Janis Ian

ジャニス・イアン
ジャニス・イアンは、人種差別批判を歌った「ソサエティーズ・チャイルド」で1960年代後半にデビューします。当時まだ10代だったことで天才少女として大きな話題を呼びますが、それがプレッシャーとなり音楽活動が出来なくなってしまいます。 しかも、カメラマンと結婚したものの幸せは訪れず離婚も経験します。
若く繊細すぎたジャニス・イアンにとっては苛酷な状況ばかりだったようです。
しかし、70年代に入り勇気をもって一歩踏み出したことで真のアーティストとしての道を歩みだすことになります。
Stars
復帰第一作となる1974年発売のアルバム「ジャニスの私小説」です。
本作収録の「我が心のジェシー」をロバータ・フラックが、「スターズ」をフランソワーズ・アルディがそれぞれカバーしています。

ジャニスの私小説
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心の弧線に触れるようなメロディ、そして歌声。この曲を聴いて心を揺さぶられない人はいないでしょう。心を鷲掴みにされます。
Between the Lines
70年代のジャニス・イアンは日本、ヨーロッパで絶大な人気を誇っており、ヒット・アルバムとなると他にあるのですが、本国アメリカとなると代表作は1975年発売の「愛の回想録」と言えるでしょう。
アルバム「愛の回想録」は全米1位に輝き、自身の経験を歌ったとされているシングル「17歳の頃」は全米3位の大ヒットとなり、その年のグラミー賞・最優秀女性ヴォーカル賞を獲得しています。
触ると壊れてしまいそうな、とても繊細な感性が痛いほど感じ取れる作品となっています。

愛の回想録
悲しい歌というよりも、痛々しいといえる歌です。切々と歌うジャニス・イアン。誠実という言葉がとてもふさわしく思えます。
Aftertones
日本でのジャニス・イアンの人気を決定付けたのが1976年発売のアルバム「愛の余韻」とシングル「恋は盲目」でしょう。
シングル「恋は盲目」はドラマ「グッドバイ・ママ」に使われたこともあり、洋楽シングルチャートで8週連続1位となり、アルバム「愛の余韻」は洋楽アルバムチャートでなんと半年間も首位をキープしていました。

愛の余韻
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Miracle Row
1977年発売のアルバム「奇跡の街」には、TBSドラマ「岸辺のアルバム」の主題歌に使われヒットした「ウィル・ユー・ダンス」が収録されています。
一般に日本人にとってはこの曲がジャニス・イアンのイメージとなっているのではないかと思います。「ウィル・ユー・ダンス」のヒットを受けて、アルバムも日本だけで100万枚を超える大ヒットとなっています。

奇跡の街
ストリングスを配した前作までの暖かいサウンドを離れ、エレキギター、ベース、ドラム、キーボードのバンドアレンジで全曲を通し、とてもドライでタイトなサウンドになった。
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Janis Ian II
都会的でロック色が強かった前作「奇跡の街」に対して、1978年発売のアルバム「愛の翳り」はアコースティックでジャズよりの音になっています。
ダビングはされていないような印象で、まるでスタジオライブを聴いているような音作りがされています。

愛の翳り
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Night Rains
1979年発売のアルバム「ナイト・レイン」はかなりの意欲作です。何と言ってもディスコ・ミュージックのプロデューサー、コンポーザーとして名高いジョルジオ・モローダーの起用に驚かされます。ゲスト・ミュージシャンは多彩でアルバート・ハモンド、ブルース・スプリングスティーンのバックを務めるEストリート・バンドのサックス奏者クラレンス・クレモンズ、そしてジャズ界の大御所チック・コリアなどが参加しています。
意図的にイメージ・チェンジを図ったのでしょう、今までのNY的なものからヨーロッパ的なものへと、
文学少女が歌っていた自閉的なものから明るく開けた世界へと。新たなジャニス・イアンを感じることができるアルバムとなっています。
従来のファンは戸惑ったかもしれませんが、ジャニス・イアン本人が大好きなアルバムだそうです。

ナイト・レイン
悲しい恋の歌を歌う歌手として有名だった彼女が、 めでたく結婚した後にリリースされたアルバム。 とっても幸せいっぱいなムードが漂っていて、あまりジャニスらしくない。
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オリジナル・アルバムには収録されていない角川映画「復活の日」のテーマ曲「ユー・アー・ラヴ」ですが、現在では「ナイト・レイン」にボーナス・トラックとして収められています。
幸せそうに思えた結婚は長くは続かず、80年代はジャニス・イアンにとって辛い時代となりました。2度目の結婚も失敗し、金銭トラブルや病気などで音楽活動が出来なくなってしまいます。
本格的な活動再開は90年代に入ってからで、2003年には同性愛者であることをカミングアウトし、14年間付き合っていた女性と正式に結婚しています。
辛く悲しい出来事を美しい歌にしてきたジャニス・イアン。これからは幸せで楽しい歌をひとつでも多く歌えるといいですね。