WINGS

WINGS
ビートルズ解散後ポール・マッカートニーが妻のリンダ・マッカートニー、元ムーディー・ブルースのデニー・レインを中心に結成したロックバンドがウイングスです。
結成は1971年で、ポール、リンダ、デニー以外のメンバーをなかなか固定することが出来ませんでしたが、デニーが脱退する1981年までの約10年間活動しました。
今世紀最大のメロディメーカーと言っても過言にならないポール・マッカートニーが結成したバンドだけありその間に数多くの大ヒット曲を出しています。
その全盛期に発売されたライブ・アルバムが「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」です。
今聴いても全く古さを感じさせない名曲の数々。ウィングスの、そしてポール・マッカートニーの乗りに乗ったパフォーマンスを振り返ります。
Wings Over America
ウイングスは、1975年にワールド・ツアーの一環として、同年5月より「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」と名付けられたアメリカ・ツアーを行いました。
5月3日のテキサス・フォートワース公演から6月23日のロサンゼルス公演まで、26都市31公演を行い、大きな成功を収めています。
このツアーからベスト・テイクを編集したのが1976年発売のライブ・アルバム「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」です。
全28曲、当時のLPレコードで3枚組という大作であったにも関わらず、全米1位の大ヒットを記録しています。
尚、日本では当時「ウイングス U.S.A. ライヴ!!」の邦題で発売されていました。

ウイングス・オーヴァー・アメリカ
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アナログA面
「ヴィーナス・アンド・マース」、「ロック・ショー」、「ジェット」のメドレーから始まるという完ぺきなオープニング!
これから始まるロック・ショーの幕開けにふさわしく、期待に胸が躍ります。
アナログB面
B面の1曲目に入っている「恋することのもどかしさ」は、ポール・マッカートニーの1stアルバムに収録された曲ですが、このような演奏を聴くとポール・マッカートニーはライブの人なんだなとつくずく思います。
スタジオでの録音と違いアレンジも素晴らしいですね。
ところでこの曲は、「恋することのもどかしさ」と「ハートのささやき」というふたつの邦題が付けられていたことがありました。
B面ではビートルズ・ナンバーを楽しむことができます。当時の本作の売りはビートルズ・ナンバーが5曲入っているということろでした。
近年のポール・マッカートニーはビートルズ・ナンバーをライブでバンバン演っていますので少なく感じてしまいますが、当時は5曲でも大騒ぎでした。
「レディ・マドンナ 」、「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード 」、「夢の人」、「ブラックバード」、「イエスタデイ」が収録されているその5曲ですが、ビートルズ・ナンバーが聴けるということだけで奇跡のように感じたものです。
しかし、今となってはビートルズ以外のナンバーがたっぷり聴けることの方が貴重ですから、今でもこのアルバムの人気が高いのはそんなところにもあるのかもしれませんね。
アナログC面
C面は「ピカソの遺言」、「リチャード・コーリー「、」ブルーバード」と比較的ジミな曲が続いた後、再びビートルズ・ナンバーが3曲披露されます。
編集されているとはいえ、こうした曲順にもポール・マッカートニーの狡猾さがうかがえます。
アナログD面
ポール・マッカートニーには常に大ヒット曲に恵まれ高い評価を得ているという印象があります。実際そうなのでしょうが、ビートルズ解散直後は曲はヒットしていたものの、評価されていませんでした。そしてウィングスとしての最初のアルバム「ワイルド・ライフ 」に至ってはセールスも芳しいものではありませんでした。
ポール・マッカートニーのキャリアの上でもっとも厳しい時期といえるでしょう。その状況から脱することになった曲が世界中で大ヒットした「マイラブ」です。
この曲がヒットしたから今のポール・マッカートニーがあると言ってもいいでしょう。

マイ・ラヴ
「マイ・ラブ」はもうスタンダード曲ですね。風格があります。アメリカの大観衆の前でこの曲を歌えたことは感無量だったのではないでしょうか。そして大ヒット・アルバム「ヴィーナス・アンド・マース」に収録されている全米1位の軽快な曲「あの娘におせっかい」につながっていきます。

あの娘におせっかい
アナログE面

心のラヴ・ソング
この時点での最新アルバム「スピード・オブ・サウンド」からシングル・カットされ全米1位、全英2位の「心のラヴ・ソング」がE面の目玉だったと思われますが、今となっては「やすらぎの時」や「愛の証」といった曲が聴けることの方が嬉しかったりします。
アナログF面
そして最後は現在でもポール・マッカートニーの最重要ナンバーでありウィングスを代表する大名曲「バンド・オン・ザ・ラン」、そして「ハイ・ハイ・ハイ」で大団円のうちにこの壮大なロック・ショーは幕をとじます。
ライブ・アルバム「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」は、ウィングスの集大成であると同時に、名曲がライブでは更に輝きを増すということを証明したアルバムでもあります。