カッコよすぎ!詐欺師をこんなにも格調高くスタイリッシュに描き出した映画「スティング」

カッコよすぎ!詐欺師をこんなにも格調高くスタイリッシュに描き出した映画「スティング」

1936年のシカゴを舞台にした映画「スティング」。主人公はなんと詐欺師です。この詐欺師たちが詐欺師を詐欺にかけるという何とも詐欺な映画です。どんでん返しの連続に目を離すことができないエンターテインメントそのものといった感じの映画で、アカデミー賞を7部門も獲得している名作中の名作です。


スティング

ハリウッド史上おそらく最高の詐欺師映画がこれ、「スティング」です。

監督:ジョージ・ロイ・ヒル
脚本:デヴィッド・S・ウォード
製作:リチャード・D・ザナック、トニー・ビル、マイケル・フィリップス、ジュリア・フィリップス
出演者:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、ロバート・ショウ、チャールズ・ダーニング
音楽:スコット・ジョプリン。マーヴィン・ハムリッシュ
撮影:ロバート・サーティース
編集:ウィリアム・レイノルズ
公開:1973年
上映時間:129分

1973年に公開されたアメリカ映画「スティング」は、第46回アカデミー賞において10部門にノミネートされ、作品賞をはじめとして監督賞、脚本賞、編集賞、美術商、衣装デザイン賞、音楽賞の7部門を受賞した傑作です。

舞台は1936年のシカゴ。
登場人物のスタイリッシュなファッションも必見ですよ。

監督はジョージ・ロイ・ヒル、主演はロバート・レッドフォードとポール・ニューマンの2人。これは、1969年に公開されやはり大成功を収めたアメリカン・ニューシネマの代表作「明日に向って撃て!」と同じですね。当然公開前から期待されていたことが想像できます。
そして、その期待に「スティング」は見事に応えました。

そもそも詐欺師を主人公にした映画を作るという発想が素晴らしいですね。映画の中に出てくる詐欺は本格的で、言語学者のデヴィッド・W・モラーが詐欺師の手法を集めた著作「詐欺師入門―騙しの天才たち:その華麗なる手口」に基づいていいるのだそうです。
エンターテインメントでありながらもリアリティがあるのはそのためでしょう。

また、ポール・ニューマンが演じるゴンドーフという男の名前は20世紀初期に実在した詐欺師たちの名前に因んで付けられたという徹底ぶりです。

ジョニー・フッカー役のロバート・レッドフォード(左)と
ヘンリー・ゴンドーフ役のポール・ニューマン

フッカーとゴンドーフ

映画は「The Players - "プレイヤーたち"」「The Set-Up - "段取り"」「The Hook - "引っ掛け"」「The Tale - "作り話"」「The Wire - "電信屋"」「The Shut Out - "締め出し"」「The Sting - "とどめの一撃"」の7つの章から出来ています。

The Players - "プレイヤーたち"

あらすじをご紹介しようと思うのですが、「スティング」は詐欺がテーマとなっていることで種が分かってしまうと、この映画の面白さが半減してしまうかもしれません。実際には、そのくらいのことではこの映画の魅力がなくなることなどないのですが、どんでん返しの連続ですのでストーリーの詳細は観てからのお楽しみです。

映画は、フッカーがルーサーと組んである男を詐欺にかけ金を奪うことに成功します。ところがその男はドイル・ロネガンという大物ギャングの部下だったため2人は命を狙われることになるというエピソードの第1章「プレイヤーたち」からはじまります。

それでは、この映画を演じた"プレイヤーたち"をご紹介します。

生年月日:1922年12月20日
没年月日:2002年12月27日(満80歳没)

ジョージ・ロイ・ヒル

監督は、嫌味のない、後味の良い爽やかな印象を与える映画を多く撮ったジョージ・ロイ・ヒルです。ロバート・レッドフォードとはこの後、3度「華麗なるヒコーキ野郎」で組んでいますし、ポール・ニューマンとも「スラップ・ショット」で3度目のコンビを組んでいます。この2人とはよほど相性が良かったのでしょうね。他にも「リトル・ロマンス」や「ガープの世界」などを監督しています。

本名:ポール・レナード・ニューマン
生年月日:1925年1月26日
没年月日:2008年9月26日(満83歳没)
活動期間:1954年 - 2007年

ポール・ニューマン

主役のポール・ニューマンですが、今さら説明の必要はないでしょう!アメリカを代表する俳優のひとりです。残念ながら肺がんのため2008年9月26日に83歳で亡くなっています。

そして、もう1人の主役、ロバート・レッドフォードですね。

本名:Charles Robert Redford Jr.
生年月日:1936年8月18日
活動期間:1959年 -

ロバート・レッドフォード

こちらも説明の必要はないでしょうね。このアメリカの映画界を代表する2人の素晴らしい演技によって詐欺師という特殊なテーマにも関わらず、「スティング」は格調高いものになっていると思います。

そして、これまた素晴らしい演技をみせてくれたのが、ギャングのボス「ドイル・ロネガン」を演じたロバート・ショウです。なんというか、最高の悪役です。

本名:ロバート・アーチボルド・ショウ
生年月日:1927年8月9日
没年月日:1978年8月28日(満51歳没)

ロバート・ショウ

撮影当時、ロバート・ショウは足首を負傷していたのだそうです。そのためにロネガンは足を引きずって歩く人物という設定になったと言われていますが、これが素晴らしいです!とても印象的な悪役となっています。

The Hook - "引っ掛け"

第2章の「段取り」でフッカーとゴンドーフが出会い、ロネガンを詐欺にかける計画を開始します。そして第3章「引っ掛け」でいよいよ行動を起こします。

フッカーは偶然を装いロネガンにポーカー勝負を挑みます。
ロネガンは表の顔として慈善団体に所属し、酒にも煙草にも女にも手を出さない生活をしていますが、ポーカーには目がなく、時にイカサマをしているという情報をつかんだのです。

そして最後の大勝負でロネガンはイカサマをしかけてくるのですが。。。

ネタばれになってしまいますが、下の映像はそのポーカー勝負の場面です。

The Tale - "作り話"

第4章「作り話」では、別名を使ってロネガンの組織に潜り込んだフッカーですが、ロネガンによって一流の殺し屋「サリーノ」に命を狙われることになります。同時に以前偽札を渡した警察官のスナイダーからも追われることに!
その一方で競馬を使った大掛かりな詐欺の準備が着々と整いつつありました。

カッコいいですね。この着こなしには惚れ惚れします。

フッカーとゴンドーフ

第5章「電信屋」では、なかなかフッカーのことを信用しないロネガンが無理難題を押し付けてきます。その一方ではFBIが動き出し、フッカーを追う警官のスナイダーにゴンドーフを陥れるためにその相棒であるフッカーを逮捕することを要請するのでした。

The Sting - "とどめの一撃"

第6章「締め出し」では、ロネガンの信用を得たフッカーでしたが、警官のスナイダーに捕まってしまいFBIの事務所に連行され協力しなければ20年の懲役と言われます。抵抗はしたもののゴンドーフを裏切る決心をするのでした。

ところで、アカデミー賞も受賞した「スティング」の音楽ですが、テーマ曲はどこかで聴いたことがあるのではないでしょうか?一度聴いたら忘れられない耳触りの良い曲です。

さぁ、そしていよいよ最終章の「とどめの一撃」です。これこそ観てのお楽しみですね。様々な伏線がひとつに繋がっての大どんでん返しです。見事と言う他はありません!


さぁ、興味を持っていただけたなら、是非とも本編をご覧ください!
絶対にソンはさせませんよ。

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