No Wave
70年代も終わりになるとパンクは衰退し、代わりにニューウェーブという新しいムーブメントが台頭してきます。
一方でニューウェーブは商業主義に走り過ぎているとして、フリージャズ、実験音楽、ノイズ・ミュージックなどを演奏するバンドが出てきます。こうしたノー・ウェーブと呼ばれるニューヨークで起きたアンダーグラウンドでの動きにいち早く興味を示した男がいました。

ブライアン・イーノ
ブライアン・イーノです。
No New York
ブライアン・イーノといえは、ロキシー・ミュージックのオリジナルメンバーであり、アンビエント・ミュージック(環境音楽)の先駆者です。また、U2やデヴィッド・ボウイ、トーキング・ヘッズなどのプロデューサーとして知られた人物。
そのブライアン・イーノがノー・ウェーブの中心的なバントをプロデュースしたコンピレーション・アルバムが「ノー・ニューヨーク」です。

No New York
「ノー・ニューヨーク」は、ニューヨークを訪れていたブライアン・イーノが4日間開催されていたロックフェスティバルの3日目に出演していたDNA、ザ・コントーションズ。4日目に出演していたマーズ、ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークスという4組のバンドに興味を示し作り上げました。
James Chance and the Contortions
「ノー・ニューヨーク」には各バンド4曲ずつ全16曲収録されています。1曲目から4曲目までの演奏がジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズです。

ジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズ
バンドのメンバーは以下の通りです。
ジェームス・チャンス :サックス, ヴォーカル
ドン・クリステンセン:ドラム
ジョディ・ハリス : エレキギター
パット・プレイス :スライドギター
ジョージ・スコット III: ベース
アデル・バーティ: エーストーン、オルガン
如何ですか?ちょっと頭痛がする感じでしょうか?因みに本作は坂本龍一がもっとも好きなアルバムと発言しています。
Teenage Jesus and the Jerks
5曲目から8曲目に収録されているのが「ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス」です。
バンドメンバーは以下の通りです。
リディア・ランチ : ギター、ヴォーカル
ゴードン・スティーヴンソン : ベース
ブラッドリー・フィールド :ドラム
ブライアン・イーノは、4バンド共にほとんど注文を出すことなく、手を加えることもなかったと言われています。
因みに本作が発売された1978年当時、既にノー・ウェーブはポップ・ミュージックの新しいカタチとして認識されてたんです。驚きですよね。
Mars
サムナー・クレーン :ギター、ヴォーカル
チャイナ・バーグ :ギター、ヴォーカル
マーク・カニンガム :ベース、ヴォーカル
ナンシー・アーレン :ドラム
以上のメンバーからなるマーズ。9曲目から12曲目に収録されています。短命に終わるバンドが多いノー・ウェーブですが、マーズも例外に漏れることなく最初のライブから2年ほどで解散しています。
メンバーは全員がマーズ以前に音楽経験がなかったと言います。初期衝動のみで突っ走ったんですね。ノー・ウェーブのバンドは皆似たり寄ったりでしょう。だからこそ異常なまでにテンションを上げることができたのでしょうね。
DNA
さぁ、そして最後に日本人のドラマーが居るDNAです。メンバーは以下の通りで、13曲目から16曲目に収録されています。
アート・リンゼイ:ギター、ヴォーカル
ロビン・クラッチフィールド :オルガン、ヴォーカル
イクエ・モリ:ドラム
本作の中ではDNAが、というよりもDNAの中心人物であるアート・リンゼイが今日では最も一般に知られているのではないでしょうか?

アート・リンゼイ
アート・リンゼイは、DNAの活動と並行して1978年にはジョン・ルーリーを中心としたジャズ・コンボ「ラウンジ・リザーズ」に参加していいます。その後はソロ活動を行いつつ、多くのプロデュースを行っています。
例えば、、、
坂本龍一 、角松敏生 、宮沢和史 、大貫妙子 、中谷美紀 といった日本人から、デヴィッド・バーン 、ローリー・アンダーソン 、マリーザ・モンチ などなど。
これで譜面が読めず、コードすらあまり理解できていないというのですから驚きですね。
日本において「ノー・ニューヨーク」といえば、某バンドの曲名と捉えられがちですが、全くもって別物ですね。

BOOWY / No. New York