「たかなシアター六番街」-禁じられた遊び-

「たかなシアター六番街」-禁じられた遊び-

たかなシアター六番街、今回は1950年代のフランス映画「禁じられた遊び」を紹介します。


あけましておめでとうございます、と前回言っていたのも束の間。



もう新年が明けてから10日が過ぎ、世間もすっかり通常モード。個人的にはもう二月くらいの気持ちですわい……( ;∀;)



年を重ねていくと新年感がどんどん薄れていく、悲しみブルー。



さて、ワタクシは70~90年代の作品をメインにレビューしているのですが……今回はまさかの50年代!



まだウチのパピーとマミーさえ出会っていない頃の映画をご紹介致します。



この記事はミドルエッジおろか、シニアエッジになってしまうかも。笑

禁じられた遊び

モノクロ映画の超有名作

皆さんは「禁じられた遊び」という映画をご存知でしょうか。



タイトルだけ聞くとかなりムフフ♡なモノをイメージしそうですが、断じて違う(憤慨)



「なんだよたかなし亜妖、官能小説の紹介かよ」って思わないで欲しいよ。




1952年にフランスで制作されたドラマ映画で、時代も時代ですから……映像は白黒!



ワタクシ自身あんまりモノクロ映画詳しくないんですけど、これは本当に大好き。



戦時中のお話ですので決して明るいストーリーではありません。



そして主人公は子ども。



なんだか時代と大人に振り回される、やるせない姿を見ているだけでもの悲しくなるんですよね。それでも好きなんですけど。



約90分ですが、内容がギッシリしているので「え、それしかないの?」といった感じ。



気になる方はDVDを買うか(ベスト版的なのが出ているので1000円くらいで買えます)、アマプラで観るか、レンタルするか方法は様々!



ちなみに「禁じられた遊び DVD」で検索すると着エロのDVDが出てきます。ファミリー共有PCでの検索はご遠慮くださいまし。笑

幼き少女と少年の出会い

時は戦時中、激しい空襲に見舞われるシーンから物語は始まります。

突然の空襲に身を伏せ、緊迫した空気に包まれる街。人々は急いで逃げ回りますが次々と襲撃が……!



主人公のポーレットは愛犬を抱き、両親にうながされるままに身を伏せますが、まだ事態の深刻さがハッキリと分かっていません。



まだ5歳という幼さですから、状況を理解できていないのです。



愛犬が腕から飛び出すと、空襲が激しいのにも関わらず追いかけてしまうのでした。



運が悪く愛犬も、両親も死亡してしまいます。



あまり「死」に対して理解の無いポーレットはその場で涙を流すわけでもなく、ただ亡くなった愛犬の死体を抱き続けるだけ。



逃げ回る大人に「お嬢ちゃんも上に乗りな」と人力車へ乗せてもらうのですが、皆身を守る事で精一杯。皆が皆優しい人間なわけではありませんし、余裕がないのです。



愛犬は川に投げられてしまいます。ポーレットはこっそりと人力車を降り、川へ向かうのでした。



死体を抱きながら川の近くをうろうろしていると、牛追いの少年・ミシェルと出会います。

冒頭のシーンや服装から分かるように、ポーレットは「イイお家」のお嬢さんなのでしょう。それに反してミシェルの家・ドレ家は裕福でなく、どちらかというと貧しげ。



しかしポーレットが両親を亡くしたことを告げると、ドレ家の皆は彼女を迎え入れてくれるのでした。

「死」にはお墓を

ドレ家に来た日の夜、ポーレットはこんなところに居たくないとミシェルに訴えます。



彼女は「橋の上のパパとママのいるところへ行きたい」と漏らすのでした。そう、両親は橋の上で空襲を受けています。



やはり「死」に対してまだまだ深く認識できていないポーレット。ミシェルは11歳ですから、彼女よりも理解があります。



「もう橋の上にはいない。穴の中だよ」と伝えるのですが「それは雨が降っても濡れないため?」という返答が来てしまいます。



ミシェルは「多分」と複雑そうな顔を浮かべるのですが、翌日お墓の存在を彼女に教えます。そこで愛犬のお墓を一緒に作るのでした。

死んだら皆を土の中に埋める、一人じゃ寂しくないように……。



しかしポーレットは納得がいきません。愛犬を埋めるのですが、彼女の犬は独りぼっちで埋められてしまって可哀想だと主張するのです。



一人で寂しいのならお友達を探さなくてはなりません。



愛犬を想うポーレットの気持ちに応えて、ミシェルは色々な動物の死体を見つけては愛犬のお墓の側に次々と墓を立てました。



最初はただの子どもの遊び……と思いますが、次第にこれは「禁じられた遊び」と化していきます。



遂にポーレットは十字架に興味を示し出し、本物の十字架を使ってお墓を作りたくなってしまったのです。



ちょうどその時、ミシェルの兄・ジョルジュ(早乙女じゃない)が馬に蹴られた外傷で亡くなってしまいます。



一同は教会へ向かうのですが、そこにはたくさんの十字架、十字架、十字架……。



禁じられた遊びは、思わぬ方向へエスカレートしていってしまうのです。

幼さ故の残酷さ、無邪気さが突き刺さる

「禁じられた遊び」に手を出してしまう二人ですが、決して悪気はないのです。



無邪気さ故の残酷さと呼べるでしょう、彼らはただ「お墓を立てる遊び」としか思っていないのですから。



遊びの延長線上には何があるのか、無邪気さが招く物語の結末とは?見どころですね。



そして時代背景にも要注目。時は戦時中、ドレ家は子だくさんで決して裕福な家ではありません。



一人一人が生き延びるので精一杯。どこか子どもは大人の言いなり、全ては大人の都合で振り回されている印象を受けます。



戦争は悲しみだけでなく、どのような悪影響をもたらすのか。第三次世界大戦という話題が先日出回っていたばかりですから、今一度よく考えてみたいものです。




人によっては重苦しくて二度と観れない、子どもたちの無垢さが身に染みて痛い、という声もあるご様子。



たかなし亜妖的には大好きな作品なんですけどね~……時代の残酷さを物語っており。確かに心には突き刺さる内容ではあります。



少し平和に慣れ過ぎている現代の私達こそ、観るべき作品かもしれませんね。

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