前回まで2回に分けて紹介してきた伝記漫画、『アントニオ猪木物語』。
このアントニオ猪木率いる新日本プロレスのライバルだった、当時の全日本プロレスが期待の新人として華々しくデビューさせたのが、今回紹介する若き超大型新人、ジャンボ鶴田だった。
技とパワーの名レスラー、ジャンボ鶴田とは?

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70年代の全日本プロレスにおいて、ミルマスカラスやアブドラ・ザ・ブッチャーなど、濃いキャラクターの外国人レスラーに負けない存在感と「4つのスープレックス」を武器に、豪快でありながら華麗なファイトで一時代を築いた正統派レスラー、それがジャンボ鶴田!

当時の人気を物語る特集雑誌!
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ザ・ファンクスやハーリー・レイス、それに人間風車ビル・ロビンソンらと幾多の名勝負を繰り広げ、今も我々ミドルエッジ世代の記憶に残る名レスラーだった、ジャンボ鶴田。残念ながら、2000年5月13日に49歳の若さで帰らぬ人となってしまったが、この名レスラーを惜しむ声は未だに根強いものがある。

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だが、前回紹介したアントニオ猪木のブラジル時代のエピソードや、ジャイアント馬場の野球選手時代やプロレス転向に至るエピソード程には、試合以外でのジャンボ鶴田の人生はあまり人々には知られていないのでは?
そこで今回は人気プロレスラーの伝記漫画シリーズとして、ブルース・リーとカンフー映画ブームに沸く1974年に雑誌掲載された幻の伝記漫画『ジャンボ鶴田物語』を紹介することにしよう。
ジャンボ鶴田について更に詳しく知りたい方は、以下のリンクからどうぞ。
【ジャンボ鶴田】強すぎた怪物レスラーの足跡を辿る!数々の激闘を繰り広げた完全無欠のエース!! - Middle Edge(ミドルエッジ)
『ジャンボ鶴田物語』概略
この『ジャンボ鶴田物語』が掲載されたのは、『別冊少年チャンピオン』1974年3月号。作者は大倉元則先生で、45ページの大長編漫画として掲載されていた。

掲載誌表紙

折込ピンナップもジャンボ鶴田だった!
以前紹介した『ザ・デストロイヤー物語』の時も折り込みピンナップが付いていたが、既にタレントとしてお茶の間の人気者となっていたデストロイヤーとは違い、本作が掲載された時はまだ新人レスラーだったジャンボ鶴田。このことからも当時の彼の人気振りがお分かり頂けると思う。
『ジャンボ鶴田物語』内容紹介

本作の扉絵

鶴田友美誕生!
未熟児として生まれた時は、小さくてまるで女の子の様に可愛らしかったため、両親によって友美と名付けられた、後のジャンボ鶴田選手。まさか後にプロレスラーになるとは!

幼少時の鶴田を突然襲った病魔!
鶴田が小学校4年生の時、突然の病魔が彼を襲うことに!漫画では重病の様に見えるが、この時の病気、実は盲腸だった。だが、手術の手違いにより鶴田は生死の境をさまようことに・・・。

病気の後、すっかり元気に成長した鶴田。

高校で野球部に入部して大活躍!

ある理由により野球の道を断念、バスケの道へ!
急死に一生を得た鶴田はスクスク成長!中学時代は相撲取りにスカウトされるまでの立派な体格へと、見事に変貌を遂げることになる。高校に入学してからは野球部に所属し、恵まれた体格を生かしてエースで4番として大活躍!甲子園を目指して練習に明け暮れていたが、受験勉強が災いして視力が急激に低下したため、野球の道を断念せざるを得なくなってしまった。その後はバスケットボールの道で大活躍し、見事に全国大会出場を果たすことになる。

ついにレスリングの道へ進むことに!

アマレスからミュンヘンオリンピック選手に!

最愛の父の死、そしてプロレスの道へ。
中央大学の法学部へと進学した鶴田は、ついにアマチュアレスリングの道へ。何と入門一年後には、全日本アマチュアレスリング選手権で見事三位に入賞!更にその後、レスリングの日本代表選手として1972年のミュンヘンオリンピックに出場することになった。
順風満帆に思えた鶴田の人生だったが、何とミュンヘンオリンピック中に最愛の父が急死・・・。
こうしてオリンピック後は父の死をバネに、鶴田はプロレスの世界へと足を踏み入れることになるのだった。

ミュンヘンオリンピック後、修行期間を経てついにデビュー!

頑張れ、大型新人ジャンボ鶴田!
後述する通り、デビュー直後に掲載された伝記漫画のためか、ジャンボ鶴田のプロレス時代の描写は、残念ながらラストのわずか4ページしかない本作。ただ、その分残りの40ページを使って鶴田がどうやってオリンピック選手になり、プロレスの道を志すに至ったかが克明に描かれているため、現在の目から見ても非常に貴重な資料となっている。
最後に
いかがでしたか?
本文でも紹介した通り、ジャンボ鶴田のリングデビューが1973年10月9日なのに対して、この伝記漫画が掲載されたのは1974年3月号。デビュー後半年にして、早くも自身の伝記漫画が掲載されたことからも、この当時のジャンボ鶴田と全日本プロレスの人気の凄さがお分かり頂けると思う。
残念ながら例によって本作も単行本化されておらず、読むためには掲載誌を探すしか無いのが実情だ。今となっては貴重な内容が含まれていることも多い、これら70年代の伝記漫画たち。一日も早いアーカイブ化及び単行本化が望まれるところだ。