竹書房
…竹書房。竹書房といえば、何を想像しますか?エロ本。そんなイメージでしょうか?確かに官能小説は竹書房の柱のひとつですね。

乱されたいの
しかし、それだけではありません。漫画雑誌や漫画単行本、小説、写真集などの出版に加え、映像ソフトの販売など実に幅広く展開してるんです。
その歴史をたどると麻雀に関する雑誌愛には心を打たれます。
イマイチ馴染みが薄い、しかし、実はスゴイ出版社「竹書房」をご紹介します!
月刊近代麻雀
竹書房の設立は1972年10月。野口恭一郎が作り上げました。で、何をやったかと言いますと「月刊近代麻雀」を創刊したんです。これは日本初の麻雀専門誌なんですね。

月刊 近代麻雀
画像は1978年のものですが、表紙をルパン三世で知られるモンキー・パンチが描いていますね。だからといって漫画雑誌ではありません。活字主体です。1975年に、やはり活字主体の「別冊 近代麻雀」が創刊されますが半年後には早くも「ジャンケン」と改称。

ジャンケン
で、順調にいくかと思えた「ジャンケン」でしたが、1977年には休刊(事実上の廃刊ですね)となります。
しかし、1977年は竹書房にとってターニングポイントとなります。「ジャンケン」は終わってしまいましたが、劇画主体となる「傑作劇画 近代麻雀臨時増刊(後の近代麻雀オリジナル)」が創刊されたのです。ここに竹書房の漫画時代が始まるんですね。

近代麻雀オリジナル
フリテンくん
1980年より「近代麻雀」「近代麻雀オリジナル」に連載され人気を博したのが植田まさし原作の4コマ漫画「フリテンくん」です。

フリテンくん
植田まさしの出世作品で今でも人気があるわけですが、「近代麻雀」に掲載されていた時こそ麻雀やギャンブルがテーマとなっていましたが、徐々にそのテーマは薄れていき、主人公さえ登場しなくなるという珍しい作品となっています。
「フリテンくん」は、その後も竹書房の雑誌である「近代麻雀オリジナル」「漫画ギャンブルパンチ」「月刊ギャグダ」を経て、現在でも竹書房の4コマ系雑誌の基幹誌といえる「まんがライフ」に「新フリテンくん」として掲載されています。
1981年には7話の短編からなるオムニバス形式の劇場用映画として公開されました。
竹書房のビルは「フリテンくん」の売り上げで建ったと噂されるほどのドル箱作品です。
別冊近代麻雀
1979年 「麻雀劇画(後の別冊 近代麻雀)」が創刊されます。

別冊近代麻雀
当時は今よりも盛んだったとはいえ、麻雀専門の漫画雑誌というのは、おそらく一般的には馴染みが薄いものではないかと思います。そもそも麻雀人口って少ないですもんね。女性にとっては特にそうでしょう。しかし、麻雀には根強い人気があり、大ヒット漫画が生まれてくるんですね。
麻雀飛翔伝 哭きの竜
「別冊近代麻雀」を代表する漫画と言えば、1985年から1990年まで連載された「麻雀飛翔伝 哭きの竜」でしょう。
印象的なカットの連続、ナレーション的な状況説明などが特徴で、麻雀劇画の流れを大きく変えた作品といわれています。

哭きの竜
まぁ、絵が上手いです。カットがいちいちカッコよく、ドラマチックに繊細なタッチで描かれています。そんなこんなで人気が出て、1988年から1990年までバンダイよりOVA作品としてリリースされました。
1992年にはスーパーファミコンのゲームとなっていますし、1995年には川本淳一主演で映画化もされています。2004年と2012年にはパチンコ台にもなっており、未だにその人気は衰えていません。
近代麻雀
竹書房は勢いに乗って1985年9月「近代麻雀ゴールド」を新たに創刊。しかし、1987年11月 「近代麻雀」を廃刊とします。 「近代麻雀」を廃刊とするのですが、1997年4月 5月号より「別冊 近代麻雀」を「近代麻雀」に改称します。今や麻雀ファンのバイブルと言われる「近代麻雀」がここに誕生するわけです。

近代麻雀
ちょっと整理してみましょう。1979年に創刊された「麻雀劇画」は「別冊 近代麻雀」と名称が変わり、活字主体の「近代麻雀」は1987年に廃刊。しかし、1997年に「別冊 近代麻雀」が「近代麻雀」となります。なんだか分かりにくいですね。
で、まぁ、その劇画主体となった「近代麻雀」を代表する作品と言えば「アカギ」ですかね。1992年4月号から「アカギ 〜闇に降り立った天才〜」は連載されました。
アカギ 〜闇に降り立った天才〜
1992年4月号から2018年3月1日号まで長きにわたって連載されていた「アカギ 〜闇に降り立った天才〜」。全36巻、全306話という長編です。ワンピースの方が全然長いじゃん、とか言ってはいけません。これは麻雀漫画なんですから。狭いパイの中でのこの記録はスゴイです。

アカギ-闇に降り立った天才
劇画と言うにはコミカルなタッチで描かれています。しかし、なんと言っても、テーマが麻雀ということもありますが、心理描写の面白さがこの作品の魅力となっています。
その魅力は、2005年10月4日から2006年3月28日まで放送されたアニメでも堪能することができます。
ファンなら既にご存知だとは思いますが、実はこの作品「天 天和通りの快男児」からのスピンオフなんです。興味のある方は、是非一読されてください。
1999年「近代麻雀」は月2回の刊行となり、2004年には新たに活字主体の月刊誌「別冊近代麻雀」が創刊されるも半年も経たずに廃刊。翌年には「近代麻雀ゴールド」休刊、そして2013年には「近代麻雀オリジナル」が廃刊という冬の時代を迎えています。
しかし、それでも、月刊誌へと移行しながらも、「近代麻雀」はまだまだ元気に頑張っているんです!意地、雑誌自体が厳しい現在、これはもう竹書房の麻雀愛にあふれた素晴らしき意地なんだろうと思います。