モッズのバイブルといえる映画「さらば青春の光」。内容はタイトルに反し、青春は光ばかりではないぞという1本!

モッズのバイブルといえる映画「さらば青春の光」。内容はタイトルに反し、青春は光ばかりではないぞという1本!

1964年のロンドン、モッズの青年ジミー・クーパーを主人公とした1979年の映画「さらば青春の光」。公開当時、モッズのリバイバルブームを巻き起こし、今ではモッズのバイブルとも言われる映画です。しかし、その内容はタイトルに反して暗い。光というよりもむしろ影。それもそのはず、原題は「Quadrophenia」、邦題とは全く違うものなのでした。


モッズ

「さらば青春の光」という1979年に公開されたイギリス映画があります。モッズの、モッズを愛する者たちの、バイブルともアンセムともいえる映画です。

因みにモッズとは、1950年代後半から1960年代中頃にかけて、ロンドン近辺の若い労働者の間で流行した音楽やファッションをベースとしたライフスタイルを持つ者のことです。
モッズファッションの特徴は、髪を下ろした短髪、細身の三つボタンスーツ、ミリタリーパーカーに多数のミラーで装飾されたランブレッタやベスパなどのスクーターを愛用していました。

60年代当時のモッズたち

「さらば青春の光」は60年代のモッズを主人公にした物語です。この映画を観るとモッズたちがどのような生活をしていたのかがよく分かります。

四重人格

「さらば青春の光」には原作があります。1973年に発表されたザ・フーの「四重人格」というアルバムがそれです。

73年発表

収録曲
  1. ぼくは海
  2. リアル・ミー
  3. 四重人格
  4. カット・マイ・ヘアー
  5. 少年とゴッドファーザー
  6. ぼくは一人
  7. 汚れた仕事
  8. ヘルプレス・ダンサー
  9. ぼくの頭の中に
10. ぼくはもうたくさん
11. 5時15分
12. 海と砂
  13. 溺れるぼく
  14. ベル・ボーイ
  15. ドクター・ジミー
  16. ザ・ロック
  17. 愛の支配

四重人格

「四重人格」はザ・フーにとって6枚目のオリジナル・アルバムで、「トミー」以来のロック・オペラ・アルバムでもあります。
オペラの内容は1960年代中期のロンドンが物語の舞台となっており、モッズ少年のジミーの多重人格と精神的な葛藤を軸に展開されるのですが、ジミーの四重人格は、それぞれザ・フーのメンバー4人の人格を投影したものとなっています。

アルバム・ジャケットがとてもカッコいいですね。ジミーが乗っているスクーターのバックミラーにはザ・フーのメンバーの顔が映りこんでいます。
また、このアルバムにはストーリーに沿った写真集がついています。

さらば青春の光

原題はアルバムと同様に「Quadrophenia」なので、映画のタイトルとしても「四重人格」で良かったのでしょうが、きっと映画のタイトルとしては弱いと判断されたのでしょうね。

監督:フランク・ロッダム
脚本:デイヴ・ハンフリーズ、フランク・ロッダム、マーティン・スティールマン、ピート・タウンゼント
製作:ロイ・ベアード、ビル・カーヴィッシュリー
出演者:フィル・ダニエルズ、レズリー・アッシュ、トーヤ・ウィルコックス、フィリップ・デイヴィス、マーク・ウィンゲット、スティング、レイ・ウィンストン
音楽:ザ・フー
撮影:ブライアン・テュファーノ
編集:ショーン・バートン、マイク・テイラー
公開:1979年
上映時間:117分
製作国::イギリス

さらば青春の光

ポスターに付けられているコピーをみると、意味が分かるようでいで分からないというか、やぶれかぶれなんだという気持ちだけが伝わってくるものとなっていますね。映画もまさにそんな感じです。
意味は不明瞭ではありますが、このコピーはむしろ不明瞭ということで「さらば青春の光」という映画の本質を言い当てているように思います。

主要な出演者たち

さらば青春の光

この映画の魅力のひとつは個性的な登場人物ですが、特に主役のジミーを演じたフィル・ダニエルズのカッコよさは格別です!

演じたのは、フィル・ダニエルズです。

ジミー・クーパー

そしてマドンナ役のレズリー・アッシュ。彼女の可愛さにはジミーでなくてもきっとノックアウトされてしまいますよ。美人です。

ステフ役のレズリー・アッシュ

ステフとジミー

モッズのあこがれの存在であるエース役として当時はポリスとしてまだ駆け出しだったスティングや、モンキーという女の子役でトーヤ・ウィルコックス(後年ロバート・フリップと結婚する)などミュージシャンが出演していますので、音楽ファンは要チェックですよ。

エース・フェイス役のスティング(左)

エースとジミー

あらすじ

1964年ロンドン、モッズの青年ジミー・クーパーは広告会社の郵便室係として働いていますが、毎日の退屈な仕事に嫌気がさし、日々モッズ仲間と覚せい剤やパーティーに明け暮れていました。

ブライトンへ向かうモッズたち

銀行休業日の週末のこと、モッズたちは海沿いの町ブライトンへ向かいます。各地から多くのモッズたちが集まり、ジミーは自分がモッズであることの誇りと喜びを体感するのですが…。

モッズのあこがれ、エース登場!

しかし、ブライトンでは、ライバル組織のロッカーズとの対立が表面化し、警察が出動する大騒ぎとなります。

ロッカーズとの乱闘

その大騒ぎのさなか、憧れのステフとジミーは初めて結ばれます。

警察から逃れるステフとジミー

しかし、ジミーはエースらとともに逮捕、拘置されてしまいます。

ロンドンに戻るとジミーの環境は一変します。母親に麻薬を見つけられ家を追い出され仕事もクビ、愛するステフは友人にとられ、愛用のスクーターは事故で大破してしまします。

失意のジミーは、何もかもが光り輝いて見えたブライトンへ向かいます。

列車で再びブライトンへ向かうジミー

再び訪れたブライトンでジミーは現実を目にします。失望したジミーは、止めてあったエースのスクーターを盗んでビーチー岬へと向かうのでした。

ラストシーン

ちなみに、ビーチー岬はイングランド・イーストボーンの町の近くにあり、自殺の名所です。

その後

この映画は、公開当時モッズのリバイバル・ブームを巻き起こしました。日本でもこの頃からモッズ・コートが定着してきたほどですが、イギリスでの影響は日本の比ではなかったようです。

イギリスでは多くのミュージシャンのお気に入りの映画となっているようですが、その中でもブラーはかなりリスペクトしているようで、彼らの代表作である「パークライフ」に主演を務めたフィル・ダニエルズがナレーションとして参加しています。
同曲のプロモーション・ビデオにも参加していて、話題になりました。

どうしょうもない、やるせなさ満載の1本です。決して元気とか勇気とかが湧いてくる映画ではありませが、イギリスの雰囲気にどっぷりと浸ることが出来ます。

さらば青春の光

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