大地讃頌を思い出そう!
なんで今更「大地讃頌」のことを調べたかというと…。
中学生の娘が合唱コンクールで「大地讃頌」の指揮者になったのを聞いて
「おーっ懐かしい〜!私も歌ったよ〜」と盛り上がり、そんな盛り上がりついでにちょっと調べてみたら…
これは、歌ったことのある人、これから歌う人にも知ってもらいたいなあ〜と思ったことがたくさん!
ちょっと読んでみてくださいね。
まずは大地讃頌とは
知っている方には懐かしい曲、知らない方にはこんな曲ということで、とりあえず大地讃頌を聞いてみてくださいね。
思い出しましたか?公立の中学校の合唱コンクールで、必ずと言っていいほど歌われましたね。
ミドルエッジ世代はもちろん、今の中学校でもまだまだ歌われております。
お子さん、お孫さんもきっと知っている息の長〜い作品。
「大地讃頌」作品紹介
作詞:大木惇夫さん 作曲:佐藤真さん
大地讃頌は壮大な「土の歌」の1曲。その生みの親のお二人をご紹介します。
大木惇夫さんプロフィール

大木惇夫さん
カンタータ「土の歌」(うたごえサークル「おけら」)
佐藤眞さんプロフィール

佐藤眞さん
カンタータ「土の歌」(うたごえサークル「おけら」)
混声合唱のためのカンタータ 土の歌
さて「土の歌」とはどんな内容でしょう?
混声合唱のためのカンタータ 「土の歌」は1962年(昭37)に作られました。
終曲の「大地讃頌」に至るまで、どんな詩が、曲が紡がれているのでしょうか?

歌詞の意味を要約しました。
第1楽章「農夫と土」
命の糧を作り出す土。その土と共に生きる人間。土への感謝と、自然の繰り返される「生」の神秘を歌っています。
第2楽章「祖国の土」
土とは大地。人間は大地の上で日々生きている。故郷の、祖国の大地の尊さと愛おしさ。
第3楽章「死の灰」
護るべき大地、世界を滅ぼすのは人間である。文明、科学を作り出し、間違った使い方をする
愚かな人間である。原爆への怒りと犠牲者への哀悼。

第4楽章「もぐらもち」
大地を汚した人間が、もぐらのようにその大地の下に逃げ込む愚かさ。怒りを皮肉に込めて表します。
第5楽章「天地の怒り」
ついに人間の自然を汚す愚かな行為に、自然が天災となり怒りを爆発させます。そして人類が、自らの過ちによって傷つけられます。
第6楽章「地上の祈り」
愚かな人間の犯した罪を、鎮めて、復活させてくれるのは傷つけてしまった自然しかない。
大地と自然の大きな懐を信じて、感謝して日々を耐えていこう。
第7楽章「大地讃頌」
大地への限りない感謝と賛美。
こんな強いメッセージの最後に、あの「大地讃頌」があったんですね〜。
そんなこと、全然知らずに歌ってました。
土の歌 第5章が まさに現代に起きているようで…
大木さんの怒りが第5章で爆発してます。
人間の間違った文明と科学の使い方で、大地を汚し、同じ人間同士をも犠牲にしてしまう事への憤りが「自然の怒り」として綴られています。
広島生まれの大木さんの、故郷への愛情が怒りへと変わっているのがよくわかります。
そしてそれがまさに現代に次々と起こっていると思いませんか?
地震、津波、福島の原発事故、火山の爆発、記録的豪雨の水害…
これまでの人間の戦争、原爆、そして現代の原子力依存に対して、自然が圧倒的な力を見せつけて警告しているのかもしれないですね。
驚くべきは、それを50年前に予言したかのような大木さんの詩になっているのです。
ただ、ここで誤解したくないのは、大木さんは全ての人間に対して絶望しているのではなくて、憎むべきは戦争、原爆。愚かなのも人間であり、戦争、原爆、自然の天災の犠牲になるのも善良な人間であるという、どうしようもない悲しみを持って書かれていると思います。
大木さんの思いは広島の地に
真実なのか?都市伝説か?「土の歌」には幻の第8楽章があった?!
お待たせしました!(←誰も待っていない?)
大地讃頌が「土の歌」の終曲とされていますが、実は、このカンタータには最後の第8楽章が作られていたというお話があります。
幻の第8楽章とは?
気になりますよね。
幻ということは、本当にあるのか、本当はないのかもわかりません。
でも内容は以下の通りと言われています。
「(大地讃頌で)大地の有り難さ、自然の尊さに気づいた人類の前に女神が現れます。
女神を讃える人々…。ところが、その女神は人間を食い殺し始めます。
女神によって人類は一人残らず食い殺され、地球上から人類は消滅します。
そして、その人類がいなくなった地球に真の平和が訪れたのでした」
ヒェ〜ッ!なんか怖くないですか?
さすがに女神は現れないでしょうけども…
でも、でも、女神が食い殺すというのが「核爆弾」とか「放射性物質」とかだったら?
まさか、まさかですが、あり得なくもない最悪のシナリオですよね。
こんな怖いラストが果たして作られていたのでしょうか?
封印された第8楽章

作詞家 大木惇夫さん

作曲家 佐藤眞さん
「地球上の自然、大地を汚し、破壊する人間の暴挙が止まらななら、人間はいつか、自らがこの地球に住めなくなる」
そんな絶望と、戒めを込めて、大木さんは第8楽章の詩を書かれたのだと思います。
人間はそこまで愚かか?
さて、その第8楽章を作った後でお二人は
「しかし、人類もそこまで愚かではないだろう」「まだの心はそこまで荒んでいないだろう」
と人類への希望を捨てませんでした。
封印 そして 幻へ…
お二人は第8楽章は発表せず、大地讃頌を終曲としました。
そして、いつかもし本当に人類が救いようのない方向に舵を取り、愚かな道を進んでしまったりしたら…。
二人がその時が来たと考えた時に発表しようという事にしたそうです。
しかし、大木先生が亡くなられたことにより、この第8楽章は永遠に封印されました。
作曲者である佐藤先生も、このことについては何も語られません。
第8楽章は「幻の終曲」になったわけです。
お願い!
以上が土の歌にまつわる謎めいたお話しでした。
ただし、この第8楽章の存在の有無は全くの謎。噂の真偽も全く不明ですので、それはご了承くださいね。
まとめ … 大地讃頌を歌う時の気持ちがちょっと変わるかな?
大地讃頌の「自然を愛し、大地を讃える」という歌詞の後ろにこんなに色々なメッセージがあったなんて、知りませんでした。学校でも習わなかった気がするなあ〜。
中学生のお子さんやお孫さんがいらして「大地讃頌」を知っていたら、「実はね」とお話ししてもらえたら嬉しいです。
それで合唱が劇的に変わるとはいかないかもしれませんが( ̄∀ ̄;)
歌っている時に心の中がちょっと違ってくるかも知れませんよね。
オマケ 真央ちゃんが大地讃頌でショートプログラム
ちょっと重いテーマの記事を最後まで読んでくださってありがとうございました。
調べている時に、とっても素敵で、すごいセンスのいい動画を見つけました。
浅田真央ちゃんのショートプログラムの動画の音楽を大地讃頌に変えているのですが、
まるで本当にこの曲だったんじゃないかな?と思ってしまうほどの完成度です。
最後まで読んでくださったお礼に、可愛い真央ちゃんの大地讃頌をお楽しみください。
(本当のSPの音楽はドビッシーの「月の光」です)