類い稀な才能を持ちオシャレ音楽の塊である加藤和彦の通称「ヨーロッパ三部作」。バックを務めたのはYMOだ!

類い稀な才能を持ちオシャレ音楽の塊である加藤和彦の通称「ヨーロッパ三部作」。バックを務めたのはYMOだ!

ザ・フォーク・クルセダーズやサディスティック・ミカ・バンドでの活動が有名な加藤和彦。ソロとしては「あの素晴しい愛をもう一度」のヒットで知られていますね。時代毎にオシャレな音楽を作らせたら右に出るものはいないとも言われている彼が当時大人気だったYMOを従えて作り上げた3枚のコンセプト・アルバム。それが日本ロックの宝「ヨーロッパ三部作」です。


加藤和彦

アマチュア時代を経て1967年に「ザ・フォーク・クルセダーズ」でデビュー。「ザ・フォーク・クルセダーズ」解散後にソロ活動と並行して「サディスティック・ミカ・バンド」を結成しイギリスツアーも行った加藤和彦。ソロとして、またはバンドとしての活動以外にも多くのアーティストへの楽曲提供やプロデュース、映画音楽の担当など、日本の音楽界において大きな足跡を残しています。

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「ザ・フォーク・クルセダーズ」、「サディスティック・ミカ・バンド」に関しては再結成もあり認知度も高いのですが、それに比べると「サディスティック・ミカ・バンド」解散後のソロ活動の方は一般的にはあまり知られていないように思えます。

「サディスティック・ミカ・バンド」の解散は1975年で、翌年にソロアルバム「それから先のことは…」を発表します。シングル・カットされた「シンガプーラ」をはじめとして、安井かずみ(作詞)との長きにわたるコラボレーションがここから始まります。

加藤和彦のソロ作品において最も評価が高いのは「ヨーロッパ三部作」とよばれている3枚のアルバムです。
今聴いてみても確かに素晴らしいクオリティを誇る作品です。埋もれてしまうには(そんなことはないと思いますが)あまりにも惜しいこれらの作品をご紹介します。

パパ・ヘミングウェイ

アルバム「それから先のことは…」を1976年に発表した後、1978年にアルバム「ガーディニア」を発表。そして通算5枚目となるソロ・アルバム「パパ・ヘミングウェイ」を1979年に発表するのですが、これが「ヨーロッパ三部作」の1作目です。

1.スモール・キャフェ
2.メモリーズ
3.アドリアーナ
4.サン・サルヴァドール
5.ジョージタウン
6.レイジー・ガール 
7.アラウンド・ザ・ワールド
8.アンティルの日
9.メモリーズ (リプライズ)

パパ・ヘミングウェイ

内容はタイトルからも分かるようにアーネスト・ヘミングウェイの生涯をテーマにしており、録音もヘミングウェイゆかりの地でもあるナッソーのコンパス・ポイント・スタジオとマイアミのクライテリア・スタジオで行われています。

アルバムから「アラウンド・ザ・ワールド」と「ジョージタウン」が両A面シングルとして発売されました。

1979年
※両A面シングル

アラウンド・ザ・ワールド/ジョージタウン

どちらもいい曲です。特に「アラウンド・ザ・ワールド」は、ジャマイカの風を感じるさせるレゲエな名曲。
ですが、アルバムを代表する曲となると1曲目の「スモール・キャフェ」でしょう。

この曲をきっかけとしてヨーロッパ三部作が作られることになったというエポックメイキングな曲。タンゴ風の楽曲ですが、本作中もっとも(唯一?)のヨーロッパ的な曲でもあります。

うたかたのオペラ

「ヨーロッパ三部作」の第2作目は、1980年9月25日に発表された「うたかたのオペラ」です。録音はデヴィッド・ボウイ の「ヒーローズ」やU2 の「アクトン・ベイビー」などで知られる西ベルリンのハンザ・スタジオでレコーディングされています。

1.うたかたのオペラ 
2.ルムバ・アメリカン 
3.パリはもう誰も愛さない 
4.ラジオ・キャバレー 
5.絹のシャツを着た女 
6.Sバーン 
7.キャフェ・ブリストル 
8.ケスラー博士の忙しい週末 
9.ソフィーのプレリュード 
 10.50年目の旋律

うたかたのオペラ

うたかたのオペラ : 加藤和彦 | HMV&BOOKS online - COCP-39095

「うたかたのオペラ」は、1920年代のヨーロッパ文化に興味を抱いた加藤和彦が、当時世界屈指の産業都市だったベルリンをコンセプトにして作り上げたアルバムです。
前作同様にコンセプトに基づいた録音場所を選んだというわけですね。結果、その街のムードが濃厚に漂うアルバムになっています。

「絹のシャツを着た女」がシングルカットされ、アルバムと同時発売されています。

カップリング曲:サン・サルヴァドール

おかえりなさい秋のテーマ - 絹のシャツを着た女

この曲は、資生堂のキャンペーン・ソングとなりスマッシュ・ヒットしました。カップリングは「パパ・ヘミングウェイ」に収録されていた「サン・サルヴァドール」です。

更にもう一枚、「パリはもう誰も愛さない」とのカップリングで「ルムバ・アメリカン」が第2弾シングルとして1980年11月28日に発売されています。

カップリング曲:パリはもう誰も愛さない

ルムバ・アメリカン

ベル・エキセントリック

加藤和彦のソロ・アルバムとしては7枚目で「ヨーロッパ三部作」の最後を飾るのが1981年7月25日に発表された「ベル・エキセントリック」です。
このアルバムは先ず、ジャケットですね。金子國義の絵画が何と言っても素晴らしい!もう、これだけでヨーロッパのムードが漂います。

1.ロスチャイルド夫人のスキャンダル
2.浮気なGigi
3.アメリカン・バー
4.ディアギレフの見えない手
5.ネグレスコでの御発展 
6.バラ色の仮面をつけた
7.トロカデロ
8.わたしはジャン・コクトーを知っていた
9.ADIEU, MON AMOUR
10.ジュ・トゥ・ヴー

ベル・エキセントリック

録音はフランスのシャトゥ・スタジオです。つまりコンセプトもフランス。1920年代のパリです。
バックミュージシャンは「ヨーロッパ三部作」の他の2枚と同様に細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏のYMOの面々が全面的に参加していますが、前作では坂本龍一が病欠だったなどもあり3人が揃って参加しているのは本作のみとなります。
また、他にはギターに大村憲司、ピアノに矢野顕子とこれまたYMOファミリー全面参加といった感じになっています。

残念なのは当時の映像が残っていないことですね。TVには出ないし、ライブもあまりやっていませんでしたからね。その代わりと言ってはなんですが、CMには出ていました。

コンピレーション・アルバム

1982年3月に「アメリカン・バー」という「ヨーロッパ三部作」から選ばれたコンピレーション・アルバムが発売されました。

SIDE 1
1.うたかたのオペラ
2.パリはもう誰も愛さない
3.スモール・キャフェ
4.ラジオ・キャバレー
5.ディアギレフの見えない手

SIDE 2
1.アメリカン・バー
2.レイジー・ガール (
3.ルムバ・アメリカン
4.浮気なGigi
5.ロスチャイルド夫人のスキャンダル

アメリカン・バー

但し、残念なことに「アメリカン・バー」はアナログ・レコードとカセットテープでしか発売されていません。CD化はされていません。そのかわりと言ってはなんですが、2017年10月25日に「ヨーロッパ三部作・ベストセレクション」が発売されました。
全17曲。これ1枚あれば「ヨーロッパ三部作」を堪能することが出来ます。出来ますが、やっぱりここはオリジナルで3枚揃えて頂きたいものです。せっかくアルバム毎に録音場所も変えて丁寧に作りこまれているのですから。

1.AROUND THE WORLD  (from『PAPA HEMINGWAY』)
2.ADRIANA  (from『PAPA HEMINGWAY』)
3.SAN SALVADOR  (from『PAPA HEMINGWAY』)
4.GEORGETOWN  (from『PAPA HEMINGWAY』)
5.L'OPERA FRAGILE  (from『L'OPERA FRAGILE』)
6.RUMBA AMERICAN  (from『L'OPERA FRAGILE』)
7.PARIS, YESTERDAY  (from『L'OPERA FRAGILE』)
8.RADIO CABARET  (from『L'OPERA FRAGILE』)
9.CAFÉ BRISTOL  (from『L'OPERA FRAGILE』)
10.DOCTER KESELER'S BUSY WEEKEND  (from『L'OPERA FRAGILE』)
11.SOPHIE'S PRELUDE  (from『L'OPERA FRAGILE』)
12.FIFTY YEARS THEME  (from『L'OPERA FRAGILE』)
13.SCANDALE DE Mme ROTHCHILD  (from『BELLE EXCENTRIQUE』)
14.GIGI, LA DANSEUSE  (from『BELLE EXCENTRIQUE』)
15.BAR AMERICAN  (from『BELLE EXCENTRIQUE』)
16.DIAGHILEV, L'HOMME-ORCHESTRE  (from『BELLE EXCENTRIQUE』)
17.ADIEU, MON AMUR  (from『BELLE EXCENTRIQUE』)

ヨーロッパ三部作・ベストセレクション

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