The Long Goodbye
映画「ロング・グッドバイ」は、言わずと知れたレイモンド・チャンドラーの小説が原作です。最近では村上春樹訳により小説も「ロング・グッドバイ」とタイトルを変えましたが、映画は「ロング・グッドバイ」、小説は「長いお別れ」の方がミドルエイジ以上の方にはしっくりきますよね?!
因みに「長いお別れ」は、清水俊二訳によるものです。

レイモンド・チャンドラー
「長いお別れ」の主人公は、世界一美しい名前を持つ私立探偵のフィリップ・マーロウです。レイモンド・チャンドラーにとってというよりも、おそらくハードボイルド小説史上もっとも有名なセリフであると思われる「ギムレットには早すぎる」が出てくることでも知られた名作ですね。
もっともこのセリフはフィリップ・マーロウが言うのではなく、友人のテリー・レノックスの言葉です。
1973年に映画化された「ロング・グッドバイ」では、主人公こそフィリップ・マーロウですが、小説とは随分印象が違っており、「ギムレットには早すぎる」は出てきません。

ロング・グッドバイ
ハンフリー・ボガート、ロバート・ミッチャムをはじめとしてフィリップ・マーロウ役にはケーリー・グラント、ジェームズ・ガーナー、ジェームズ・カーンなどなど多くの役者が挑んでいます。今回のフィリップ・マーロウ役のエリオット・グールドは異色といっていいかと思います。とにかくよく煙草をふかしています。むしろ煙草を咥えていないシーンの方が少ない、というよりもないくらいです。
こういったところが今回の独特のフィリップ・マーロウになっているのでしょう。
公開当初は「マーロウ物を愚弄した剽窃作」などと酷評された「ロング・グッドバイ」ですが、いえいえ何とも雰囲気があってカッコイイです!むしろこれこそがハードボイルドの見本のような映画に思えます。
あらすじ
ロサンゼルスで私立探偵をしているフィリップ・マーロウが、真夜中に飼い猫に起こされカレー印のキャットフードを買いに行くという何ともとぼけたシーンから物語は始まります。
家に戻ると友人のテリー・レノックスがやって来てメキシコまで行きたいと言います。フィリップ・マーロウはテリー・レノックスをメキシコ国境まで車で送り届けるのですが、これが事件の始まりとなるとは思いもよりませんでした。

翌朝、警官がやってきてテリー・レノックスは妻を殺して逃亡しているのだと告げます。
その後、テリー・レノックスがメキシコで自殺したことが分かったために釈放されたのですが、フィリップ・マーロウはテリー・レノックスを匿っていると疑われ留置場に入れられたのでした。友人の情報を渡さずシラを切り通した結果ではあったのですが。。。
しかし、どうしてもテリー・レノックスが妻を殺害したことも、自殺したことも信じられないフィリップ・マーロウでした。

翌日、フィリップ・マーロウはアイリーン・ウェイドという女性から行方不明となった夫を探してほしいと捜査を依頼されます。アイリーン・ウェイドの夫は、有名な作家のロジャー・ウェイドでした。
フィリップ・マーロウはこの依頼を受けることにします。ウェイド夫妻はテリー・レノックスと同じ高級住宅街に住んでいたのです。
ロジャー・ウェイドが残したメモからフィリップ・マーロウは神経科医・ヴェリンジャー博士の存在を突き止め、アルコール中毒となっていたロジャー・ウェイドを連れ戻すことに成功します。

その後、ギャングがフィリップ・マーロウのもとに、テリー・レノックスが盗んだ35万ドルを返せとやってきます。ギャングはフィリップ・マーロウがテリー・レノックスの仲間だと思っているようですが、もちろんフィリップ・マーロウには身に覚えがありません。
そんな折、ロジャー・ウェイドが自殺します。

アイリーン・ウェイドは「テリーの妻と夫(ロジャー・ウェイド)は浮気をしていた」とフィリップ・マーロウに告げます。そのことでテリー・レノックスは無実だとフィリップ・マーロウは確信するのでした。
フィリップ・マーロウがギャングのもとへ向かい事情を説明している最中に盗まれていた35万ドルが届けられ、フィリップ・マーロウはギャングから解放されます。
その帰り道、フィリップ・マーロウはアイリーン・ウェイドの乗った車を目撃して追いかけるのですが見失ってしまいます。

その後、フィリップ・マーロウがウェイド家に行ってみると、アイリーン・ウェイドは家を引き払って行方をくらましていました。
思い当たることがあったフィリップ・マーロウはメキシコに行き、検死官に賄賂を払って真相を聞き出したところ、テリー・レノックスは偽装自殺だったことが分かります。
テリー・レノックスとアイリーン・ウェイドは深い関係にあり、有名作家であったロジャー・ウェイドの莫大な遺産を手に入れていたのです。
だからこそ35万ドルをギャングに返していたというわけですね。これで何も問題はないと。。。
真相を突き止めたフィリップ・マーロウがとった行動は…。
テリー・レノックスと別れたあと、並木道で車に乗ったアイリーン・ウェイドとすれ違うのですが、フィリップ・マーロウは振り向きもせずに立ち去るのでした。

スタッフ
監督は、第23回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「M★A★S★H マッシュ 」や、「ナッシュビル」、「ビッグ・アメリカン」、「三人の女」などで知られ、これまで受賞には至っていないもののアカデミー賞監督賞に5回もノミネートされている名匠ロバート・アルトマンです。

ロバート・アルトマン
そして今回個性的なフィリップ・マーロウを演じるのは、1970年にロバート・アルトマン監督の映画「M★A★S★H マッシュ」にも出演していたエリオット・グールド。
ちょっと風変わりなこのフィリップ・マーロウは、松田優作に影響を与えたことでも知られており、彼が主演したTVの「探偵物語」、映画の「ヨコハマBJブルース」は「ロング・グッドバイ」へのオマージュです。

エリオット・グールド
音楽を担当したのはジョン・ウィリアムズ 。「屋根の上のバイオリン弾き」、「ジョーズ」、「E.T.」、「スーパーマン」などなど多数の映画音楽を担当しており アカデミー賞は現役最多となる47回もノミネートされており、5回(作曲賞 4回・編曲賞 1回) 受賞しています。
近年も2015年の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」や2016年の「BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」など今でも現役バリバリで活躍しています。
男だったらコレクションしておけ!思わずそう言いたくなる男心を熱くする1本です。

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アルトマン監督はこの映画についてこうコメントしています。「名誉ある男が名誉なき時代に現れたらどうなるか?彼はヒーローに見えるのか?それともバカに見えるのか?」
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