日本女子オープンでアマチュアとして史上初の優勝を果たした畑岡奈紗(17)をヒルズゴルフ・トミーズアカデミーの第1期生として指導してきたことでも話題となっている中嶋常幸(61)さんですが、今回は「トミーズバンカー」のみにこだわって書きました。

畑岡奈紗さんと
中嶋常幸プロ主催 「ヒルズゴルフトミーアカデミー」 | Dream of HILLS GOLF|ドリームオブヒルズゴルフ
2016年第3日、単独首位に立った長野未祈(みのり、15=千葉・麗沢高1年)さんも「トミーアカデミー」で腕を磨いている。

長野未祈の師匠中嶋常幸「オレより堂々としていた」
主な経歴
プロフィール
プロローグ
1978年、第42回マスターズの2日目に13番ホール(Par5)でクリークに2度入り、11オン2パットの13打を叩いた。第107回全英オープン(於:セントアンドリュース)の3日目、17番ホール(Par4)深いバンカーに入り、脱出に4打かかり、このホールで9打を叩いた。
マスターズの13打は、1980年にパー3の12番でトム・ワイスコフが13打のワーストスコアを出しましたので、現在のワーストはワイスコフが持っていると言える。
しかし、セントアンドリュースの全英オープンの9打は、いまだに破られていない。

セントアンドリュース名物17番トミーズバンカー
「トミーズバンカー」の名前の由来
中嶋常幸さんが、1978年、全英オープン(於:セントアンドリュース)17番のバンカーの脱出に4打かかった。そのバンカーは、中嶋さんの海外での登録名のTommy Nakajimaから名前を取り「トミーズバンカー」と呼ばれるようになった。

1978年大会の中嶋常幸プロ 17番ホール
9打となった経緯
実は、17番のセカンドショットは、グリーン右手前にオンしていたのだ。つまり次はバーディーパット。ボールはカップに向かって真っすぐ転がっていった。ところが、ボールはグリーンのスロープにつかまって、バンカーに落ちた。
その後は、のちに中嶋さんが語っているが、2打目は「おいおい、何してるんだ」。3打目は「いいかげんにしろよ、馬鹿やろー」。4打目は、もう、頭の中は真っ白だったとのこと。
4回目で脱出して、2パットの9であった。
当時のキャディーは…
中嶋のキャディーを務めたのはニール・ボーリンガルという15歳の少年だった。現在は、セントアンドリュース、フェアモントでコース管理人を務めている。
「この小さな東洋人では本戦出場を無理とあきらめていたそうだ。しかし、中嶋さんはプレーオフの末に全英オープンへの出場権をGETした。
本戦に進んだ中嶋は初日70、2日目71と2日間 好スコア。そして、トップタイで3日目の17番に来たところで、前述のような出来事が起こった。
言葉も通じず、キャディー経験も少年は、ただそれを見守っているしかなかったという。
ゴルフネットワーク「杉ちゃんが行く!~突撃!中嶋常幸編」にて
「杉ちゃんが行く!~突撃!中嶋常幸編」(2015)で、「あそこで4回も打ったんだから怖いものはない」と語っている。
「デビッド・デュバルに抜かれそうになって、俺の名前が消えちゃうよって思ったけど残って良かった」と話している。2000年大会で、デビッド・デュバルが最終日に17番の「トミーズバンカー」につかまり、8打を叩いたのだ

2000年大会 トミーズバンカーの罠にはまるデビッド・デュバル
「60度の今のクラブなら出たかな。あの当時持っていたのは56度。すーっ斜面をつたって戻って来て、ちょっとずつ前進するもんだから、「何で出ないんだ」って思ってトライしてしまった。」と。
ホールアウト後は練習する気にもならないので、ホテルに帰って、思いっきりベッドを蹴飛ばしたそうだ。
「あそこで4回も打ったんだから怖いものはないって思うようにした。失敗したことに対して自分の中でどう捉えるか、どう切り返すか。物事を悲観的なことにするのか、発展的なことにするかは、その本人の気持ち次第」と深い言葉を残されている。

バンカーはこの人に聞け!
中嶋さんのバンカーに関するレッスン書が見つからなかったのですが、ようやく見つけました。ALBAさんから「永久保存版」として。購入はできなさそうです。
他では、このようにも語っている
「最終日のペアリングを知らされたことが、私には救いとなった。あこがれの選手、アーノルド・パーマーだったからだ。 最終日もアンダーパーで回ることができ、初出場で17位に入れたのはパーマーのおかげだ。同年に、(Par5で13を叩いた)マスターズで予選落ちし、世界挑戦に自信をなくしてしまいそうだった。 パーマーとのラウンドがなければ、今の私はないと思っている。」

アーノルドパーマーと
トミーズバンカーは改修されている
クラブやボールの改良などで飛距離がアップし、17番は短いクラブでグリーンを狙えるようになった。従って、バンカーにつかまる選手も減少した。全英オープンを主催するロイヤル・アンド・エンシェント・クラブのロードリ・プライス理事は「長めのクラブで攻めてもらいたい」と、バンカーに入りやすくするための距離を延長すると2010年発表した。25ヤード延長し、490ヤードにしたのだ。

No.17 トミーズバンカーがさらに拡大!
コース最大の難関17番には、中嶋常幸がバンカー脱出に4打かかったトミーズバンカーがあるが、今回はそのバンカーを拡大し、つかまりやすい設計に。
http://golftoday.tv/news/page/25/ニュース | GOLFTODAY - Part 25
2012年の冬に大規模な改修工事が行われ、17番だけでなく全部で9歩オールの難易度が増したとのことです。
そして、松山英樹もつかまった。
2015年セントアンドリュースで行われた全英オープン3日目。約200ヤードを残した17番のセカンドは狙いよりもわずかに左へ。松山さんは、クラブを叩きつけようとしたが、思いとどまった。17番のトミーズバンカーにつかまった。
アゴに近い難しいライ。松山さんは果敢にピン方向を狙ってアドレスをした。打ち出したボールはあと少し、高さが足りなかった。ボールは再びバンカーに入ってこのホールボギーとした。
最近の戦績(2016年)
ダンロップフェニックス 73位
三井住友VISA太平洋マスターズ 69位
富士フイルムシニアチャンピオンシップ 57位
日本プロシニア選手権住友商事サミットカップ 25位
日本シニアオープンゴルフ選手権競技 34位
コマツオープン2016 23位
ファンケルクラシック 21位
ダンロップ・スリクソン福島オープン 119位
日本プロ選手権 日清カップ 64位
スターツシニアゴルフトーナメント 9位
日本ツアー選手権森ビル杯 59位
関西オープン 79位
直近の優勝は、2013年の「第14回スターツシニアゴルフトーナメント」です。

中嶋常幸
私がまだ社会人になりたての頃、中日クラウンズに出ていたゴルフ部つながりの友人から、中嶋さんを紹介され、少しだけ挨拶をしたことがあります。
中嶋さんのスイングが憧れだったんですよね。全然真似できませんでしたが…笑
その時の中嶋さんは、和合の1番ホールのパー4を1オン狙い。惜しくも右手前のバンカーだったのを今でもはっきり覚えています。