ボーイング747とは?
ボーイング747 - Wikipedia

ボーイング747-8F(最新型)
超大型の飛行機ボーイング747、愛称「ジャンボ」。2018年1月現在、日本の航空会社でこれを運航するのは日本貨物航空(NCA:Nippon Cargo Airlines)のみになっている。
NCAは日本郵船グループで、日本唯一の国際線貨物専門の航空会社。いまは「ジャンボ」の使用機材13機(747-8Fが8機、747-400Fが5機)で、アジア、アメリカ、ヨーロッパの15都市、週に約60便を運航しているそうです。

747-8Fのメインデッキ
「ジャンボ」は言葉の如く”でかい”のだ!!!!
内部から比較すると・・・

ボーイング 737-800の機内画像

ボーイング747-400型機内画像
ジャンボは軍用機開発からの転用だった!!
1962年、当時の米国防省は米国本土から遠く離れた前線に兵士や物資を迅速かつ大量に輸送することができるような大型輸送機の開発計画(通称「CX計画」)を練っていた。この「CX計画」に、米国の大手航空機メーカーであるダグラス、ロッキードとともにボーイングも巨額なビジネス獲得を目指して受注合戦を繰り広げた結果、最終的にはボーイングはロッキード(上記のC-5輸送機)に敗れてしまう。
開発競争に多くの人と資金をつぎ込んだボーイングは当然、大きな痛手を負うことになったが、そこに救世主が現れた。当時世界最大の航空会社として君臨していたパンナム(パン・アメリカン航空)だった。同社はCX計画に敗退したボーイングに、提出した設計案を民間航空機に転用して実現するよう提案したのだ。民間商用大型ジェット機の実績を持つボーイングなら世界をアッといわせる巨大旅客機を誕生させられるだろうし、期待通りの優れた新型機を完成させた際にはパンナムがそれを採用することを約束してしまったのだから、だいぶ”ふとっぱら”だ。ボーイングは輸送機用に設計したボディに客席を一部二階建てにして収納する斬新なアイデアを取り入れて大型旅客機を作ることになったのだ。
1969年2月に初飛行!!

初飛行時のボーイング747
完成した747をパンナムが世界で最初に大西洋路線に就航させたのは、1970年1月だった。
この時を境に、最大526席を設置できる最初の量産型747-100は、大量輸送時代の到来とともに一挙に売り上げを伸ばし、航空業界に革命的な変化をもたらしたのだ。まさに、パンナム様々状態!!

パンナムのジャンボ
747が航空界に革命をもたらし、一騎に大量輸送を牽引!!
パンアメリカン航空が20機を発注したことが発表されると、同社との競争上の脅威にさらされることになる同国のノースウエスト航空、トランス・ワールド航空や、日本航空、英国海外航空など各国の航空会社からの発注が相次いだ。
その後短距離路線用の747-SR,2階の客席エリアを延長してエコノミー席を増設した747-300(SUD), やや小型化して航続距離を伸ばし世界中のどこへでも無着陸でいけるようにした747-SPなどが開発されていく。

イラン航空のボーイング747-SP(成田国際空港)
もう一つ、特記すべきは最新技術を惜しげもなく利用していること

ボーイング747のコックピット(操縦席)
コクピットにも新しい機構や技術が数多く採用され、運航技術面での進歩ももたらされた。例えば民間航空機では747で始めて装備されたのが、INS(慣性航法装置)である。大陸間弾道ミサイルや潜水艦の誘導に使われていた技術を民間航空機に応用されたもので、コンピュータと連動して飛行位置を算出し、入力されたフライトプランに従って目的地まで誘導してくれる画期的システムだ。コクピットでの複雑な計器類や飛行制御作業も簡素化され、正副2人のパイロットと1人のエンジニアの3人だけでこの巨人機を安全運航できるようになった。
日本ではジャンボ747-400が馴染深い!!

日本航空 747-400(2011年に退役)
「ジャンボ機」と一口に言っても、その機種にはいろいろである。747-100/-200/-300は「クラシックジャンボ」とも呼ばれ、いずれも黎明期に活躍した機種だ。世界でも最多の計100機を超える747を導入したJALは「ジャンボ機王国」などとも揶揄されたりもしたが、その中でもさまざまな機種が存在した。-100の1号機がJALに納入されたのはパンナムが初就航させたのと同じ1970年の4月。その-100のエンジンを改良し、航続性能を高めたモデルが-200Bで、長い航続距離を生かして米国への直行便などに投入された。クラシックジャンボの最終モデルとなったのが、旧型の2階席を後方に約7メートル延長した747-300だ。2階席だけで最大63名の乗客が乗れるようになり、このボディの形はのちの-400にも引き継がれていくことになる。
日本の航空ファンに最も馴染の深いのが、いわゆる「テクノジャンボ」といれる747-400だろう。主翼先端に装備された空気抵抗を軽減させるためのウイングレットがシンボルマークだった。操縦席はブラウン管による多機能表示ディスプレイを多用したグラスコクピットになり、正副2名のパイロットだけでの運航が可能になった。エンジンもより高性能化して航続距離がさらに伸び、エアライン各社は長距離国際線の主力機材として747-400を活用したのだ。
技術の進歩と機体の老朽化には勝てず!!

エミュレーツ航空のエアバスA-380
長期にわたって、キャパシティ、航続距離で他の追随を許さなかったが、1990年代から技術革新による高性能な新型機体が登場したことにより、キャパシティの面ではボーイング777-300やエアバスA340-600にほぼ並ばれて、航続距離ではボーイング777-200LRやエアバスA340-500などに抜かれている。さらに、2005年1月、エアバスA380が出現したことにより、唯一世界一を保っていたキャパシティでも追い抜かれてしまった。また、形状やエンジンの問題により、747-100/200/300、そして-400も、エアバスA330やA380、ボーイング777、787と比べると燃費の面ではかなり劣るという。
航空会社では機体の更新時期が迫っているのに加え、原油価格の高騰で燃費の良い双発機に切り替えたり、さらにボーイング777や767、エアバスA330などの双発機でもETOPSを取得することで長距離洋上飛行が可能になったことや、各国で空港設備が充実したことなどにより、大型機のフライト数を減らして中小型機で多頻度運航する動きが広がっている現状である。
2011年3月、JALのジャンボ機が多くのファンに惜しまれながら姿を消した。ANAが運航している最後の2機も、2014年3月31日に那覇発12時35分、羽田着15時のNH126便がラストフライトだった。
しかし、747の歴史がこれですべて終わった訳ではない。海外では継続して747-400を長距離国際線の主力機材として活用しているエアラインも多く、デルタ航空などは最新のビジネスクラスシートを成田-ニューヨーク線で運航している。私も機会があれば、もう一度乗って見たいものだ。