男女の恋愛を綴る「巡恋歌」に込められた、激烈な情熱を内包した長渕剛の純情。

男女の恋愛を綴る「巡恋歌」に込められた、激烈な情熱を内包した長渕剛の純情。

時代とともに歌唱法やスタイルを変え、己が真に求める姿を追求し続ける求道者。長渕剛のファンならきっと、彼をそう見るだろう。デビュー時は透き通るような歌唱法だった長渕、しかしながら1978年当時の「巡恋歌」への拘りの姿勢は、後年の彼の変化をすでに示唆するほどの強い意志だったのかもしれない。


長渕剛を代表する名曲「巡恋歌」(1978年10月)

1978年に発売された「巡恋歌」。
長渕剛のファンなら、14年後に発表された「巡恋歌'92」との歌唱法の違い、そこに至るまであるいはそこからも含めて彼が己の求めるスタイルを模索し続ける姿を見続けてきたに違いない。

ただ78年の「巡恋歌」発表時、すでに長渕剛の純情が激烈な情熱を伴った姿勢となっていたことを、改めて確認しておくのもよいかもしれない。

1978年10月5日に東芝EMIのエキスプレスレーベルより、7インチレコードでリリース。

全作詞・作曲: 長渕剛、全編曲: 鈴木茂。
1.「巡恋歌」(3:30)
2.「帰り道」(3:45)

78年に発表した「巡恋歌」

続く”別れは涙で飾るもの”も含め、直球で男女の恋愛を綴る「巡恋歌」。

一般的には女性目線での失恋ソングとでも分類されるのかもしれないが、実は男目線で綴った歌詞ではなかったのかと、そんな気持ちで聴いた人も多いだろう。

女性のような高音、詞を丁寧に辿るような歌い方。
この歌への想いが伝わるような長渕剛の姿である。

前年のデビューから1年半、本人はこの「巡恋歌」を「本格デビュー」と位置付ける。

「雨の嵐山」(1977年2月)でデビュー後、1年6か月に渡る葛藤

筋を通すために出場したポプコン九州大会で優勝、デビューへ

当時のミュージシャンの登竜門「ヤマハポピュラーソングコンテスト(通称ポプコン)」に対して批判的だった長渕剛。
彼の想いは「コンテストは一曲か二曲で決められてしまう。フォークとは一曲、二曲で決められるものではない」という想いだった。

しかし、プロのミュージシャンを目指して憧れのフォーライフ・レコード社に自身の楽曲を送ろうと利用した福岡のスタジオが縁で、長渕は筋を通すためにポプコン出場。
ポプコンでは「雨の嵐山」で九州大会グランプリ、つま恋本選会ではレコード会社協賛社賞を4社から受け、レコードデビューを果たす事に。

歌手としての活動が始まったもののレコード会社からはフォークシンガーと認めてもらえず、「ナガブチ・ゴウ」の名で演歌・歌謡曲の路線で売り出されてしまう長渕剛。

レコード店周りやデパートの屋上でアイドルの前座などを務める活動に疑問を抱き、なんと全てを白紙に戻して九州へと引き返す事になる。

レコーディング時点で、恩義ある人への義理立てて出場したポプコン。
本意でなかった楽曲で進められたデビュー、周囲の決めた路線。そんな流れに抗うようにして九州へ引き返した長渕剛。

再びプロのミュージシャンを目指して創り上げた「巡恋歌」

再びプロのミュージシャンを目指した長渕は、同じ過ちを繰り返さぬように、再び憧れのフォーライフ・レコード社に「巡恋歌」の含まれたデモテープを送るも採用されず。
その後も数々のレコード会社に送るものの相手にされず、最後に「ポプコン」主催のヤマハ音楽振興会へと送った。
そのヤマハから再度のポプコン出場を提案された長渕は、見事九州大会で優勝、つま恋本選会でも入賞してヤマハ側から絶賛され、ついに再デビューを勝ち取ったのである。

「再デビュー」に至る経緯を知ったうえでアルバムタイトルを見ると、爽やかな風貌とは異なり「捲土重来」を記した長渕の情熱が伝わってきそうである。

「巡恋歌」収録のアルバム「風は南から」

ギター一本でのプロモーションを志願

後に己の意思で歌唱法、スタイルを変えていった長渕剛。
しかし原風景にある「巡恋歌」は、どんなスタイルになってもライブでは必ず演奏する。

ライブではオリジナルと違ってギターとハーモニカだけで歌う。長渕の拘りの象徴のような楽曲である。

自らのスタイルを投影し、再度リリースした「巡恋歌'92」

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