夢の中へ(井上陽水)‐1973年
『夢の中へ』が、警察を皮肉った歌だと言われるようになったのはいつごろからでしょうか?おそらく、リリースから4年後、陽水が大麻所持の疑いで逮捕されてからではないかと思われます。作者本人が警察から「見つけにくいもの」を探し当てられ、リアルにお縄にかかったことで、あらぬ妄想と紐づけられたのでしょう。

夢の中へ(井上陽水)
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しかしながら、陽水の名誉のために言っておくと、『夢の中へ』は、決して警察ディスの歌などではありません。メッセージとしては、この歌の前にリリースされた『傘がない』(1972年)とほぼ一緒。世の中でさまざまなことが起こっているけれど、そんなことよりも、君に逢いに行くための「傘」がない…。そんな身近な幸せに興じることの大事さを伝える同曲と、「それより僕と踊りませんか?」と歌う『夢の中へ』は、曲調も歌詞の世界観もまるで違えど、根底に流れている思想は同じなのです。
タイマーズのテーマ(THE TIMERS)‐1989年
“覆面バンド”というコンセプトを利用して、好き放題歌っていたTHE TIMERS。もともとこのバンドを組むにあたって、「マヤクズ」「ヘロインズ」といったバンド名にすることも候補に挙がっていたのだとか。しかし、それはさすがに直接的過ぎると却下され、「タイマーズ」に落ち着いたといいます。

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タイマーズは、『覚醒剤音頭』『まわりはワナ』『トルエン』など、さまざまなドラッグソングを発表していますが、『タイマーズのテーマ』もそのうちの一曲。
このように、かなり直接的に表現しています。
BLUE TRANSPARENCY 限りなく 透明に 近い ブルー(LUNA SEA)‐1991年
1976年に出版された村上龍の『限りなく透明に近いブルー』。第75回芥川賞を受賞した同作の表題をそのまま拝借したのが、1991年にリリースされたLUNA SEAのアルバム収録曲『BLUE TRANSPARENCY』です。
村上龍の小説では、ドラッグと乱交に溺れる自堕落な若者たちを描いていましたが、この曲においても麻薬中毒者の姿がしっかりと描写されています。
スピード(BUCK-TICK)‐1991年
今年でメジャーデビュー30年目を迎えているロックバンド・BUCK-TICK。彼らがリリースした4枚目のシングル『スピード』は、確信犯的なドラッグソングです。

スピード(BUCK-TICK)
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この「××××」の部分には、「錠剤」を逆再生させた音源が入り、ライブでは普通に「錠剤」と歌っています。ちなみに、『スピード』はメタンフェタミン(=ヒロポン)の俗称なのだとか。これほどストレートな麻薬ソングなのに、昔は、ゴールデンの歌番組で歌っていたりしていたのだから、驚くほかありません。
マリワナ伯爵(サザンオールスターズ)‐1996年
サザンオールスターズ12枚目のオリジナルアルバム『Young Love』に収録された同曲。マリワナとはもちろん「マリファナ」のこと。ファンクテイストの強いこの歌では、マリファナ中毒になったミュージシャンについて歌っていると言われています。
歌詞の中には「行先はローリング・ストーンズ」という一節も。ドラッグを日常的に嗜んでいた彼ら(特にキース・リチャーズ?)を揶揄しているのでしょうか。

『マリワナ伯爵』が収録されたアルバム『Young Love』
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DRIVE(黒夢)‐1997年
『少年』などのヒットで知られる、90年代後半を代表するロックバンド・黒夢。彼らの代表曲の一つ『DRIVE』は歌詞が記載されていないシングルとして知られており、理由は「1ヶ月後に出るアルバムに歌詞が載るから」というものでした。しかし、アルバム『Drug TReatment』(名前からしてアレですが…)に収録された「DRIVE」は、どこにも歌詞が記載されず仕舞い。

Drug TReatment(黒夢)
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こんな感じの歌詞が続く同曲ですので、おそらくは、その「ヤバさ」ゆえ、明記しない方がいいと判断されたのでしょう。
モルヒネ(椎名林檎)‐1999年
ストレートなタイトルですが、この曲が歌っているのは、脳内麻薬について。
この歌で表現されているのは、もういなくなった「貴方」(おそらく自殺している)に想いを馳せながら、「密やかな行為」(おそらく自慰)に専念するというシュールな世界観。それを可愛らしい声とポップな曲調で歌っているのだから、そのギャップにやられます。
(こじへい)