「ラリーの三菱」を決定づけたセダン、6代目ギャラン

「ラリーの三菱」を決定づけたセダン、6代目ギャラン

ディアマンテ、GTO、ランエボ……。「90年代の三菱」といって思い浮かべるクルマたちのきっかけになった1台があります。6代目ギャランです。真面目だけど個性的なデザインと、先進技術を盛り込んだ圧倒的な走行性能を誇ったギャランから、これらのクルマが生まれました。今回は、1987年から92年にかけて販売された6代目ギャランを取り上げます。


地味な存在だった三菱の乗用車

三菱自動車というと、近年はマイナスのイメージが浸透してしまいましたが、その前の90年代はRVブーム、さらにその前はというと、それなりのシェアをもってはいたものの、三菱グループと関連会社の御用達、というイメージが拭えませんでした。

我々ミドルエッジ世代では、1980年代後半からのRVブームを牽引したパジェロやデリカといったタフなRVを中心に、90年代に一世を風靡したディアマンテやGTOといった乗用車も忘れられません。今の20代後半から40代前半あたりの世代は、ランエボ(ランサーエボリューション)の印象も強いことでしょう。

それ以前となる80年代前半のラインナップは、ミドルセダンのギャランとエテルナ、小型車のランサーとミラージュ、軽自動車のミニカ、そして三菱グループの重役車デボネアといったところでした。販売店はギャラン店とカープラザ店の2系統を展開し、ギャラン・ランサーはギャラン店で、エテルナ・ミラージュはカープラザ店の扱いでした。

ギャランは三菱を代表するセダンで、1969年にコルトギャランの名で発売。エンジンは1300ccと1500cc(後年に1600ccなどを追加)で、トヨタ・コロナや日産ブルーバードなどをライバルとしていました。

アグレッシブなデザインとキャラクターで、それまでの三菱のイメージを変えた初代ギャラン

Photos of Mitsubishi Colt Galant GS Sedan (I) 1969–73

1973年のフルモデルチェンジで車名がギャランとなり、1600ccのほかに1850ccと2000ccも設定されて車格をアップ。同年には小型車のランサーが誕生し、三菱のラインナップの基礎ができました。

1976年にフルモデルチェンジした3代目は、Σ(シグマ)のサブネームが付けられてギャランΣとなりました。エンジンは引き続き1600cc、1850cc、2000ccの3種類で、上級車種の高級感が高められました。これにより、トヨタ・コロナや日産ブルーバードのほかに、トヨタ・マークⅡや日産ローレルといった、他社の上級セダンもテリトリーになりました。

1978年には兄弟車のエテルナΣも追加され、販売店は2系統体制に。以後、1980年に4代目、1983年には5代目が登場し、FF(前輪駆動)化されました。

かつて、親戚がギャランΣの最上級グレードに乗っていて、子どもながらに高級車っぽいなぁ、と思ったものです。どうもお付き合いがあって三菱に乗っていたようです。

従来よりもラグジュアリー志向を高めた3代目ギャランΣ。後期型は角形のヘッドライトを採用し、高級感を一層高めた。

Photos of Mitsubishi Galant Sigma (III) 1978–80

斬新なデザインで大ヒットした6代目

1987年に6代目ギャランが発売になりました。ギャランΣになって以降、3代目、4代目は直線的なデザインでしたが、先代の5代目は曲線を用いたソフトな、古くさい表現をすれば女性的なデザインでした。

イメージリーダーになったVR-4は、大型のバンパーを採用した。S字状の車体側面の断面も特徴。

高い車高と大きな窓が特徴の6代目ギャラン

6代目も、当初はその延長線上のデザインだったと言われていますが、社内のプレゼンテーションで「新鮮さに欠ける」と評され、新たなデザインが若手デザイナーにより作り上げられました。それが6代目のデザインで、40代以降は拒否反応が強いものの、それ以下の世代から支持されたため採用されたそうです。

6代目は、それまでのギャランΣを見慣れた目には突拍子もないデザインに見えるでしょうし、当時は低くて狭いがスタイリッシュなトヨタ・カリーナEDが大ヒットしていましたので、キャビンの広い6代目ギャランのデザインに心配を抱いたのも分かります。それでも、流行と正反対のデザインにGOサインを出した上層部の英断は素晴らしいものです。

タイヤやエアロパーツはもとより、バンパーがVR-4とは異なる。

2000ccエンジンを積む標準仕様の上級グレードのMX

Images of Mitsubishi Galant MX (E33A) 1989–92

よく見れば、ヘッドライトの下端が内側に入った逆スラントノーズからは、初代・3代目へのリスペクトが感じられますし、広く大きなキャビンの提案は、正統派セダンのあり方を世に問うた、ともいえます。また、大きくて視認性に優れるメーター、ダイヤル式の空調スイッチ、グリップ式のドアハンドルなどは、当時の自動車評論家が指摘する「いいクルマのあり方」を一つひとつ具現化したもので、それをデザイン的にも美しく機能的にまとめ上げているところが、6代目ギャランの最大の長所といえるでしょう。

下級グレードでは、欧州車では一般的なダイヤル式の空調スイッチも採用された。

低い位置に設定された操作パネルと大きなメーターが特徴のダッシュボード

Mitsubishi Galant JP-spec (VI) 1987–92 wallpapers

6代目ギャランは、真面目なデザインと先進技術を積極的に取り入れた高性能が評価され、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

私自身は、薄く平べったいセダンがあまり好きではなかったので、ギャランが出たときは非常に驚きましたし、スポーティなデザインがカッコイイと思いました。発売から10年以上が経ち、先輩が乗っていたこのギャランに同乗させてもらったときは、とても嬉しかったのを覚えています。

なお、6代目の登場後も5代目が併売され、デボネアと同じV型6気筒3000cc搭載車を設定して上級志向のユーザーをディアマンテの登場までつなぎ止めました。一方で、1800ccのお買い得車も用意していました。

ハイテク四駆のVR-4がラリーを席巻

6代目は4ドアセダンのみのラインナップで、Σのサブネームが外されて久しぶりに「三菱ギャラン」として発売されました。Σのなかでも4代目はターボモデルの追加や、硬派なイメージの高倉健をCMに起用したこともあり、比較的男性的なクルマでしたが、5代目は見た目がソフトでしたので、6代目とのギャップは大きかったです。

バンパーがVR-4と同様に大型化され、ウインカー位置がバンパーからヘッドライトの両脇に変更になった。

マイナーチェンジ後の2000ccを積む上級グレードのMX

Mitsubishi Galant MX (E33A) 1989–92 wallpapers

しかし、6代目はこのデザインで成功だったといえるでしょう。なんと言っても、世界ラリー選手権(WRC)のグループAへの参戦を前提に開発されたVR-4が設定され、直列4気筒2000ccのインタークーラー付きターボエンジンは205PSを発揮(のちに220PSまで向上)し、世間を驚嘆させました。このハイスペックなエンジンには、6代目のマッシブなデザインが似合います。

このVR-4は、高出力エンジンだけでなく、フルタイム4WDや後輪操舵システムの4WSも装備し、4VALVEエンジン、4WD、4WS、4IS(4輪独立懸架サスペンション)、4ABSからなるハイテク装備を「ACTIVE FOUR」と命名していました。当時、フルタイム4WDが各社で採用されてブームになっていましたが、ギャランはその最先端を行ってました。

関連する投稿


東京フレンドパーク「パジェロ!パジェロ!」のダーツの掛け声再び!?三菱自動車「パジェロ」が復活へ!!

東京フレンドパーク「パジェロ!パジェロ!」のダーツの掛け声再び!?三菱自動車「パジェロ」が復活へ!!

かつて三菱自動車より販売され、スポーツタイプ多目的車(SUV)ブームの火付け役として知られる「パジェロ」がこのたび、日本国内での販売が復活する見通しであることが明らかとなりました。


【クイズダービー】出場チームの歴代最高得点は?なんと81万9000点!

【クイズダービー】出場チームの歴代最高得点は?なんと81万9000点!

クイズダービーでは、出場チームが10万点を超えると、超過分はカンガルー募金に寄付するというシステムが採用されていました。たまに大幅に超えるケースがあり、その最高得点はなんと1987年放送回の81万9000点!司会の大橋巨泉もエンディングで動揺を隠せなかった、当時の放送を振り返ります。


【1987年】モモコクラブから羽生夫人へ・・・日本レコード大賞新人賞の受賞曲は!?受賞者は今!?

【1987年】モモコクラブから羽生夫人へ・・・日本レコード大賞新人賞の受賞曲は!?受賞者は今!?

昔は大晦日の夜といえば、テレビの前で一家団欒。『日本レコード大賞』と『紅白歌合戦』をはしごして視聴した方が多かったことでしょう。中でもドキドキするのが、日本レコード大賞の「大賞」と「最優秀新人賞」の発表の瞬間。今回は、日本レコード大賞の「新人賞」にフォーカスし、受賞曲と受賞者の今についてご紹介します。


「激レア!機内上映&地上波吹替版」を観る。掘る。もっと。 シェール主演傑作選

「激レア!機内上映&地上波吹替版」を観る。掘る。もっと。 シェール主演傑作選

「BS10 スターチャンネル」はこの7月、歌手としても知られる個性派女優、シェールが主演した傑作映画2作品の大変貴重な日本語吹替版をお届けします!


男闘呼組・成田昭次、高橋和也、岡本健一が集結 あの伝説のラジオ番組『WILD KNIGHTS』が蘇る!

男闘呼組・成田昭次、高橋和也、岡本健一が集結 あの伝説のラジオ番組『WILD KNIGHTS』が蘇る!

文化放送では、7月14日(金)午後7時から特別番組『WILD KNIGHT(ワイルド・ナイト)成田です』の放送が決定しました。出演は「男闘呼組」の成田昭次で、メンバーの高橋和也、岡本健一のほか、彼らの新バンド「Rockon Social Club」をプロデュースする寺岡呼人も登場します。


最新の投稿


横浜銀蝿45周年記念!伝説の解散ライブを完全再現したファイナル公演がBlu-ray&DVDで映像化

横浜銀蝿45周年記念!伝説の解散ライブを完全再現したファイナル公演がBlu-ray&DVDで映像化

T.C.R.横浜銀蝿R.S.のデビュー45周年を記念したツアー「Final Countdown Setlist Retry」の横浜ファイナル公演が映像化決定。1983年の伝説的解散ライブをセットリストから衣装まで完全再現した熱狂のステージが、豪華ブックレット付きの完全生産限定盤として2026年3月18日に発売されます。


RIP SLYME×GiGOが初コラボ!25周年&活動休止前ラストライブを記念した限定景品が登場

RIP SLYME×GiGOが初コラボ!25周年&活動休止前ラストライブを記念した限定景品が登場

HIP HOPグループ「RIP SLYME」のデビュー25周年と活動休止前ラストライブを記念し、GiGOとのコラボが2026年3月10日より開始。ライブタイトル「GREATEST LIVE」を冠した限定景品や、メンバーのメッセージ入り店内放送、リポストキャンペーンなど、ファン垂涎の企画が目白押しです。


世田谷線が100円で乗り放題!開通100周年記念「サンクスキャンペーン」でデジタル乗車券が期間限定割引

世田谷線が100円で乗り放題!開通100周年記念「サンクスキャンペーン」でデジタル乗車券が期間限定割引

東急電鉄は世田谷線開通100周年を記念し、2026年3月13日から19日まで「サンクスキャンペーン」を開催します。デジタルチケットサービス「Q SKIP」限定で、1日乗り降り自由な「世田谷線散策きっぷ」を通常360円のところ100円で販売。SNS投稿で豪華な企画乗車券が当たるプレゼント企画も実施されます。


全長91cmの衝撃!映画『ゴジラ-1.0』より圧倒的スケールの巨大胸像が登場、発光ギミックも搭載

全長91cmの衝撃!映画『ゴジラ-1.0』より圧倒的スケールの巨大胸像が登場、発光ギミックも搭載

プライム1スタジオのハイエンドブランドから、世界的大ヒット作『ゴジラ-1.0』のゴジラが全長約91cmのライフサイズバストで登場。海を割り進撃する姿を、緻密な造形と彩色で再現しました。口腔内と背びれにはLED発光ギミックを内蔵し、放射熱線発射直前の緊張感を演出。50体限定の至高のコレクターズアイテムです。


MR.BIGの名盤『ヘイ・マン』30周年記念盤が発売決定!エリック・マーティン来日公演も開催

MR.BIGの名盤『ヘイ・マン』30周年記念盤が発売決定!エリック・マーティン来日公演も開催

MR.BIGが1996年に発表した4thアルバム『ヘイ・マン』の30周年記念盤が、2026年5月8日に全世界一斉発売されます。未発表のファイナル・ミックスや貴重なライブ音源を多数収録した豪華仕様。さらに、ボーカルのエリック・マーティンが天才ギタリストLi-sa-Xらと挑むアルバム再現来日公演も決定しました。