。2018年に本業の靴職人の仕事で納期遅れなどの問題が起こり、その際に事務所との契約を解除された。契約解除の背景には、父である貴乃花が「本業をおろそかにし、顧客などの関係者に迷惑をかけたこと」を理由に解除を申し出たことがあった。貴乃花は当初から靴職人と芸能活動の両立には反対だったという。同年、両親の離婚から1ヶ月も経っていない12月に離婚。芸能活動は事務所との契約解除後も続けている。靴職人やタレントの他、YouTuberとして活動していた時期もあった。昨年9月に歌手デビュー。その後父・貴乃花はSSK株式会社のCM記者発表で妻・景子の再婚の質問の次に優一の歌手デビューについて聞かれると、「勘当している」と親子の関係をたっていることを明かした。その理由については「愛車のバイクを売却した」など数多くのことが言われているが真相は明らかになっていない。一方で優一も反論するなど徹底抗戦を見せている。

最後に

今回、平成の大横綱貴乃花のこれまでの歩みついて記事を執筆しました。父は元大関で名大関とまで言われた貴ノ花、伯父は「土俵の鬼」といわれ日本相撲協会理事長まで務めた元横綱初代若乃花という相撲一家に生まれ、1988年に兄弟揃って入門。その家柄から「角界のサラブレット」と呼ばれ若貴兄弟は入門当初から注目されてきた。また、平成3年以降は「若貴フィーバー」が起こり、千代の富士引退後の相撲界を牽引してきた。その人気ゆえに兄弟の行くところには常にマスコミ関係者がいた。当初は、インタビューに饒舌に答えていた貴乃花だったが、1993年いわゆる「貴りえ騒動」のバッシング以来、相撲のこと以外でマスコミの取材に応じることがなくなった。それ以外にも、1998年の「洗脳騒動」や引退後にも兄弟間の確執が露呈したり、彼の行動は常にマスコミの注目の的となっていた。相撲協会退職後にもプライベートなことでマスコミを賑わせている。世間はいつもこうしたマスコミが報じる騒動だけが先行して注目されている感じが見える。貴乃花の実績を見ても、現役時代には、最年少記録を積み重ね横綱にまで上り詰め、優勝22回という輝かしい成績を残した。引退後も一代年寄として師匠として協会の理事として相撲人気回復につとめてきた実績があることは
記憶にとどめておきたい。今後の貴乃花に期待することとしては、道場を設立し、海外でも活動を行っていることから、相撲協会とは別の視点で海外へ相撲の魅力を伝えてもらうこと、多くの子供たちや外国人に相撲の魅力を伝えていただきたいと思う。

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