初代クレスタ(X50/60系)
初代クレスタは1980年に新設されたトヨタビスタ店の最上位車種として販売されました。兄弟車のマークⅡでは4代目、チェイサーは2代目と同型になります。

この初代モデルのみ、4ドアハードトップとして発売され、マークⅡ、チェイサーよりも弱冠高級感のあるイメージで売り出されました。クラウンの弟分的なイメージでしょうか。
エンジンは直列6気筒。クレスタの代名詞のグレード、スーパールーセントもこの世代で早くも登場しています。

イメージキャラクターは山崎努さん。
CMソングはボズ・スキャッグスの『トワイライト・ハイウェイ』
原題はYouCanHaveMeAnytime ~ 全く違うタイトルですが、CMのイメージともピッタリなので問題ないですね。
初代クレスタのスペック
2.0スーパールーセント 1,974,000円
全長×全幅×全高 4,640×1,690×1,425mm
エンジン型式 1G-EU型
最高出力 160ps/6,400rpm
最大トルク 18.5kg・m/5,200rpm
種類 水冷直列6気筒DOHC
車両重量 1,225kg

2代目クレスタ(X70系)
2代目クレスタは1984年に発売されました。このモデルから、クレスタ=セダンの図式が出来上がり、他の兄弟車との住み分けがはっきりし始めました。
先代に引き続き角目のライトでソリッドな印象。『トヨタの最高級パーソナルセダン』と銘打ち、高級感のある、それでいて運転者も楽しめる車になっていて、日本の好景気に支えられて大ヒット作となりました。

山崎努さんが引き続きクレスタの顔となり、ジョージ・ウィンストンの『あこがれ/愛』と共に、CMも大ヒットしました。
2代目クレスタのスペック

GT
全長×全幅×全高 4,650×1,690×1,415mm
エンジン型式 1G-GTEU型
最高出力 185ps/6,200rpm
最大トルク 24.0kg・m/3,200rpm
種類 直列6気筒DOHC ツインカムターボ
3代目クレスタ(X80系)
マークⅡ、チェイサーと共にシリーズ最大のヒットとなった3代目クレスタは、バブルの絶頂期の1988年に発売になりました。

先代に比べ、やや丸みをおびたデザインになり、優雅さが増した印象。
全てのグレードにDOHCを配し、ターボに加え、マークⅡ兄弟の中では初めてスーパーチャージャー車もラインナップ。
またこれまでの2.0Lクラスに加えて、2.5L、3.0Lと、よりパワフルなモデルも登場しました。

イメージキャラクターは引き続いて山崎努さんが担当。
CMソングはCM毎に変わり、流動的になっていきます。
3代目クレスタのスペック
スーパールーセントG 2,991,000円
全長×全幅×全高 4,690×1,710×1,375mm
エンジン型式 7M-GE
最高出力 200ps/5,600rpm
最大トルク 27.0kg・m/3,600rpm
種類 直列6気筒DOHC24バルブ
総排気量 2,954cc
車両重量 1,520kg

4代目クレスタ(X90系)
4代目クレスタは1992年に発売されました。3ナンバーのワイドボディが標準になり、走行性能も大幅にアップしましたが、デザインは少しおとなしめのスタイルになりました。

イメージキャラクターも10年以上続いた山崎努さんから浅井慎平さんに代わり、カジュアルな印象に変更。
しかし発売前後にバブルが崩壊した影響をまともに受け、またこれまでの 『最高級のパーソナルセダン』という定義も薄れてきたこともあって、売れ行きは伸びませんでした。
4代目クレスタのスペック
スーパールーセントG 3,227,000円
全長×全幅×全高 4,750×1,750×1,390mm
エンジン型式 2JZ-GE
最高出力 220ps/5,800rpm
最大トルク 28.5kg・m/4,800rpm
種類 直列6気筒DOHC24バルブ
総排気量 2,997cc
車両重量 1,420kg

5代目クレスタ(X100系)
最終モデルとなる5代目クレスタは1996年に発売されました。時代はハイソカーからRVに移っていたため、マークⅡ・チェイサーと共に『セダンイノベーション』を掲げ、3兄弟それぞれの個性を打ち出す戦略に出ました。クレスタは車高を少し上げ、居住空間を広く取ることでセダン感を押し出しました。
一方、今までクレスタの最上位モデルだったスーパールーセントが中位に格下げになり、代わってエクシードが最上位に設定されました

イメージキャラクターは沢田研二、高橋幸宏、玉置浩二の三氏。大人の楽しむセダンと位置づけましたが今ひとつ定着せず、後に原田芳雄さんに代わってダンディズムを提唱しました。しかし戦略としてのブレが却って見える感じににもなり、2001年、クレスタは21年の歴史に幕を下ろすことになります。
5代目クレスタのスペック
エクシードG 3,496,000円
全長×全幅×全高 4,760×1,755×1,420mm
エンジン型式 2JZ-GE
最高出力 220ps/5,800rpm
最大トルク 30.0kg・m/4,000rpm
種類 直列6気筒DOHC24バルブ
総排気量 2,997cc
車両重量 1,460kg

トヨタの最高級パーソナルセダン
同じメーカーでありながら、販売網ごとに車種を変え、デザインを変え、コンセプトも変えて販売するという、贅沢な売り方をしていたマークⅡ三兄弟ですが、いずれも大ヒットして、それぞれのファンを獲得していたというのは凄い事ですね。
そんな中クレスタは、一貫してハイクラスなパーソナルセダンとしての道を歩んできました。
近年はセダンに乗る人もセダンの種類も少なく、寂しい限りですが、セダンに乗ることをお考えの方は、一度クレスタについて考えてみませんか?
「私の場合、クレスタでなければならない」
と感じる何かを見つけることができるかもしれません。
