財津一郎と言えば、最近ではタケモトピアノのCMが印象に強いですが、ちょっと時代を戻すと生ダラで定岡さんがやらされていたモノマネ「非っ常にキビシ〜ッ!」のギャグが流行りました。
昨今は、ドラマへの出演が増え俳優のイメージが強くなっていますが、元々は吉本新喜劇に参加し、座長まで務めたバリバリの芸人で、コメディアンとしての活躍されていた方でした。
そんな財津一郎さんを出演作と共に振り返ってみましょう。

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俳優修業から吉本新喜劇へ
熊本で生まれ熊本で育った財津一郎さん。
元々は、神武天皇の時代から続いた名家だったそうですが、第二次世界大戦後の農地改革により土地も少なくなり、父親もシベリアへの抑留で不在だったために大変苦労した幼少時代を過ごします。
高校卒業と同時に大学受験のため上京しますが、早稲田大学の受験に失敗してしまいます。受験失敗後は、アルバイトをしながら榎本健一映画演劇研究所で演技を勉強することになります。エノケン学校卒業後は、劇団に入り「財津肇メ」の芸名で活動しますが、あまりパッとせずに大阪で出直しを図ります。
そこで1962年に吉本興業に拾ってもらい、1964年、吉本新喜劇に参加、芸名を現在の財津一郎に改めることとなります。翌1965年には、吉本新喜劇の座長に就任し、吉本新喜劇の舞台で活躍します。
そんな吉本新喜劇で、息子と激しく喧嘩をする父親を演じていたときに、家を出て行こうとする息子に向かって、「やめてチョウダイ」と、財津さんが思わず放ったセリフが大うけし、「~チョウダイ」が財津一郎の有名フレーズとなっていくこととなります。
『てなもんや三度笠』出演をきっかけに全国区へとブレイク!

てなもんや三度笠
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1962年5月6日にスタートした『てなもんや三度笠』は、開始当初こそ視聴率はそれほど揮わなかったものの次第に人気を博し、関西地区で最高視聴率64.8%という驚異的な数字を記録する大ヒット番組でした。
そんな『てなもんや三度笠』に浪人・蛇口一角(へびぐち いっかく)役で出演した財津一郎さん。手を頭の後ろから回して反対側の耳をつかんで甲高い声で叫ぶ「非っ常にキビシ〜ッ!」「〜してチョウダィ!」のギャグや抜いた刀の刃を蛇のようになめまわす、といった奇怪な動きが評判となり、一世を風靡することになります。
なお、途中からは写真師・桜富士夫(さくら ふじお)役に変更になったが、蛇口一角以上の変人ぶりを見せ、「てなもんやコンビ」と行動を共にし、「てなもんやトリオ」として最終シリーズまで出演しました。
活動拠点を東京に移し、俳優活動を本格化
吉本興業を1969年に退社し、活動拠点を東京に移します。
コメディアンとしてだけではなく、以前から志していた俳優としての道を本格的に歩み始めることになります。
有名な役どころとしては、「3年B組金八先生」の英語の教科担任・左右田先生があります。シーズン1から登場していますが、桜中学のボケ役教師を担当します。シーズン1以降は、あまり登場しませんが、スペシャル9では、地域教育協議会に参加していたり、ファイナルでもちゃっかり乙女の結婚式に出席したりと、ツボを押さえた出演となっています。
また大河ドラマにも3作品に出演しており、いづれも主人公を温かく見守るようなポジションの配役が多くなっています。
独特な存在感でCMでも大活躍!
「こてっちゃん」のCMに長年にわたり起用され、様々なパターンで財津一郎が出演するCMが見られる。
「タケモトピアノ」のCMは、現在でも放映されておりタケモトピアノ社長である竹本功一が財津の大ファンで、彼の持ちネタである「〜ちょーだい」という言葉が同社の企業特性にマッチしていたことから、採用されたそう。
「探偵ナイトスクープ」でもネタとして、「CM中の財津の歌声を聞くと赤ちゃんの泣き声が止まる」と取り上げられ、財津さんの声が、440ヘルツの音域に合っているため、赤ちゃんにとって心地よいとのことでした。
他にもNECの販促キャンペーン「バザールでござーる」の声を担当していました。

バザール・デ・ゴザール
2015年に自叙伝『聞いてチョウダイ 根アカ人生』を出版

聞いてチョウダイ 根アカ人生
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地元熊本の新聞である熊本日日新聞に連載していた「私を語る」を1冊の本にまとめて出版されたのが「聞いてチョウダイ 根アカ人生」です。
人生変えた恩師の言葉から「タケモトピアノ」や「こてっちゃん」などのCMの製作エピソードまで書かれており、財津一郎その人となりを知るには外せない1冊となっています。
同じ昭和9年(1934年)生まれの芸能人たちと結成した「昭和九年会」は、愛川欽也、坂上二郎、長門裕之、牧伸二、森山周一郎、藤村俊二、大橋巨泉、山本文郎、睦五朗など多士済々のメンバーでしたが、多くのメンバーが先に旅立たれていらっしゃいます。
赤ちゃんまで癒してしまう声と誰もが笑顔になるようなギャグと演技で、タケモトピアノのCM以外にもまだまだ活躍して欲しい財津一郎さんです。