伊勢正三のかぐや姫時代
アニメ主題歌「海のトリトン」
伊勢正三、通称「正やん」は、大分県立大分舞鶴高等学校時代に、コーラス部の先輩だった南こうせつに誘われて、バンドを結成しました。
その後千葉工業大学工学部に進学しますが、一足先に上京していた南こうせつに誘われて、1971年第2期の「かぐや姫」に加入します。山田パンダと3人の「かぐや姫」の誕生です。デビュー曲は「青春」でした。
1972年には、アニメ「海のトリトン」の主題歌を須藤リカとかぐや姫が歌い、初期はオープニングで、途中からはエンディングとして4人の歌う実写映像が流れました。
「神田川」の大ヒット
1973年のアルバム「かぐや姫さあど」の収録曲である「神田川」が、ラジオの深夜放送リスナーからの支持でシングルカットされて発売され、大ヒットします。NHKの紅白歌合戦への出場打診がありましたが、商標名が入っているため歌詞を変更してほしいというNHKの依頼を断ったため、出場を辞退することになりました。NHK側の依頼は、「クレパス」を「クレヨン」にしてくれというものでした。発売から19年後の1992年の紅白歌合戦で、ソロで出場した南こうせつが、オリジナルのまま歌うことができました。

「神田川」のジャケット
かぐや姫;赤ちょうちん - 徒然なるままに・・・・・ - Yahoo!ブログ
メンバー全員の曲作り
1974年のアルバム「三階建ての詩」では、メンバー全員に印税が入るようにという南こうせつの提案により、伊勢正三と山田パンダの2人も曲作りをすることになりました。
伊勢正三が作詞した曲は「南風知らん顔」と「この季節が変われば」の2曲、作詞・作曲した曲は「22才の別れ」と「なごり雪」の2曲が入っています。

「赤ちょうちん」のジャケット
「赤ちょうちん」かぐや姫 ( 邦楽 ) - ラフャールのマニアックブログ 歌謡曲シングル盤レコード紹介 - Yahoo!ブログ
大ヒットして映画化もされた「神田川」の次のシングルに、南こうせつは「22才の別れ」か「なごり雪」を考えていましたが、映画化が決まっていたためにレコード会社が「赤ちょうちん」をリリースしてしまいます。その後も同じく映画化のために「妹」がリリースされるなど、本人たちの意向が無視されることが続きました。
「かぐや姫」の解散
1975年、東京神田共立講堂での解散コンサートを最後に、「かぐや姫」は解散します。南こうせつと山田パンダはソロとして、伊勢正三は元「猫」の大久保一久と「風」を結成しそれぞれの活動を開始します。

最後のアルバム「かぐや姫フォーエバー」
かぐや姫Forever: 整体師のひとりごと
伊勢正三の「風」時代
「かぐや姫」は1975年4月までの活動でしたが、同年2月に「風」を結成し、活動を開始します。デビュー曲は「かぐや姫」のアルバム「三階建ての詩」に収録された「22才の別れ」でした。同じく「三階建ての詩」に収録された「なごり雪」は、イルカに歌わせたいという要望があり、イルカに提供しました。
自然に浮かんだという「なごり雪」とは違い、「22才の別れ」は売れる曲を意識して作ったといいます。最初に作った曲が、2曲とも大ヒットとなりました。

「22才の別れ」のジャケット
■22才の別れ 風 1975年 | 音楽大好き!
「22才の別れ」が大ヒットした「風」ですが、その他にも「海岸通」や「あの唄はもう唄わないのですか」などの曲があります。1977年には日本武道館でのコンサートも開催しました。
「22才の別れ」の動画
グループ名「風」への思い
「風」というグループ名は、伊勢正三が名づけました。
空気のようにとどまらず、音楽的に常に進歩していくことを目指す、という思いが込められています。
「海岸通」の動画
4年間の活動の後、1979年に「風」は活動を休止します。伊勢正三はソロ活動を開始しますが、1990年の第10回サマーピクニックで共演をしています。
ソロ活動開始から現在まで
1979年の活動休止後、1981年にレコード会社日本クラウンから、ポニーキャニオンに移籍します。1985年からは表立った活動はしていませんが、1990年の第10回サマーピクニックでの一夜限りの「風」の共演となります。その後1993年にフォーライフに移籍し、ソロ活動を再開します。
1995年には池田聡と期間限定で「IS」を結成、1999年には山本潤子とのコラボレーションや、「かぐや姫」の再結成にも参加しています。

2000年5月の再結成コンサート
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「なごり雪」の映画化
2002年、大林宣彦監督が「なごり雪」をモチーフにした映画「なごり雪」が公開されました。大林宣彦監督の大分三部作の一つとなり、臼杵市各地で撮影が行われました。
28年ぶりに故郷の臼杵市に帰郷する、50歳を迎えた男の青春の思い出を描いています。

映画「なごり雪」
映画「なごり雪」 待ち残しの街での、街守りの映画 ( 映画レビュー ) - 練馬区大泉学園・「もんじゃ焼きお好み焼き わらべ」のつぶやき - Yahoo!ブログ
「22才の別れ」の映画化
2006年には、大林宣彦監督により、「22才の別れ」をモチーフにした映画「22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語」が公開されました。
母と娘の二代に渡る物語として、昔の恋人の娘と知り、戸惑う男と、彼らを取り巻く人々の日常を描いています。

「なごみーず」としての活動
2004年の、伊勢正三と太田裕美のジョイントコンサートがきっかけになり、元「ガロ」の大野真澄が加わって、「なごみーず」としても活動しています。
当初はグループ名はなく、それぞれの個人名を列記するだけでしたが、公演中に太田裕美が「なごみーず」と命名しました。

「なごみーず」の3人
(主催)青春のグラフィティ スペシャルコンサート 伊勢正三&イルカ~二人の物語~ | 公益財団法人立川市地域文化振興財団
「なごみーず」のコンサート100回記念は、2007年にコンサート会場と通販のみでの限定販売で、ライブアルバム「アコースティックナイト」が発売されました。
2010年の150回記念には「アコースティックナイト・2nd」が、2014年の200回記念には「アコースティックナイト 3rd」が発売されています。

「アコースティックナイト」のジャケット
なごみーずCDいよいよ発売☆ : Staff blog
3人のセッションと、ソロコーナーもあり、それぞれの代表曲やカバー曲も楽しめるコンサートで、全国各地を回っています。
「なごみーず」のコンサート動画
ソロ活動「風ひとり旅」コンサート
2008年、「風」の再結成が計画されましたが、大久保一久の病気のため実現できず、その後「風ひとり旅」コンサートを企画して全国を回っています。

「風」ひとり旅コンサートのポスター
伊勢正三「風」ひとり旅 コンサート ~時は流れて・・・~ 報告 : JAZZと映画・本
「ひめ風」の活動
2013年、南こうせつと新しいユニット「ひめ風」を結成します。「ひめ風」またの名を「部長&部員」と自ら語っていますが、高校時代からの40年を経て、再びユニットを結成した2人。
アマチュアのころに作った歌を一緒に歌っても、何の違和感も感じない2人の関係を感じさせます。

「ひめ風」コンサートの様子
shoyan blog
ギターテクニックを磨き、コンサート活動をし、プロデュースも手掛けながら、プライベートではフライフィッシングやオートキャンプも楽しむ、肩の力が抜けて音楽を楽しんでいる伊勢正三の「過去」と「現在」を聞き比べてみるのも面白いかもしれません。