1959年には、「四谷怪談」はもう1本、映画化されています。それが中川信夫監督の怪談映画の最高傑作として知られている「東海道四谷怪談」です。
この「四谷怪談」、新東宝としては2度目の映画化であり、鶴屋南北の原作としては実に21回目の映画化だそうです。
そして本作こそが初の「四谷怪談」のカラー映画です。
東海道四谷怪談
もう何というか、怨念と狂気の世界。怖い。と言うか面白い。流石に今でも高い評価を得ている作品だけのことはあります。クールな二名目俳優、天知茂の伊右衛門は素晴らしい。実はこの役、当初は嵐寛寿郎の予定だったのだとか。次いで丹波哲郎が候補にあがった後、天知茂に落ち着いたのだとか。
映画「地獄の黙示録」などで知られるフランシス・フォード・コッポラ監督が、「世界のオカルト映画の中で最高傑作だ」と本作を高く評価しています。
お岩の亡霊
1961年、加藤泰監督、主演は若山富三郎に藤代佳子によって、1961年「怪談お岩の亡霊」が公開されました。東映映画です。
この映画の特徴はですね、お岩さんよりも伊右衛門の方が怖いというところです。2度目の伊右衛門役ですが、若山富三郎、やってくれました。勝新太郎のお兄さんだけのことはあります。流石です。この伊右衛門は只のロクデナシです。サムライから遠く離れたヤクザです。そういった意味では勝新太郎が演じても面白かったかもですね。
この後、仲代達矢主演で「四谷怪談(東京映画)」が1965年に公開され、1969年に同じようなタイトル「四谷怪談 お岩の亡霊」が大映で制作されています。タイトルは変えた方が良かったんじゃないでしょうかね?監督は森一生、主演は佐藤慶と稲野和子のコンビです。
四谷怪談 お岩の亡霊
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天知茂、若山富三郎、仲代達矢、佐藤慶と、60年代は伊右衛門役にビッグスターが名を連ねていますねぇ。流石に皆さん素晴らしいです。同じ役であるにかかわらず、しっかりと個性を出しています。
で、戦後ここまで飛ばしてきた「四谷怪談」ですが、70年代には1本も制作されていません。
魔性の夏 四谷怪談より
70年代に映画としては制作されたなったとはいえ、四谷怪談をモチーフとした「新怪談色慾外道 お岩の怨霊四谷怪談(1976年)」は制作されていますし、1970年にはテレビドラマとして田村高廣主演で「日本怪談劇場 四谷怪談 稲妻の章・水草の章」が制作されています。
そして、待ちに待った映画は、伊右衛門:萩原健一、お岩:関根恵子、蜷川幸雄がメガフォンをとって、1981年「魔性の夏 四谷怪談より」として公開されました。
魔性の夏 四谷怪談より