超絶難易度・全方位シューティング『グロブダー』
『グロブダー』はナムコが1984年に発売したアーケードゲームで、ジャンルは(一応)シューティングです。
本作は名作シューティング『ゼビウス』に登場する敵キャラ「グロブダー」を操作して迫りくる敵を撃破していくという、所謂スピンオフ作品です。が、特筆すべきはその ”超” 難易度!全99ステージをデフォルト設定でノーコンティニュークリアしたというプレイヤーは稼動開始から30年以上現れず、もう人間にクリアは不可能なのではないかとまで言われていた中、2015年12月、32年越しに宇宙初の「デフォルト設定での全ステージノーコンクリア」を果たす猛者が現れたのでした。
この記事ではゲーム内容の紹介、ノーコンクリアラーが現れるまでの『グロブダー』、実際のプレイ動画、同年に発売された他のゲームソフトなどに触れていきたいと思います。

『グロブダー』PC移植版
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長らく、PC版以外の移植作品は作られてきませんでしたが、1996年にプレイステーション版、2006年にPSP版の『ナムコミュージアムvol.2』に収録、その後2009年にはXbox360版『ナムコミュージアム バーチャルアーケード』にも収録されました。他にも、Wiiのバーチャルコンソールアーケードでも配信されています。
個人的にオススメのPSP版『ナムコミュージアムvol.2』は、Amazonでは新品なら25,251円から、中古品なら1,979円から購入できます(※どちらも価格変動あり)。
新品はプレミアがついていますね、こだわりがなければ中古でお楽しみください。『ナムコミュージアムvol.2』には、『グロブダー』の他に『ゼビウス』『ドルアーガの塔』『ディグダグ2』『ドラゴンバスター』などが収録されています。
ストーリー
『グロブダー』について
ゲーム概要
本作は『ゼビウス』や『ドルアーガの塔』の開発スタッフによって制作され、チームが「低予算短時間で制作する」ことを目標とし、僅か3か月で完成させたという有名な逸話があります。
フィールド内に配置されている敵戦車・砲台を自機戦車「グロブダー」で撃破する架空の戦闘競技「バトリング」を題材としています。アニメ『装甲騎兵ボトムズ』などでもアーマードトルーパーを駆使して戦う競技のことを「バトリング」と呼んでいましたね。…脱線しました。
各ステージは「BATTLING1」「BATTLING2」などと呼ばれ、BATTLING1~99、つまり99ステージという大ボリュームが遊べます。
各ステージではどの種類の敵戦車・砲台が何台出るか、設置箇所がどのようになっているかが全て設定されており、運要素はあってもランダム性はほとんどありません(例外アリ)。基本的には後半に行くほど難易度が上がり、中でもステージ99のクリアは最難関と言われています。
ステージが進行するたびに敵の行動パターンや障害物の配置を予測し、その都度最適な行動を取らないとクリア困難になるよう作られており、当時のゲーマーからはシューティングではなくこういう種類の「戦略的パズルゲーム」とされていました。大ヒットこそしなかったものの、マニアックな戦略性が常連客の足をアーケードへ導いたようです。

『ナムコミュージアム Vol.2』PSP版
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ゲーム内容
プレイヤーはそのままゲームを開始すると1面からのスタートになりますが、砲撃ボタンを押しながら開始するとステージが選択できるようになっています。
基本的には、フィールド内の敵を全て一掃すればクリアとなります。99面をクリアすればメッセージが表示されて終了となり、自機のストック1機につき100万点のポイントが加算されます。
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ノーコンクリアラーが現れるまでの『グロブダー』
実は本作、1面からのワンコインプレーで全99面オールクリアした人は何人かは確認されていましたが、難易度はどのスコアラーも「エブリエクステンド設定+イージー設定」が基本で、初イージーオールクリアは発売当初の1984年頃、「エブリ+ノーマル設定」でのクリア報告は2009年までかかりました。その後、稼動開始から苦節32年ついに「デフォルト設定+ワンコインオールクリア」を達成した猛者が現れたのです。それが2015年のことでした。
得点による残機やライフ増加が一定の得点ごとに行われるシステムをエブリエクステンドと言う。ゲームの種類によるが基板設定で変更できる物もある。
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%89エクステンドとは (エクステンドとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
何がそんなに難しいのか
まず敵の射撃攻撃ですが、尋常ではないスピードで飛んできます。見てから避けられるレベルではありません、少しでも気を抜くと開始数秒で大破など当たり前。後半のステージでは開始直後にシールドを張らないのは自殺行為でした。クリアに時間をかけ過ぎると敵の攻撃が激しくなる、刹那の見切りが必須、とにかく相手の死角から攻撃、といった渋いゲーム性が特徴でした。
また、自機である「グロブダー」の機動力が遅く敵の攻撃が極めて激しいため、動体視力や反射神経だけではどうすることも出来ず、しかも戦略重視なゲームなのに防御性能があまりにも残念なことが難易度の引き上げに一役買っています。
電波新聞社が1982年から発売していたパソコン関連雑誌『マイコンBASICマガジン』の'85年2月号に掲載された99面クリア方法の案に「ある場所で静止してエネルギーを温存しつつシールドをギリギリまで張り続け爆死する際の爆風でハイパータンク(ボス敵)を道連れにしてクリア」という方法が載っていたことも。
1コイン3クレジットが初期設定という当時としては珍しい仕様でもありました。それでも瞬殺ですが…。
実際のプレイ動画
ここまで紹介してきましたが、やはり百聞は一見に如かず。
プレイ動画でその修羅の道を少しだけ見てみましょう。
1984年に発売された他のゲームタイトル
・ファミコン『ダックハント』(1984年4月、任天堂)
・ファミコン『ゼビウス』(1984年11月、ナムコ)
・MSX、X1『三次元ボンバーマン』(1984年、ハドソン)
※『三次元ボンバーマン』だけ、調べても発売月が分かりませんでした。

『ダックハント』
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『ゼビウス』
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筆者の感想
実はこのゲーム、実機で遊んだことはないんですよねー。移植版で遊んでいましたがハマってしまうとなかなか奥深く、人を選ぶかもしれませんが、私は楽しめました。
ゲームシステム・完成度自体は高く、非常に洗練されている本作ですが、人気作に至らなかった理由はやはり難度の高さに起因したものでしょう。本作の難易度がもう少し低く設定されていたら、万人に勧められる秀作としてそれなりにヒットしたのでは、と思います。
ちなみに本作を ”ノーミス” で「デフォルト設定ワンコインオールクリア」を達成した強者は未だに誰もいないらしいですよ?伝説を作ってみてはいかがでしょう。