本作に収録されている「Sing Swan Song」は、カニエ・ウェストが「ドランク・アンド・ホット・ガールズ」で、スパンク・ロックの曲「エナジー」では「Vitamin C」が使用されるなど、様々なヒップホップ・ミュージシャンによりサンプリングされています。
1973-Future Days
異常なほどの完成度を誇る1973年に発表されたアルバム「フューチャー・デイズ」ですが、本作を最後にダモ鈴木はバンドを脱退してしまいます。同時に本作までが2トラック・レコーダーで録音されているとのことですが、これは俄かに信じがたいですね。いえ、逆に、だからこそこのような緊張感のある奇跡のサウンドを作り上げることが出来たのかもしれません。
ダモ鈴木自身も、カンで制作したアルバムの中で「フューチャー・デイズ」が最高傑作と発言しています。最高のものを作り上げたからこそ、これ以上の作品は作り得ないと感じたからこそ脱退を決意したのでしょう。
アメリカの音楽メディアであるピッチフォーク・メディアが2004年に選出した「1970年代のトップ100アルバム」において本作は56位にランク・インしています。
フューチャー・デイズ
シングルになっただけあって「Moonshake」は、ポップな曲ですね。しかし、このアルバムで聴くべき曲は1曲目の「Future Days」とレコードの1面全てを使って収められている「Bel Air」でしょう。
「世界で唯一空気よりも軽い音楽」と言われたカンの音楽を実感することができます。もっとも本作は曲単位で聴くのではなく、アルバムとして聴くべき作品といえます。
さて、如何でしたか?いずれ劣らぬ傑作揃いのアルバムです。それは70年代から今日まで時代が変わっても様々なミュージシャンがリスペクトし、カバー、あるいはサンプリングしていることでも証明しています。
これほど古さを感じさせないアルバムというのも稀ですが、きっとこれからも変わることなく孤高の存在として輝き続けることでしょう。