ミドルエッジ世代にとっての3D映画体験は、赤と青のセロファン眼鏡で見た『東映まんがまつり』!

ミドルエッジ世代にとっての3D映画体験は、赤と青のセロファン眼鏡で見た『東映まんがまつり』!

子供の頃に、期待に胸膨らませて見に行った『東映まんがまつり』の立体映画!赤と青のセロファン眼鏡をかけてみる映画は当時も非常に斬新で最先端を感じたものです。なんとテレビ放送でも赤と青のセロファンで見る番組があったことを覚えていますか?


3D映像技術の進歩により、もはやメガネ要らずの「裸眼3D」さえ実現している現代。
特に映画館では、既に立体+体感型のMX4Dへと進化しているし、更に最近では360度対応のVR映像も登場するなど、3D立体映像やVRの技術革新は止まるところを知らない。

『ターミネーター2』の3D版ポスター

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の3Dポスター。

近年ではこうした過去の名作までもが3D映画となってリバイバル公開されるなど、すっかり劇場鑑賞時の選択枝の一つとして定着した感のある3D立体映画たち。

ところで、我々ミドルエッジ世代にとっての3D体験と言って思い出す物と言えば、そう、あの赤青のセロファン眼鏡で見た『東映まんがまつり』の立体映画!

立体映画の思い出と言えば、やっぱり『東映まんがまつり』でしょう!

『東映まんがまつり』で見た飛び出すヒーローの活躍や、雑誌の袋とじに付いていた『飛び出すヌード』まで、現在の技術と比べれば遙かにローテクでアナログだったこの赤青の眼鏡による3D立体システム。しかし、それでも我々ミドルエッジ世代の心をワクワクさせてくれたことに変わりは無い!そこで今回は、今一度それらの赤青セロファンの立体眼鏡による3D体験と、その後の3D映画ブームについて振り返ってみることにしよう。

立体映画と言えば、やっぱり東映まんがまつり!

『飛び出す冒険映画・赤影』観賞用メガネ

我々ミドルエッジ世代に馴染みの深い赤と青の眼鏡で見る立体映画は、実はアナグリフ方式と言うもの。
1950年代にアメリカで起こった世界的な立体映画ブームを受け、日本の東宝や松竹も独自に立体映画に参入。数本の映画を実際に製作・劇場公開するも、製作コストの面やシネマスコープの登場により、徐々に衰退していくことになってしまった。

日本公開は翌年の1973年。

1972年イギリスの立体ポルノ映画『グレタの性生活』ポスター

更にポルノ映画界も3Dに着目、こちらは60年代以降も3D作品が製作・公開されることとなった。
しかし、やはりミドルエッジ世代にとっての立体映画体験と言えば、やはり東映!そう、何といっても子供の頃に、期待に胸膨らませて見に行った『東映まんがまつり』で見た立体映画!これに尽きる。

ちなみに全て筆者の私物。

当時東映の劇場で配布された立体メガネ

主に予算的な問題と、赤青の眼鏡は非常に目が疲れる!などの理由から、映画全編では無く見せ場が来るとその部分だけ立体になるのが基本だった、この当時の立体映画たち。

立体場面ではスクリーンにこの様な指示が!

当時の子供たちは、入り口で貰った立体眼鏡(当然、紙製ですが)を握りしめながらその時を待つのだが、何と見せ場が来るとスクリーンの中の主人公が、「さあ、ここで眼鏡をかけよう!」と言って教えてくれるという親切設計!
ちなみに東映で上映されたのは以下の3作品。

『飛び出す冒険映画・赤影』ポスター

この中篇映画は後にLDとDVDで発売され、ちゃんと当時のデザインで復刻された立体メガネも付属していた。テレビモニターでの鑑賞ではやはり方式がちがうため、劇場程の立体感は無いものの家庭でも当時の飛び出す映像が体験出来たのは、嬉しいサプライズだった。

『飛び出す人造人間 キカイダー』ポスター

『 飛び出す立体映画 イナズマン』ポスター

ちなみにこの2本は、30分ほどの短篇映画だった。

その後に製作・上映されてファンの間で話題を呼んだのが、『仮面ライダー世界に駆ける』という短篇映画。

『仮面ライダー世界に駆ける』OPタイトル

1989年4月29日から10月31日まで、夕張市石炭の歴史村内の3D立体映像館・アラモ砦パビリオンで上映された立体映画だが、後に東映の太秦映画村でもアトラクション上映されている。これは自分も実際に京都まで行って体験したのだが、現在の立体映画に非常に近く、赤青セロファンに慣れた目には驚きの立体感だった。ただ時間が短かったのが残念だが、この頃になるともはや目が疲れる、やメガネが重いという問題点はほとんど気にならなかったのを覚えている。

左:『空飛ぶ十字剣』ポスター、右:『悪魔のはらわた』ポスター

その他にも、ミドルエッジ世代の記憶に残っている立体映画と言えば、何と言っても70年代に大ブームを巻き起こした「カンフー映画」の中の1本、『空飛ぶ十字剣』だろう。(本作について詳しくは過去記事を是非お読み頂ければと思う)
更に、やはり70年代に公開されて「はらわたが飛び出す!」立体ホラー映画として話題を呼んだ『悪魔のはらわた』など、時折思い出した様に日本のスクリーンにも立体映画が上陸したが、現在の様にブームとなり定着することは無かったのだ。

そして80年代に大きな動きが!

ところが80年代に入ると、再び新方式による3D映画の流行が世界中に広がることになった。
1983年には『13日の金曜日PART3』が3D映画として日本に上陸!その翌年には『ジョーズ3D』も公開され、再び3D映画のブームが巻き起こるかと思われたのだが・・・。残念ながらその殆どは低予算のホラーやSF映画だったため、日本ではビデオ発売(しかも立体でなく2D版)されたのみで、この2本に続いてブームを盛り上げる作品に恵まれることは無かったのだ。

右:『13日の金曜日PART3』日本版ポスター、左:『ジョーズ3D』日本版チラシ&ポスター

『ジョーズ3D』上映時に配布された、立体メガネ

Jaws 3D glasses | Collective London | Flickr

こうして、すっかり立体映画から遠ざかっていた我々の前に、一時的にせよ再びその姿を現した立体映画だが、実は映画館での上映だけでは無く、何とテレビにも登場していたのを覚えておいでだろうか?

当時の3Dメガネ販促用ポスター。

テレビ東京 3D TV ゴリラの復讐 ポスター

テレビ東京 3D TV ゴリラの復讐 ポスター 1983 - ヤフオク!

そう、なぜか1983年6月20日に当時の東京12チャンネルで、1954年の立体映画『ゴリラの復讐』を、『特別ワイドプレゼント ビュンビュンとび出す3Dテレビ 驚異の立体映像日本初公開 画面を突き破るビックリ立体効果 仰天飛び出し大特集 出た! ゴリラの復讐 特別編』というタイトルで放送する!という奇跡が起きたのだ。

この時は全編に渡って赤青のアナグリフ方式の3D映像だったのだが、画像の通り視聴用の立体メガネを全国のセブンイレブンで販売するという方式が取られたのを、ご記憶の方も多いのでは?ちなみに立体メガネの価格は一つ100円!
更に映画本編が始まる前には、立体映像を楽しむためのデモ映像が流れるなど、個人的にかなりテンションが上がったのを良く覚えている。だが、期待した通りの反響や話題を集めることは出来なかったようで、日本での放送はこの一回きりで終了してしまった。
ただアメリカでは、この他にも『半魚人の逆襲』など数々の過去の立体映画をテレビで放送しており、こうした旧作立体映画のテレビ放送がきっかけで新作3D映画が製作・公開されたことも、前述した80年代の3D映画ブームが起こる原因となったのだった。

当時普及し始めた家庭用ビデオデッキとビデオレンタルにより、家庭でも立体映像が楽しめる様になったのも実はこの頃のこと。後に発売された『ジョーズ3D』のビデオディスクは、立体メガネの方に特殊なシャッター装置が搭載されており、家庭でもかなりの立体感が味わえたのだが、残念ながらビデオディスク自体が普及しなかったため、これも一時の流行で終わってしまった。
ここから現在のシネコンでの3D映画上映の普及に至るまでは、やはり『アバター』の登場を待たなければならなかったのだ。

最後に

目が疲れるため、普通の映画の様に90分や120分の上映時間はとても耐えられなかった、過去の立体映画たち。
現在では非常に軽いメガネが普及し、しかも上映後の返却も不要で家に持ち帰れる様になっている。確かにスクリーンが暗くなってしまったり、字幕の方が飛び出して見えるなど、まだまだ改良すべき点は多々ある様だが、ミドルエッジ世代の経験してきた過去の作品に比べれば、まさに夢の映像体験が実現していると言えるだろう。
ただ残念なのは、地デジの大型ワイドテレビの普及と同時に、家庭での視聴に向けた3D映像対応型のテレビやレコーダーも販売されたものの、シネコンでの大流行の様には普及することが無かったことだ。

そう、やはり立体映画は劇場の大スクリーンで見てこそ価値がある!ということなのだろう。
幸い特別な機器やモニターを必要とせず、付属のメガネをかけて立体映像を楽しむ方式のブルーレイソフトもリリースされているので、機会があればそれらのソフトで、是非あの頃の思い出をもう一度ご家庭で体験されてみては?

3D映画ブームを一過性で終わらせないためにどうすればいいのか、歴史と技術をひもとく - GIGAZINE

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