1962年公開『噂の二人』オードリー・ヘップバーンとシャーリー・マクレーンの残酷で美しい同性愛を描いた映画!

1962年公開『噂の二人』オードリー・ヘップバーンとシャーリー・マクレーンの残酷で美しい同性愛を描いた映画!

「愛するだけでも罪なのですか?」と訴えかけてくる映画、『噂の二人』。そんなことを考えさせられる内容でした。カレン扮するオードリー・ヘップバーンが一本道を颯爽と歩くシーンは、社会の変革に先駆ける女性を表しているようでしたね。そんな彼女の美しさは今も輝いています。


当時、ハリウッドには、倫理チェックを自主的に行おうとする「ヘイズ規制」があった。

配給協会初代会長ウィル・H・ヘイズは、大衆に良質な映画を贈ろうという理念のもとに、あらわなセックス・シーンや暴力描写を禁じようと製作の企画段階から完成に至る全行程を倫理審査委員会の監視下に置いたのです。
そして、不道徳な戯曲「子供の時間」の映画化ということもあり、要監視の判定を下した「この三人」(後の『噂の二人』)に、製作するについて幾つか条件が出されました。

戯曲の映画化と分かるような題名の使用や広告をしないこと、映画中に同性愛を仄めかさないこと。
この規制によってヘルマンは、この物語を、ありふれた三角関係の話に書き換え、ワイラーは、不本意な映画を撮ることとなりました。
この「ヘイズ規制」は、アメリカン・ニューシネマの登場までの長い間、ハリウッドを支配したと言われています。
しかし、一面では、この規制があったから、皮肉にも(?)
例えば、キス・シーンをどのように美しく、しかも官能的に撮るかという工夫や高い技術を極められたとも言われています。

ファンの感想

今だから「こういう価値観もあっていいよね」と思えるようになったこの頃。
まだまだ偏見が多い世の中ではありますが、少しずつ改善されていく在り様が救われますね。
そして、守ってあげたくなるほど、思いを告白するシーンには胸を打たれ、マクレーン可愛かったのは同意。ラストのオードリーはなんかもう神々しいくらいにかっこよかった。

そのクソ憎たらしいガキの役がすごくハマっていて、
リアルにいたら嫌だけどフィクションとしてはとてつもなく面白いキャラクターでした。

噂や偏見も怖いもの。
そしてやはり一番こわいのは…
人の、「こうだからああなる」という根拠のない“思い込み”なのかもしれません。

まとめ

「噂の二人」は、いわば当時にあっては、タブー視されていた同性愛を扱ったシリアスな物語です。道徳諸団体や、「良識」あるファンから危惧や反対が当然あったでしょう。
それでも、そうした圧力のなか、この「噂の二人」に敢えて、出演しようとした意気込みは並大抵なものではなかったろうと思います。
(そこらへんに「お姫様女優」というイメージから脱しようと、懸命に意欲的な作品を模索した彼女の焦りもあったかもしれませんね。)
当時はたとえ噂話としても同性愛をほのめかすのは憚られ、
「ヒロイン2人と男性の三角関係」に脚色されたとのこと。
これは“作品の根幹を変えてしまう”変更ですが、
ヘルマン自身がこれを承諾した事実からも、
80年前のアメリカでは同性愛というものがどれほどのタブーであったのがうかがい知れますね。
その風潮は25年後の1961年でもまだ強く、登場人物の誰もが口にするのをためらうほど。
例えば騒ぎの発端となる少女は、2人の関係を有力者である祖母に告げ口するとき、
「大きな声ではとても言えない」と言って耳打ちします。その瞬間に祖母は目を剥いて驚愕しています。

ここら辺、唐突ですが、
不意に筆者は、
江口寿史さんの『ストップ!!ひばりくん!』のひばりくんのお父さんを思い出します。

こちらのお父さん、ひばりくんの女装癖を「異常だ!」とか「その性根叩き直してやる!」とか、
息まいて矯正にかかるんですよね。
ひばりくんの連載が1980年代でしたから、これでも偏見が強かったこの頃。
1962年に公開されたとき、日本人はどんな反応だったのか気になるところです。
何にせよ、人を愛するのに、ただ愛することだけでも
タブーとされていた時代があり、
人としての尊厳もかかわっていた上に自己否定にすら走らざるをなかった、
というのは何とも切ないことですね。
無理に愛を押し付けるのはいけないことですが、
何れにせよ、今時代は
ただその人が生きていることを喜ぶことを許してくれる時代であってほしいものです。

関連リンク

1980年代版男の娘!?「ストップ!!ひばりくん!」の“ひばり”くんをLGBTで読み解くと…? - Middle Edge(ミドルエッジ)

一条ゆかりさん『砂の城』――恋とは熱く切なく激しいもの……しかし、包(くる)むような思いの形を示した男の愛し方に迫りましょう。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

関連するキーワード


映画 洋画 1960年代

関連する投稿


抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

高校時代からモデル活動を始め1986年に「カネボウ・スイムウエアイメージモデル」として脚光を浴びた広田恵子さん。現在は家族で〇〇を組んで活動している・・・。


「世界・ふしぎ発見!」のミステリーハンターも務めた女優『ジュリー・ドレフュス』!!

「世界・ふしぎ発見!」のミステリーハンターも務めた女優『ジュリー・ドレフュス』!!

1991年3月にミステリーハンターとして登場されると出演回数8回で、出演回数ランキング33位となるジュリー・ドレフュス さん。2013年出演のドラマ「老舗旅館の女将日記」を最後にメディアで見かけなくなり気になりまとめてみました。


「ひとりでできるもん!」の主人公で3代目まいちゃんの『伊倉愛美』現在は?!

「ひとりでできるもん!」の主人公で3代目まいちゃんの『伊倉愛美』現在は?!

2000年4月から『ひとりでできるもん!』に主人公・今田まい(3代目まいちゃん)役としてレギュラー出演した伊倉愛美さん。現在は結婚されお母さんに・・・。


中学3年生でモデルデビューした「ワンギャル」第4期生でモデルの『 竹下玲奈』!!

中学3年生でモデルデビューした「ワンギャル」第4期生でモデルの『 竹下玲奈』!!

鹿児島県奄美大島で生まれ育った竹下玲奈さん、15歳当時の中学3年生時にスカウトを受け、1997年に雑誌『プチセブン』誌上でモデル業を開始しワンギャルとしても活躍されていました。


「ニューモモコ」グランプリに選ばれCM、グラビアで活躍した『古川恵実子』!!!

「ニューモモコ」グランプリに選ばれCM、グラビアで活躍した『古川恵実子』!!!

1992年にニューモモコグランプリに選ばれCM、グラビアで活動されていた古川恵実子さん。2010年3月頃まではラジオDJを担当されていましたが、以降メディアで見かけなくなりました。気になりまとめてみました。


最新の投稿


プロレス四天王・小橋建太&田上明、博多大吉と豪華共演!トークイベント「Talkin' Dream」開催決定!

プロレス四天王・小橋建太&田上明、博多大吉と豪華共演!トークイベント「Talkin' Dream」開催決定!

プロレス界の黄金期を築いた「全日本プロレス四天王」の小橋建太氏、田上明氏と、"プロレス博士"として知られる博多大吉さんが集結するトークイベント「Talkin' Dream」が、2025年11月16日にLOFT9 Shibuyaで開催されます。夢の豪華スリーショットが実現!貴重な裏話や思い出話が聞けるチャンスです。


祝!放送55周年『サザエさん』が初のアーケードゲーム化!KONAMIから「まちがいさがし」が2026年春登場

祝!放送55周年『サザエさん』が初のアーケードゲーム化!KONAMIから「まちがいさがし」が2026年春登場

放送開始から55周年を迎えた国民的アニメ『サザエさん』が、コナミアーケードゲームスより初のアーケードゲーム化!タッチパネルで楽しむ「まちがいさがし」が2026年春に稼働予定です。アニメ本編の画像を使った問題や、2人対戦モードなど充実の内容で、小さなお子様からシニア層まで幅広い世代が楽しめる期待の新作です。


【懸賞金10万円】クレーンゲームの原点!国産初「クラウン602」全国大捜索プロジェクト始動

【懸賞金10万円】クレーンゲームの原点!国産初「クラウン602」全国大捜索プロジェクト始動

今年で誕生60周年を迎える国産初のクレーンゲーム機「クラウン602」の実機と情報を、タイトーが全国で大募集する「#クラウン602を探せ!」プロジェクトを開始。高度経済成長期に夢を与えた幻の筐体を次世代に継承するため、実機情報提供者には賞金10万円、思い出エピソードの提供者には抽選で最新ゲームソフトが贈呈されます。募集期間は2025年10月24日から2026年1月16日までです。


特撮愛あふれる「永遠のスケッチ」金谷裕~特撮画展が台場で開催!初代ウルトラマン・古谷敏氏も来場

特撮愛あふれる「永遠のスケッチ」金谷裕~特撮画展が台場で開催!初代ウルトラマン・古谷敏氏も来場

漫画家・金谷裕氏のイラスト画集『オール・ウルトラマン・スケッチ・ギャラリー』の刊行を記念し、「特撮画展~Hiroshi Kanatani TOKUSATSU SKETCH GALLERY~」がグランドニッコー東京 台場にて開催されます。円谷プロのウルトラマン・怪獣に加え、東宝など5社の特撮キャラクターのイラスト全235枚を展示。会期中の11月29日には初代ウルトラマンスーツアクターの古谷敏氏のサイン会も実施されます。


赤塚不二夫が生誕90周年!RIP SLYME、氣志團ら豪華出演陣が渋谷に集結する記念音楽フェス詳細発表

赤塚不二夫が生誕90周年!RIP SLYME、氣志團ら豪華出演陣が渋谷に集結する記念音楽フェス詳細発表

漫画家・赤塚不二夫の生誕90周年を記念したミュージックフェスティバル「コニャニャチハのコンバンハ!」の詳細が解禁されました。2025年12月5日・6日にLINE CUBE SHIBUYAで開催。RIP SLYME、氣志團、小泉今日子らが赤塚スピリッツ溢れるステージを披露します。チケット先行抽選は10月20日(月)からスタート!