82年の紅白に出場したサザンオールスターズ!三波春夫パフォーマンスで大ヒンシュクだった!

82年の紅白に出場したサザンオールスターズ!三波春夫パフォーマンスで大ヒンシュクだった!

NHK紅白歌合戦が視聴率70%を記録する、厳粛ななる国民的番組だった時代。サザンオールスターズの桑田佳祐は「国民的歌手」三波春夫のコスプレをして歌ったがために、大批判を食らいました。しかし、「受信料は払いましょう」「裏番組はビデオで観ましょう」などと絶叫したパフォーマンスは、今なお伝説として語り継がれています。


紅白歌合戦。その予定調和を破壊するアーティストたち

日本人歌手にとってのひのき舞台・NHK紅白歌合戦。1951年から毎年12月31日に放送されている同番組は、格式と伝統を重んじるあまり、様式美に染まりまくっている節があります。

その予定調和な光景こそ、一家団欒の茶の間に求められる偉大なる退屈であり、風物詩的マンネリなのですが、しかし、出演アーティストの中には、安穏とした大晦日の一コマになることを良しとせず、ひと暴れかましてやろうと悪巧みする傾き者もまれにおり、その都度世間を騒がせてきました。

番組ロゴ

NHK紅白歌合戦 - Wikipedia

過去には、吉川晃司・長渕剛・DJ OZMAらが物議を醸す

近年、物議を醸したミュージシャンの代表格といえば、2006年のDJ OZMAでしょう。バックダンサーの女性が突如衣装を脱ぎ去り、下に仕込んでいた裸に見えるボディースーツ姿でパフォーマンスをしたことが、大いにヒンシュクを買っていたものです。

他にも、1985年の吉川晃司「ギター焼き討ち・破壊事件」、1990年の長渕剛「17分間電波ジャック事件」など、過去さまざまな事件がありましたが、これら問題行動の元祖とでもいうべきパフォーマンスを繰り広げたアーティストといえば、1982年のサザンオールスターズです。

『チャコの海岸物語』をひっさげて、紅白に出場したサザン

1982年の紅白は、サザンにとって、1979年以来、実に3年ぶり2度目の出場となりました。出場曲は『チャコの海岸物語』。セールス的に低迷していた当時のサザンが、やぶれかぶれに人気絶頂にあった田原俊彦の声真似で歌った同曲は、思いがけずオリコン年間8位の大ヒット。全日本有線放送大賞最多リクエスト歌手賞まで受賞し、晴れて、12月31日NHKホールの舞台に舞い戻ってきたのでした。

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“国民的歌手”三波春夫のパロディを演じた

第33回紅白歌合戦において、白組の6番手として登場したサザン。この時、ボーカルの桑田佳祐は、白い着物に厚塗りのメイクといったビジュアル。これは、彼らの前に白組5番手として歌唱した演歌歌手・三波春夫を意識した仮装でした。

三波春夫といえば、1964年東京オリンピックの『東京五輪音頭』や、大阪万博の『世界の国からこんにちは』と、国家的イベントのテーマソングを歌ったことから、「国民的歌手」と呼ばれていた歌謡界の大御所です。

三波春夫

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「受信料は払いましょー!」「裏番組はビデオで観ましょー!」と絶叫

そんな三波を真似て、桑田は『チャコの海岸物語』を演歌風に熱唱。「ありがとうございます」「神様です」など、歌いながら合間合間に、三波の口癖も挟んでいました。これだけでも、なかなかの悪ノリっぷりですが、極めつけは間奏における口上。

「放送禁止」とは、前年の1981年にリリースされた原由子 のデビューシングル『I Love Youはひとりごと』を指しているものだと思われます。それにしても、NHKで「受信料は払いましょう」「裏番組はビデオで観ましょう」とは、なんとも大胆な発言です。
当時の紅白というのは、今よりももっと厳粛かつ神聖な場と捉えられていました。ゆえに、桑田及びサザンに拒否反応を示した視聴者も多く、結果としてクレームが殺到したのです。

NHKから始末書を書かされる事態に

後年、この三波春夫パフォーマンスについて桑田は「ノッてただけ」「浮かれてた」「演ったあの場では楽しかった」と述懐しています。本人はウキウキだったみたいですが、しかし、NHKの上層部は相当お冠だったらしく、後日、桑田に詫び状を書かせたようです。
桑田も桑田で「詫び状なんか書くくらいなら二度と出ない!」と激怒。翌年1983年にも『東京シャッフル』をひっさげて紅白に出場したものの、それから長らく、サザンも桑田も大晦日のNHKホールには姿を現さなくなりました。

2014年に久しぶりに出演するも、ちょび髭パフォが物議を醸す

その後、桑田が紅白に出場したのは、食道がんから復帰した2010年の大晦日。実に最後の出演から27年後のことでした。

この時も、国営放送には似つかわしくない、下ネタ全開のパフォーマンスを繰り広げたり、2014年にサザンとして出場した際も、ちょび髭をつけて歌唱したことが「アドルフ・ヒトラーを真似たのでは?」と憶測を生んだりと、何かと一悶着起こしています。おそらくこの人、過剰なサービス精神ゆえに、いくつになっても何か突飛なことをしないと、気が済まないタチなのでしょう。

(こじへい)

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