ナインティナイン 岡村隆史   「天然素材」でトガり、ねるとん紅鮭団で「ほなね」、お笑いウルトラクイズで出川哲郎をシバき、一気に大ブレイク。

ナインティナイン 岡村隆史 「天然素材」でトガり、ねるとん紅鮭団で「ほなね」、お笑いウルトラクイズで出川哲郎をシバき、一気に大ブレイク。

異色の若手時代。大阪で尖ってカミつきまくっているうちに関東のテレビ局ディレクタ―に見い出され、とんねるず、ビートたけしの番組でブレイク。大阪でとってから東京へという従来の手順を踏まず、一気に天下へ。


1991年9月、ダウンタウンが東京へいった後、多くの女性ファンを大阪の劇場から失った吉本興業は、ダンスもできるアイドル芸人ユニット「吉本印天然素材」をデビューさせた。
メンバーは、

雨上がり決死隊(宮迫博之・蛍原徹)
FUJIWARA(藤本敏史・原西孝幸)
バッファロー吾郎(竹若元博・木村明浩)
へびいちご(島川学・高橋智)
チュパチャップス(ホッシャン・・宮川大輔)
ナインティナイン(岡村隆史・矢部浩之)

という6コンビ12名。
NSC7期生の雨上がり決死隊を中心に、8期生のUJIWARA、バッファロー吾郎、そして9期生の岡村たちからんでいくスタイルだった。
この通称「天素(てんそ)」、あるいは「天然素材」は、1ヵ月後には、日本テレビ「吉本印天然素材」、TBSの「ピカピカ天然素材」と関東の深夜にレギュラー番組を持った上、全国でライブを展開。
アイドル的人気を獲得していった。
これに対し、松竹芸能から

ますだおかだ
TKO
よゐこ
のイズ

という4組8名、「松竹印人工素材」、通称「じんそ」がデビュー。
しかしすぐに消滅。
やはり人工は天然に勝てなかった。

天然素材で押しの強い先輩と同期に囲まれた岡村は、
「この認知度が高いコンビの中で、どうすれば観ている人間にインパクトを与えることができるか?」
を考え、他のメンバーがジーンズなどにカジュアルな服装の中、矢部と2人だけスーツを着たり
「インパクトを残すことが重要」
ととにかく動き回った。
そのキレとアクションは、宮迫、原西と共に「動きの新御三家」といわれ、ダンスでもセンターで踊った。
一方、矢部は
「ダンスでけへんし、嫌いやし、後ろの方やった」
メンバーで1番ダンスが下手なのは、1番真面目な蛍原徹。
1番モテたのは宮川大輔。
宮川が1人暮らししていた大阪のマンションのポストから、公共料金の支払い用紙を抜きとり、コンビニで支払いを済ませるファンもいた。
宮川は入れてあった領収書がみて恐怖を感じ、すぐにポストにカギをつけた。

天然素材は、うめだ花月を中心に活動し、2丁目劇場で活躍するベイブルース(7期生)や千原兄弟(8期生)と張り合った。
15歳でデビューした千原ジュニアは、同い年や年上の後輩が多く、彼らから敬語で話されたりしていた。
岡村も4歳上の1年後輩。
あるとき岡村がレゲエクラブの2階にいるとき、1階でジュニアとメッセンジャーの黒田有が入店。
客の女の子に
「なんかおもろいことやって~」
とリクエストされ、黒田は尻を出した。
しかし
「全然おもんないねんけど」
といわれ
「オラァ~!」
とキレた。
女の子の周りにいた男たちともみ合いなり、仕方なくジュニアも参戦。
岡村は、騒がしくなった1階をのぞき込んで
「おらあァッー」
と暴れるジュニアを目撃。
「関わってはいけない」
と思った。
その後、
「ジュニアは危険人物」
といって、笑いをとってしまう。
ジュニアは自分のラジオ番組でリスナーからのハガキでそれを知り、ボソッとつぶやいた。
「シバいたる・・・」
ジュニアが住んでいたマンションの1階には飲食店の入っていたが、ある日、帰ってくると店員に
「宮迫さんと岡村さん来てますよ」
と教えてもらった。
ベロベロに酔っ払っていたジュニアは、店に入って先輩の宮迫博之に挨拶。
そして
「アレッ?
小っちゃいの、挨拶あれへんな。
オイッ、何かおかしない?」
とカラみはじめたが、ちゃんと挨拶する岡村をみていた宮迫に怒られた。
(この後、2人はいよいよ近づくことがなく、2011年の「笑っていいとも!増刊号生SP」で初共演したとき、近くにいるのに、まったく会話を交わさず、翌2012年の「めちゃ×2イケてるッ!」でやっとまともに共演した)

1992年10月9日、フジテレビで「新しい波」という深夜番組が放送スタート。
毎回、1~2組の若手芸人がネタとトークを披露するという新人発掘番組。
4人のディレクターは、出演者を探さなくてはならなかった。
その1人、片岡飛鳥は、大阪へ飛んで、松竹芸能でよゐこと出会った。
「初めて会った有野と濱口は、まともに挨拶もできないクセに、やたらとおしゃれな若者で、夜、飲み会でも酒をすすめたら「あ、僕らジュースでいいんで」って。
僕は、懐いてこない2人のことが逆に好きになって、すぐに「新しい波」に呼んだんです」
10月23日、「新しい波」の3回目の放送に、よゐこが出演。
片岡飛鳥がよゐこの次に見つけたのが、ナインティナインだった。
日本テレビの深夜番組「吉本天然素材」をみていて
「画面の隅でピョンピョン跳ねている小さいヤツ」
に目が止まり
「あの小っちゃい子供、誰?
大阪っぽくないなあ」
と興味を持った片岡飛鳥は吉本興業に電話。
「ナインティーンとかいう名前のコンビニ会いたい」
「ああ、ナインティナインやろ?」

東京でオーディションと聞いて、吉本は
「雨上がりじゃなくてナインティナイン?」
と驚いたが、大阪に住んでいた岡村もビックリしながらフジテレビに向かった。
面接が始まり、書類に身長160㎝と書いてあるのをみた片岡飛鳥は、
「160もないでしょ?」
岡村は、バツが悪そうにペコリ。
片岡飛鳥は、その表情と動きに、ネタをみる前から心を射貫かれてしまった。
「156㎝しかないのに160㎝って書くって思春期丸出しでしょ。
矢部も爽やかでイケメンだったけど、服とかバッグとかビンボー丸出しだった」
12月23日、ナインティナインは「新しい波」の10回目の放送に出演。
この後、同番組では、オアシズ、極楽とんぼ、キャイ~ンなども出演。
彼らをスカウトしたのは片岡飛鳥で、彼が1番天才だと思ったのは有野晋哉、2番目が山本圭一だったという。

1992年12月25日のクリスマス、岡村が
「ロンブー、キンコン、オリラジ、はんにゃ以上に女性に人気があった」
というほど若い女性からアイドル的扱いを受けていた天然素材が後楽園ホールでイベント。
超満員の中、収録も行われ、イベントが終了後、出待ちが何百人もいたため、メンバー1人1人に警備員がついてタクシーに乗った。
岡村は、1年後輩にあたる東京芸人、キャイ~ンの天野ひろゆきから
「踊ってキャーっていわれてるんだよね」
といわれたことがあった。
天野からしてみれば、天然素材のアイドル的人気に対するうらやましさと負けじ根性から出た毒舌だった。
岡村は踊ることもキャーキャーいわれるのも大好きだったが、
「アイドルみたいに騒がれているだけでみんな笑ってへんやん。
笑かさなアカンやん。
踊ってどうすんねん」
という気持ちも持っていたので、天野の言葉はコタえた。

天然素材の総合演出、谷口秀一は、佐藤B作が主宰する劇団東京ヴォードヴィルショーを手掛けたこともある人物。
しかし岡村は、その指示に素直に従わず、反発することもあった。
「お互いに尖ってたのよ。
演出家の方も尖ってたし、俺らも尖ってたから。
ダンスとかさせられて、集団コントとかコンビネタで暗転使うな、音楽使ったらアカンとかいわれて、なんやねんって。
凄い厳しかったのよ。
演出家の方も絶対に尖ってた」
ライブ「天然劇場」の初日、2時間のショーの最後、メンバー全員で
「ありがとうございました」
と礼をしたが、他のメンバーが手を振って客に応える中、ナインティナインだけ会釈して降壇。
そのときのことを岡村は
「客に媚びるのはカッコ悪いって思ってた」
矢部は
「スカしてましたね」
という。

ライブ後、谷口秀一に
「高いところから低いところに水を流すヤツがおる」
といわれ、岡村は
「完全に俺らのことをいわれてるな」
と思った。
「お客さん来てくれてるのに、なんでありがとうございましたって気持ちを表現でけへんのか。
最後にあんなことされたら舞台が台無しや」
と説教されたナインティナインは
「おっしゃるとおりです」
といったものの、
「2日目、どうする?」
と相談し、最終的に
「感謝の気持ちを表現したらエエねんやろ。
思いっきり深々と頭下げようぜ」
と決定。
必要以上に頭を下げ、再び和を乱した。
そんなことを続けているうちに宮迫に
「エエかげんにせぇよ」
と怒られた。

岡村は、総合演出家は嫌いだったが、ダンスの振付師、金谷かほりのことは好きだった。
金谷かほりにダンスのセンターポジションに抜擢された岡村は
「先生のことも好きやったし、先生の家に遊びにいったりしてた」
その金谷かほりが天然素材から離れることになったとき、谷口秀一は、
「お前らがいうこと聞けへん、遊んでばっかりやから、振り付けもまとまれへんで、先生が嫌気さして辞めることになりました」
と説明。
しかし岡村が、その後、
「先生、なんで辞めんの?」
と金谷かほりに直接、聞くと
「演出家と合わないから」
といわれた。
その後、総合演出との関係はますます悪化。
次第にユニット内でも隅の存在となっていき
「腐っていった」
という。
「このまま天然素材にいてもダメかもしれない」
そう思った岡村は、脱退をも視野に入れて、コンビのネタづくりに力しを入れ始めた。

1993年4月、毎週木曜深夜、フジテレビで「とぶくすり」が放送開始。
「新しい波」に出演したナインティナイン、極楽とんぼ、よゐこ、光浦康子がレギュラーに抜擢されたが、大久保佳代子は
「笑えないブス」
という理由で外された。
「とぶくすり」のメインキャストとなったナインティナインは、「上方お笑い大賞」に再チャレンジ。
昨年は
「策を練って確実に1位を獲る」
といろいろとデータを収集し

・審査員は、お笑いのプロだけでなく、作家や評論家など文化人もいる
・客層は、年配者が多い。
・こういう審査員や客から笑いをとるにはコントではなく漫才

と分析。
誰もが知っている「昔話」を題材に、中高年世代にもわかるボケをちりばめた。
しかし結果は

大賞:桂ざこば
金賞:横山たかし・ひろし
銀賞:雨上がり決死隊

と入賞ならず。
「コントはダメ。
若い人向けの笑いはダメといった考えに囚われてしまった。
完全に自分の策に溺れてしまった」
と反省。
何より悔しかったのは
「雨上がり決死隊が受賞したこと」
だった。

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