最近、相撲の土俵に女性が入っていいのか・否かという議論がメディアで盛んに取り上げられました。
きっかけとなったのは、4月4日の大相撲春巡業での出来事。
日本経済新聞の報道を引用しますと
とあります。
土俵は女人禁制・・・というしきたりが女性蔑視に該当するのかどうか、それについては今後さらなる議論が交わされることと思います。ここでは敢えてその議論ではなく民俗コネタ目線で、土俵に女性が上がる話とずれますが、「女性が土俵で相撲をしてきた」ことについて。
女性が土俵で相撲をしてきた歴史
女性が土俵に上がってはいけないという認識がある程度認知されているかもしれない一方で、女性が土俵で相撲をしてきた歴史は現在まで伝わっております。古くは『日本書記』巻14、雄略天皇13年(469年)に登場するほか、近世の「女相撲」が有名かな?と思います。その後は、明治期そして昭和期に入っても女相撲は興行として成立しておりましたが、研究論文などを拝見すると、昭和26年(1951年)以降ゆるゆる姿を消すようです。
そう!女相撲についての書物や論文もあります。例えば日本体育大学紀要22巻2号に金子英子氏による「興行としての女相撲に関する研究」が発表されております(平成5年)。良かったらぜひ★
女性の相撲は今でもあるんです
昭和に入ってゆるゆる衰退・・・と先ほど書きましたが、それはあくまで「興行」の話。民俗コネタ的には、祭礼の中に伝わる女相撲をプッシュ。今も女性の相撲はあるからです。
それは福岡県糸島市にあります。同市二丈松の松末五郎稲荷神社の「ふいご大祭・目隠し女相撲」です。相撲を取るのは女性だけ、しかも七福神の顔を書いた頭巾をかぶり(=目隠し)、手探りで相撲をする、という独特な相撲でして、動画もありましたので、ぜひ。
神社自体の歴史が昭和7年(1932年)から、そして祭礼も戦後からということですので、比較的歴史が浅いと感じるかたもいらっしゃると思います。しかし!大事なことはソコではありません。
現地の方々が女性の相撲を楽しんでいる、ということです。
なお、このふいご大祭・目隠し女相撲、平成30年度は、平成30年12月9日(日)に開催されるそうですので、よかったらぜひ♪
大相撲とは別な、祭礼の相撲。現地に愛される女性だけの相撲もあるんだよ、ということをお伝えしたくてコラムにさせていただきました。