ドラエもんのび太の海底鬼岩城


アニメ映画化もされている
海底人、幽霊船、魔のバミューダー三角地帯、鬼岩城と、子供心に興味をそそられる内容がぎっしり。冒険映画として見ても、非常に楽しめる作品に仕上がってる傑作です。
舞台となる場所
ムー連邦
マリアナ海溝の底に存在する海底人の連邦国家です。はるか1万年も前から高度な文明を築き上げていました。なんとテキオー灯までも独自に開発・保持しているという、高い科学力を持っています。七つの海を統べるとされる『ナバラの神』を信仰する独自の宗教が存在しています。
太平洋を治めておりかつては太平洋のムー、大西洋のアトランティスとして海を二分し、地上の冷戦のように軍拡競争で争っていました。
バミューダ三角海域(アトランティス連邦)
ムー連邦と敵対していた海底人の国であるアトランティス連邦が存在した海域です。はるか上空までをもカバーする強力なバリアーで囲まれており、永遠の闇が支配する世界としてムー連邦の人々に恐れられています。
ストーリー
バミューダ諸島沖で宝を積んだ沈没船が発見されたというニュースが流れています。

楽しい夏休み。海に行くか山に行くかでもめているいつものメンバー5人組です。
そこでドラえもんは海の中の山に登る事を提案しますが、海底なんて薄気味悪いといって皆帰ってしまいます。

山に行きたかったので海底に行くのに難色を示していたジャイアンとスネ夫ですが、宝を積んだ沈没船が行方不明になったニュースを受け、やっぱり海底に行きたいとせがみます。ドラえもんの提案どおり海底の山を登ろうということになり、どんな環境でも普通に行動できる「テキオー灯」という万能アイテムを使います。

美味しそうな食事
さっそく、ドラえもんたちは「どこでもドア」で太平洋の真ん中、水深2000メートルの山に下り立ち、その海底にドラえもんの道具でものすごい立派なテントを建てキャンプをすることにします。「テキオー灯」の力で深海でも明るく見えます。「海底クッキングマシーン」でつくられた料理はめちゃめちゃ美味しそうですが、原料はなんとプランクトンです。


バギーちゃん
深海をドライブして深海魚ツアーをすることにした五人。バギーに乗り込み出発します。
色々な魚を発見しバギーに解説させますが、安物のせいか口は悪いし知識はいまいちで、なんだか嫌な感じです。

のび太達からは「バギー」と呼び捨てにされますが、しずかちゃんからは「バギーちゃん」と親しまれる。
「テキオー灯」の効果は24時間
スネ夫はバミューダ沖に行きたいと言います。
もちろん、ドラえもんはそんな危険なところには絶対に行かないと却下するのですが、翌朝ジャイアンとスネ夫の姿が見えないではありませんか!しかも、バギーちゃんもいないのです!!
しかも、驚愕の事実が!なんと、「テキオー灯」の効果は24時間であり、あと1時間で切れてしまうのです。
ドラえもんたちはタケコプターで西を目指します。しかしタケコプターでバギーのスピードに追いつくはずがありません。更にバギーのスピードが速すぎるので「とりよせバッグ」は使えず、どこでもドアも四千メートル離れた海の上です。
一方、ジャイアンとスネ夫は、徐々にあたりが暗くなり息苦しくなってきたことに気づいて、「テキオー灯」の効果が切れつつあることを知るのです。
バギーも気づきましたが、今さら戻っても無駄だと言い、薄情にも死のドライブを続けます。
「まっ暗だあ。なんにも見えないよ。くるしい!水圧で体が・・・・・・、しめつけられる。耳がジンジン、頭がガンガン。ウッウッ、息が・・・・・・息が・・・・・・。」

大長編史上屈指のトラウマシーンです。ジャイアンとスネ夫の絶望感が…
ついに放り出された2人を冷静に見つめるバギー。
何者かが二人に「テキオー灯」を浴びせた?
そして、非情にもタイムリミットを迎え泣き崩れるのび太たち。
ドラえもんは「とりよせバッグ」で「どこでもドア」を取り寄せればよかったと気付きます。
「ぼくのせきにんだァ。こわれておわびする。」自分を激しく責めながらも、ドアでジャイアンたちのもとに行くことにします。
ドラえもん達がジャイアンとスネ夫の元へ移動するとなんと、二人は生きているではありませんか!

ジャイアンとスネ夫は全部バギーのせいにして、バギーに殴りかかりますが、行けといわれたから行っただけだと逆に怒るバギー。
もともとあまり調子もよくなかったし廃車にしてしまおうかと考えたドラえもんでしたが、バギーちゃんには善悪の概念がなく、ただ命令を守っただけなのだから壊すなんて可哀想よ、と言うしずかの言葉に、廃車にするのを思いとどまります。ジャイアンたちも反省し、バギーはすっかりしずかに懐いてしまいました。
巨大イカと海底人
ドラえもんたちを巨大イカが襲います。
テントに逃げ込む五人。しかしテントは壊され、五人はイカに捕らえられてしまいます。
その絶体絶命のピンチに現れ五人を助けてくれたのは海底人。しかしお礼を言おうとするのび太たちを問答無用で気絶させムー連邦の首都へ連れ去ります。

のび太たちが危険な人物でないか判断するために気絶させたのだといいます。
ドラえもん、のび太、しずかは安全と判断したから客として迎えるが、ジャイアンとスネ夫は凶暴性と嘘つき性がでたから地下牢に閉じ込めてあると海底人・エルは言います。お願いだから出してあげて、というしずかに負け地下牢に向かいますが、そこで暴れている二人を見て様子をみることに。

国を出たら死刑
海底人の存在を知られたくない首相はドラえもんたちにムー連邦で一生暮らすことを命じます。
それに怒ったドラえもんたちは「とおりぬけフープ」で居住区を脱出。ジャイアンとスネ夫を救出し、国外逃亡を図ります。
「カメレオンぼうし」を使って地中を進んで国境突破しますが、この帽子では垂直には動けないため海溝の終わりで立ち往生してしまう。海底人の警備隊はずっとウロウロしていて、ドラえもんたちは出るに出られません。

カメレオンぼうし
そこにバトルフィッシュが現れます。不意打ちをくらい墜落するエル。
とどめを刺すために戻ってきたバトルフィッシュをみて、思わずジャイアンが助けに飛び出してしまいます。
エルを救った五人でしたが、集ってきた海底人たちによって国外逃亡の罪で再び捕らえられ、法廷では死刑が求刑されます。
鬼岩城
そこに「鬼岩城が活動を始めた!」との報告が入ってきました。
鬼岩城には誰一人として近づけないようにしていましたが、海底火山を敵襲と勘違いして自動報復システムが作動し、臨戦状態に入ってしまったのだといいます。
世界の破滅を防ぐには鬼岩城に潜り込みポセイドンを破壊するしかありません。
不思議な力を持つドラえもんに頭をさげ、世界を救って欲しいと頼む首相。こうしてドラえもんたち五人とエルは、バギーで鬼岩城に向かうことになりました。

バミューダトライアングルに張られているバリアは少しでも触れると大爆発。そこで「カメレオンぼうし」を再び使い、地中からバリア内へ侵入を試みます。もし、地中までバリアが伸びていたら全員即死の場面です。
しずかちゃんがおとりに
バミューダトライアングルの広さは日本の倍以上。鉄機隊というロボット騎士団が守っている鬼岩城を歩いて探すのは困難ですので、バギーちゃんに乗って進みます。
途中、バギーちゃんは恐怖のあまり、それ以上の出動を拒否。そこでしずかちゃんがおとりになって捕まることを提案します。
しずかちゃんは鉄機兵に捕えられ鬼岩城へ連れて行かれます。後をつけたドラえもんたちは鬼岩城をついに発見。ポセイドン破壊としずか救出を誓い、それぞれ武器を持ち神殿に侵入。襲いくる鉄騎隊をかわしながら、目指すはポセイドンただひとつです。

ポセイドンの前に連れられたしずか。アトランチスは滅びたと言ってもポセイドンは聞く耳を持ちません。
攻撃を受け眠りから覚めたからには、今から世界中に鬼角弾(核)を発射するといいます。
そんな中、ドラえもん達は鉄機兵の大群を突破できず、倒れるドラえもん。他の仲間も次々と捕らえられていきます。
「もう、おしまいなのね。なにもかも」

鬼核弾発射前に生贄としてしずかの首をはねさせようとするポセイドン。
ドラえもんに覆い被さり涙を流すしずか。「もう、おしまいなのね。なにもかも」
「ナイテイルノ?シズカサン」「ナカナイデ、ボク、シズカサンノタメナラナンデモスル」
そう言うとドラえもんのポケットからバギーが飛び出してきました。
「コイツダネ、シズカサンヲナカセタノハ!」
叫びながらバギーはポセイドンに向かって走り、攻撃を受けてもなお止まらないのです。
そして、ついにポセイドンに飛び込んだバギー。ポセイドンは大爆発とともに消滅します。

爆風に飛ばされたしずかとドラえもん。ドラえもんはポセイドンを倒したことを喜びます。しかししずかはバギーのことが気がかりです。しかし、とにかく噴火の前に逃げなくてはいけません。

一生忘れない

バギーのかけらであるネジを見つめるしずか。一生忘れないと誓い、バギーを思って涙します。
地上に戻った五人はエルと固い握手をかわします。身を捨てて世界を救った勇敢な少年達と、バギーの功績は永久にムー連邦に語り継がれるでしょう。
「いつの日か、海底人と陸上人が仲良く手を取り合える日まで…」
きっとくるその日まで。別れを告げ、エルは海に帰っていった。