資生堂のロングセラーブランド『SUPER MILD(スーパーマイルド)』
1980年代後半、朝にシャンプーをする通称「朝シャン」が流行した。
資生堂はこの「朝シャン」市場を狙って、『髪を何度洗っても傷みにくい』シャンプーを開発。
「マイルド=優しい」をイメージさせるスーパーマイルド・シャンプー&リンスを1988年に発売開始した。

資生堂スーパーマイルド・シャンプー&リンス
1988年秋に発売開始すると一時は品切れ状態になるほどの大ヒットに。
3カ月後には月間10億円を超える売り上げを記録した。
大ヒットの立役者、元祖CM女王・小泉今日子。
この資生堂スーパーマイルド・シャンプー&リンスの大ヒットを、CMキャラクターに小泉今日子を起用したことを抜きに語るわけにはいかない。
小泉今日子は明るくキュートな容姿と飾り気のない言動が支持され、1980年代後半から1990年代前半にかけて、数多くのCMに起用された。
【代表CM】
味の素(クノール:弁当向上委員会)/JR東日本(もっともっと)/三菱電機(霧ヶ峰)
抜群の好感度を誇り、『小泉をCMで起用した商品は売れる』といわれ、雑誌の記事などでは「売上10%増」とも書かれることもしばしばあった。
当時、企業の広報・宣伝担当者や広告代理店の中には「神様仏様小泉様」という言葉まであったという。

小泉今日からこれをシャンプーといいます。
【歴代CM女王】CM起用社数ランキング ~女性タレント・90年代~
小泉今日子、資生堂スーパーマイルドCMヒストリー
なんと小泉今日子は、資生堂スーパーマイルド・シャンプー&リンスのCMに1988年~1998年の10年に渡って起用されていた。
年齢によって使うブランドが変化していくシャンプーにおいて、こんなことを実現できるのは性別年齢問わず「キョンキョン」の愛称で愛され続ける小泉今日子しかいまい。
男性人気が高かったキョンキョンのSUPER MILDテレホンカード
小泉今日子がデザインされた資生堂スーパーマイルドのテレホンカードは数多くのバリエーションが製造され、現在も中古市場で活発に売買されている。

小泉今日子テレホンカード(資生堂スーパーマイルド)

小泉今日子テレホンカード(資生堂スーパーマイルド)

小泉今日子テレホンカード(資生堂スーパーマイルド)
資生堂スーパーマイルドがヒットした理由。
このスーパーマイルドは『家族と同じではなく自分専用のシャンプーを選びたい』若者をターゲットにした戦略が当たってヒットしたと分析されることがある。
たしかに思春期になると母親が買ってくるようなシャンプーは避けて、若者向けのシャンプーを使いたくなるといった傾向はあった。
性別・年齢の壁を越えた『パッケージデザイン』と『小泉今日子』。
このスーパーマイルドはオジサン&オバサン臭くないパッケージデザイン。
香りも癖が無く、若者にとって使うのに抵抗感はない。
そして、小泉今日子のCM。
「まねしてもいいよ。」と語るキョンキョンに憧れる女子中学生からOLまで幅広い年齢の女性。
「さわってもいいよ。」と語るキョンキョンに胸焦がれる男子中学生からサラリーマンまで幅広い年齢の男性。
資生堂や広告代理店がどこまで意図的だったか不明だが、両性別・全年代のココロを見事に掴んだのだった。
このスーパーマイルドを買ってくれば旦那も娘も息子も文句を言わないので、これ一つで済んでお風呂場のスペースがだいぶスッキリしたという主婦も多かった。

シャンプー&リンスだらけになるお風呂場
つまり、『家族と同じではなく自分専用のシャンプーを選びたい』というニーズに対して発売した商品が、『家族と同じでも構わないシャンプー』として受け入れられたことが最大のヒット要因ではないかと勝手に推測している。
現在も販売が継続されている資生堂スーパーマイルド・シャンプー&リンス
小泉今日子以降のCMキャラクターは「仲間由紀恵」、「吹石一恵」&「明石家サンマ」、「広末凉子」、「松浦亜弥」など。
現在のコンセプトは「親子で使う家族のシャンプー」

資生堂SUPER MiLD スーパーマイルド
資生堂SUPER MiLD スーパーマイルド
時代に合わせてパッケージや成分を変えていきながら、30年近くも続くロングセラー商品に育った『スーパーマイルド』。
そして、その原動力となった小泉今日子はスーパーマイルドのCM卒業以降も資生堂CMに数多く起用されている。
「スーパーマイルド」というシンプルなネーミング。
洗練されたパッケージデザイン。
いつまでも自然体な美しさを誇る小泉今日子のCM起用。
この全てがピタッと噛み合って生まれた資生堂スーパーマイルドの大ヒットとロングセラー化。
日本におけるヘアケア業界、CM業界どちらにとっても歴史に残る傑作ではないかと思う。