1988年、ソウル五輪100メートル背泳ぎで金メダルを獲得
鈴木大地は「黄金の足を持つ」と言われた、バサロキックのパイオニアである。
鈴木大地21歳、ソウル五輪で金メダル確定の瞬間
1984年 ロサンゼルスオリンピック出場。
鈴木大地17歳の時に出場。
【男子200m背泳ぎ】
Bファイナルの順位決定戦でベストタイム(日本高校記録)を出し16位。
【男子100m背泳ぎ】
Bファイナルに進出し、日本新記録で11位。
【4×100mメドレーリレー】
日本は引継違反で失格。しかし鈴木は、当時アジア人では初めての57秒台というベスト記録を出した。
いずれの種目もメダルには遠かったが、17歳の時点で本物の勝負を味わった経験は、大きな財産となったと語っている。
腰痛で水泳を引退することも考えた。
鈴木大地(競泳) - オリンピアンズ・ストーリー - JOC
そして迎えたソウル五輪。秘策「バサロの延長」
鈴木大地は午前中の予選を3位で通過した。
タイムは55秒90で、世界記録54秒51でトップ通過したバーコフとは1秒39という絶望的な大差だった。
午後の決勝に向けて作戦を聞かれた鈴木大地は「秘密」と一言コメント。
その秘策こそが25メートルだったバサロスタートを30メートル(27回キック)以上に伸ばすことだった。
決勝の50メートルはバーコフ、大地、ポリャンスキーの順。
バーコフが失速して、残り5メートルで3人が横一線となった。
最後はタッチの差で大地が金メダルを獲得。タイムは自らの日本記録を0秒27更新する55秒05だった。
「優勝はまず難しいだろう。なんとかメダルを獲得してくれれば」という大方の予測・悲観的希望を覆し日本競泳陣16年ぶりの金メダルをもたらした。
もう一つの秘策は「最後のタッチ」
実は薄い板状のゴール板とセンサーは3本の操作線で結ばれており、トンと衝撃を与えない限り、ゴールと認定されない。
タッチの強さが明暗を分けることもありえる。
それを知っていた鈴木大地は骨折を覚悟で指先をゴール板に突き立てたのだった。
そして、2位となったバーコフとのは0.13秒差。
まさにタッチの差が明暗を分けた。
実は試合前から勝てると思っていた。
コーチとして二人三脚で金メダルを目指した鈴木陽二は、『バーコフが世界記録を出した時のビデオを見ていた時、大地がポツリ「オレ、こいつには負けませんよ」と言った。タイムでは圧倒的に負けている。でも、勝負になれば分からない。実際に「肌を合わせて」泳いだ人間にしか分からない感覚。「大地は大丈夫だ」と思ったね。』と語っている。
事実、メンタルの弱さを指摘されてきたバーコフに鈴木は前年のユニバーシアードを含めて、直接対決で負けたことはなかった。
決勝直前、バーコフの予選記録に危機を感じた鈴木陽二は「21回のバサロを25回にしないか。そうすれば(バサロの距離が)5メートルは伸びる」と作戦を提案した。
だが、鈴木大地は小さく首を振った。
「いや、27回で行きましょう。勝負するしかないでしょう」
バーコフはプレッシャーに弱い。水面に浮上した時、ぴったりと横にくっついていれば泳ぎが乱れるのではないか。ラスト25メートルまでついて行けば、きっとゴール寸前で逆転することができる。大地はそう読んだのであった。
そして、ソウル五輪決勝においても鈴木大地が27回のキックで30メートルへバサロを伸ばすと慌てたバーコフが失速したのだった。
泳いでいたら進化した?ダーウィンも驚く手の「水かき」
鈴木大地の水かき
メダル獲得に最も必要なのは「根性と努力」
鈴木大地(競泳) - オリンピアンズ・ストーリー - JOC
現役引退後の鈴木大地
鈴木大地 - Wikipedia
40代の若さで競技団体のトップに就任するのは、2006年に41歳で日本スケート連盟会長になった橋本聖子氏以来。
2015年10月1日、スポーツ庁初代長官に就任!
政府は2015年9月11日午前の閣議で、スポーツ庁の初代長官に、ソウル五輪水泳金メダリストで日本水泳連盟会長の鈴木大地氏(48)を充てる人事を決めた。
スポーツ庁は、これまで関係省庁にまたがってきたスポーツ行政を一本化し、文部科学省の外局として10月1日に発足する。
2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた準備や選手強化、スポーツ普及・振興など、スポーツ行政の「司令塔」の役割を担う。
初代長官について、下村博文文科相は、「スポーツに精通し、統治能力も備えた人材」が望ましいとし、民間からの人選を進めていた。日本サッカー協会最高顧問の川淵三郎氏(78)や柔道の五輪金メダリスト山下泰裕氏(58)の名前もこれまで挙がっていた。
決め手となったのは水連(日本水泳連盟)を立て直した手腕。
日本水泳連盟会長として選手強化のみならず普及や振興にも力を入れ、地方にも頻繁に足を運び、積極的にスポンサーを獲得。
就任時に年間1億5000万円の赤字だった業績が、2年間で1億5000万円の黒字に改善した。その手腕も評価された鈴木氏には「水連の統治は安定感がある」との自負もあった。
日本水連関係者は日本オリンピック委員会(JOC)会長としてスポーツ界に貢献した故・古橋広之進氏の名前を引き合いに出し、「スポンサーの関係者がみんな、大地と一緒の写真に写りたがる。こんなことは古橋さん以来なかったこと」と話す。
菅義偉官房長官は閣議後の記者会見で、鈴木大地氏について「スポーツ全般に関して、優れた高い実績と識見を有する。スポーツ行政の顔として大きく活躍するのを期待する」と語った。
記者会見をする鈴木大地
鈴木大地 スポーツ庁長官就任記者会見の一問一答
鈴木大地氏記者会見 「明るく、楽しく、元気よく…スポーツの力を国民に伝えたい」「若さアピール」 - 産経WEST