ピンク・フロイドの素晴らしすぎるジャケット・デザイン

ピンク・フロイドの素晴らしすぎるジャケット・デザイン

ロック界での名声を欲しいままにしているピンク・フロイド。毎回爆発的なセールスを記録したアルバムですが、音楽同様に話題となったアルバム・デザインは、ヒプノシスというデザイン集団が制作したものです。


プログレの巨星、ピンク・フロイド

シド・バレット Syd Barrett (ギター、ボーカル) 
1946年1月6日生まれ 2006年7月7日没 ケンブリッジ出身

ロジャー・ウォーターズ Roger Waters (ベース、ボーカル) 
1943年9月6日生まれ ケンブリッジ出身

リチャード・ライト Richard Wright (キーボード、ボーカル)
 1943年7月28日生まれ 2008年9月15日没 ロンドン出身

ニック・メイスン Nick Mason (ドラムス、パーカッション) 
1944年1月27日生まれ バーミンガム出身

オリジナル・メンバー

プログレことプログレッシブ・ロックを代表するバンド「ピンク・フロイド」。彼らが作り出した音楽は勿論すばらしいのですが、アートワークも最高です。

アルバム・ジャケットを手掛けているのはデザイン集団「ヒプノシス」で、バンドのロジャー・ウォーターズとシド・バレットの高校時代からの友人であり、ヒプノシスのリーダーであるストーム・ソーガソンです。
ピンク・フロイドの成功と比例してヒプノシスもまた名声を高めていくことになります。

では、ピンク・フロイドのアルバムと併せてアルバム・ジャケットも見ていきましょう。

The Piper At The Gates Of Dawn

1967年発売
売上枚数:-

夜明けの口笛吹き

ロジャーは「シド以外のメンバーは誰でもよかった」とまで言っていたようだが、それも納得。 たとえば画家のV・ゴッホなんかが音楽をやったら、こんな極彩色の孤独な世界を描いたのではないだろうか。 ドラッグの高揚感ではなく、内気なメルヘン作家が自ら暗黒メルヘンワールドの住人になってしまっているような、奇妙な違和感のある世界。 サイケと一言で片付けるには、あまりに異色。 不安感を強調するような不協和音、唐突な展開、暴力的なインプロビゼーション、明らかに「ラブ・アンド・ピースのヒッピー的サイケ文化」ではない。 時代は1967年、フリー・ジャズから影響を受けたというより、むしろ影響を与えた側だろう。 マイルス・デイビスの「ビッチェズ・ブリュー」には、このアルバムにインスパイアされたとしか思えない部分が見受けられる。 後のソニック・ユースに通ずるような殺伐とした歪なアンサンブルが、67年にして既に垣間見える。 後にAORのルーツになる成熟した大人のロックを奏でるメンバーが、前衛音楽をやってしまっている。 当時の演奏動画を見ると、シド本人は淡々とピロピロやっていて、周りのメンバーは高揚感に取り憑かれ妙なテンション。 ロジャーも薄気味の悪い笑顔を浮かべ、殆どノイズみたいな音を出し続けてたり。 シド自身が、メンバーにとっての麻薬みたいな存在だったのかもしれない。

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Amazon.co.jp: Pink Floyd : Piper at the Gates of Dawn [Analog] - ミュージック

【アルバム・デザインのこと】
サイケデリックというのを人物を使って表現するとこんな感じになるんでしょうかね。
日本のバンド「ミッシェル・ガン・エレファント」がシングルのジャケットでパロディをやっています。

ミッシェル・ガン・エレファント/ベイビー・スターダスト

A Saucerful Of Secrets

1968年発売
売上枚数:-

神秘

前作「夜明けの口笛吹き」と「神秘」のリリースの間にバンドメインライターのシドバレットはツアーによる過労とドラックの副作用で病気になり、代わりのギタリストにデイブギルモアが加入、一時期にはシドとデイブを合わせた5人編成で活動していたという過渡期の作品、メインのソングライターがロジャーに代わり、前作に見られた独特なトリップ感覚や危ない陽気さは薄くなった印象がある。しかし、つまらない先九品ではなく、4曲目なんかは前作をポップなイメージを引き継いでいるし、(間奏の「プーププープップップーププー」の部分のベースラインやリズムはビートルズの「フールオンザヒル」に似ている」 5の「神秘」は前作の「星空のドライブ」の世界をさらに発展させている。  個人的なベストトラックは脱退したシドバレットが歌うシド作の「ジャグバンドブルース」、先の展開が読めない曲の進行やバンドの中のシドの微妙な立場を陽気に歌った変な歌詞がいかにもシドらしい。(以前ブートでこの曲の67年冬のライブを聴いたことがあり、ほぼ原曲通りに演奏されていて驚いた。) ロジャー主導のフロイドがこのアルバムからスタートした。このアルバムが売れなければ「狂気」や「ウオール」も生まれていなかったかもしれない。

http://www.amazon.co.jp/Saucerful-Secrets-Analog-Pink-Floyd/dp/B01EW1UMOG/ref=sr_1_18?s=music&ie=UTF8&qid=1464171341&sr=1-18&keywords=%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89

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【アルバム・デザインのこと】
これは素晴らしいデザインですね。とても綺麗で深みがあります。
前作に比べると大きく飛躍していると感じます。
但し、まだ技術的にデザインが上手いという領域ではないでしょうか。これ以降どんどん独自の領域というか、追随出来ない世界へと向かう、その扉を開く前の作品といえそうです。

Ummagumma

1969年発売
売上枚数:1,000,000枚

ウマグマ

【アルバム・デザインのこと】
小さな写真では分かりにくいですが、左上にある額の中の写真、レイアウトはそのままにメンバーがポジションを入れ替えながら永遠に続いています。
アルバム・ジャケットの中にアルバム・ジャケットがあり、またその中にアルバム・ジャケットが…。
ウマグマというアルバムを、ピンク・フロイドというバンドをなんとも上手に表現してますね。

Atom Heart Mother

1970年発売
売上枚数:500,000枚

原子心母

メインは、オーケストラと共演した長尺の組曲。 ロックでも無いしクラシックでもジャズでも無いし、というジャンルレスな珍曲。 迷路に迷い込んだような、起承転結の不明瞭な薄気味の悪いメロディと、変な効果音が不可解さを増している。 中盤の現代音楽/ノイズな部分は混沌状態が徹底しており、異空間へトリップ出来る。 ドイツのバンド、ファウストより更にカオス。 その他の収録曲は、ぼそぼそ呟くフォークの小品や、やけに明るいのが逆に気持ち悪いビートルズ風の2つの楽曲。 ろくにライブでもやらなくなった、数合わせのやっつけ仕事。 そして、終曲の「アランのサイケデリック・ブレックファスト」。 朝食を貪り食う実況録音の上に、やたら牧歌的なインプロ風の演奏が乗るのだが、本気で何がしたいのか理解出来ない。 シド・バレットを狂人とか言ってた残りメンバーが作ったアルバムなのだが、こっちの方が確実に狂っている。 ジャケットのセンスも意味不明。 「レコード契約切って下さい」と言わんばかりの居直り感。 最高。

http://www.amazon.co.jp/Atom-Heart-Mother-Remastered-Discovery/dp/B004ZN9OTG/ref=sr_1_20?s=music&ie=UTF8&qid=1464171341&sr=1-20&keywords=%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89

Amazon.co.jp: Pink Floyd : Atom Heart Mother (Remastered Discovery Edition) - ミュージック

【アルバム・デザインのこと】
とても印象的なジャケット・デザインですし人気も高いのですが、なぜ牛なのかよく分かりません。
当時話題になっていた、ポップ・アーチストのアンディ・ウォーホルが作成した作品にインスパイアされたとのことです。

1966年制作

アンディ・ウォーホル 「牛の壁紙」

Meddle

1971年発売
売上枚数:2,000,000枚

おせっかい

【アルバム・デザインのこと】
アルバムのジャケット・デザインとタイトルは、1971年8月の来日時の滞在ホテルで、バンドのメンバーがブレインストーミングを行い決定したそうですが、ジャケット・デザインに関しては、ピンク・フロイドとヒプノシスともに出来栄えに満足しなかったそうです。。。

The Dark Side of the Moon

1973年発売
売上枚数:15,000,000枚

狂気

【アルバム・デザインのこと】
ヒプノシスのデザイナーのストーム・ソーガソンが幾つかのアイディアをメンバーに提示したところ、全員一致で光のプリズムを表現したデザインに決定したそうです。
アルバム同様、このジャケットもまたロック史に残る名作となりました。

Wish You Were Here

1975年発売
売上枚数:6,000,000枚

炎〜あなたがここにいてほしい

【アルバム・デザインのこと】
右側の炎に包まれている男性、実はマネキンで実際に火をつけて撮影しています。
現在であれば炎を加工することは簡単に出来てしまいますが、当時はそういうわけにはいきません。実写するしかなかったのです。だからこそ写真に緊張感が出るのかもしれませんね。
因みに、発売当時アルバム・ジャケットは真っ黒なビニールに覆われていました。

Animals

1977年発売
売上枚数:4,000,000枚

アニマルズ

人間を【犬】(エリートビジネスマン)【豚】(金持ちの資本家) 【羊】(平凡な労働者)に例えた名作。 2.3.4は10分を超える大曲ですが、それぞれが異なった味付けで 引き込まれるように聴いてしまいます。 前作が【内に向けた作品】だったとすれば、これは【外に向けた】痛烈なメッセージ、 パンク・アティチュードを持った作品ですね。 それでいて「取っつきにくい」感は無く、よくできていると思います。 2.『 ドッグ』は非常に攻撃的な17分にも及ぶ曲。 「もっと貪欲になれ/奴らがお前に背を向けた時、ナイフを突き立てるチャンスだ/ やがて年を取り砂に顔を埋め/1人で救いようのない癌に侵されて/ 石の重みに引きずられお前は死の淵へ向かう/ 自分は利用されているだけではないか?/演じ続けろ/人間はみな殺人者だ」 間奏のギルモアのギターの枯れ具合が凄いです。 8分過ぎからの戦慄の展開では犬の鳴き声がSEでどんどん人間のすすり泣きに 変わって行くように聴こえます。 エンディングは【狂気】の中の『狂気日食』で見せたような ウォーターズ独特のリフレインで締められます。 3.『ピッグ(3種類のタイプ) 』は「金持ちの豚野郎」を皮肉っぽく嘲笑い、 4.『シープ』は群れをなして平穏な生活を望む、臆病で従順な一般労働者階級の人たちへ 「俺についてくるのか?そのままジッとしているのか?」という問いかけがされています。 アルバムのオープニングとエンディングを飾る『翼を持った豚』はそれぞれ2分弱の小曲。 ウォーターズのアコギ弾き語りで、間の3曲を聴く前の緊張感を煽り 聴き終わった後の安堵感、あるいは残像として効果的にポジショニングされています。

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Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: アニマルズ <FOREVER YOUNG CAMPAIGN 2015>対象商品

【アルバム・デザインのこと】
写真では見えにくいですが、煙突の横に浮かんでいるもの、これ巨大な豚(風船)です。実際に長さ12メートル程の巨大な豚の風船を飛ばして撮影を行っています。
アルバム・ジャケットにこれだけの予算と時間をかけるなんてスゴイですね。

1985年6月、ロジャー・ウォーターズ(左から2人目)脱退。

ロジャー・ウォーターズ時代のメンバー

実は、ジャケット・デザインに関してメンバーのロジャー・ウォーターズとヒプノシスはもめてしまいます。
バンドはロジャー・ウォーターズの独裁体制となっていたこともあり、影響力が強かったのでしょう。ロジャー・ウォーターズは、アニマルズのアルバム・ジャケットのクレジットに、デザイン:ロジャー・ウォーターズと記載させてしまいます。
これを機に、ヒプノシスはピンク・フロイドから手を引くことになります。

但し、ロジャー・ウォーターズがピンク・フロイドを脱退した後は、ヒプノシスのリーダーだったストーム・ソーガソンが復帰し、ピンク・フロイドが解散するまで関係が続きました。

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