架空のプロ野球チーム、東京メッツを舞台にした『野球狂の詩』概要
『野球狂の詩』は、、1972年から1976年に『週刊少年マガジン』に掲載された、水島新司の野球漫画を原作にしたアニメです。アニメは1977年末に単発のスペシャル番組として、水原勇気の入団騒動を描いた第1話がフジテレビ系列で放送され、それが人気となって全25話の物語がアニメ化されました。
『野球狂の詩』あらすじ紹介

野球狂の詩
東京メッツはずっと負け続け。それも大差で負けており、ピッチャーの岩田鉄五郎は投げても投げても打たれるだけで、プロ野球界の万年セリーグ最下位球団なのです。怒ったオーナーは今すぐ若手のスタープレーヤーを探せないと駄目だと、スカウトになんとかしろと命じます。
スカウトの日、東京メッツは第一位指名選手に「投手・水原勇気」を指名します。しかし、オーナーも知らない選手。現役投手であり、五利監督と対等の選手兼任助監督かヘッドコーチのような役割を持つ岩田鉄五郎が決めていたのです。全く無名の選手だったことで、スポーツ新聞の記者が水原勇気が在籍しているという小金井の武蔵野高校に出向きます。そこで水原勇気を探すのですが、なんと驚くことに水原勇気は女の子だったのでした。
岩田鉄五郎は、水原勇気の投球を一目見て、自分の後継者になれる人物だと思ったのです。しかし、水原勇気は獣医になり、アフリカに渡る夢があったのです。野球をしていたのは体力をつけるためで、プロ野球をするつもりはなかったのです。しかし、岩田鉄五郎は諦めるつもりは到底ありません。
メッツはメッツでオーナーは怒っています。女性投手など問題外だからです。岩田鉄五郎はオーナーと喧嘩しながら水原勇気を入れようと奮闘します。そして同じくメッツに2位指名された捕手、帯刀守も女性投手であることが引っかかっており、自分が女性より下に指名されたことを不満に思っていました。しかし、水原勇気が20年に一度の逸材ということが、岩田が渡した水原のフォーム写真で帯刀にもわかったのです。そして岩田のしつこい説得に水原勇気も頷き、大勢の観客の前でプロ野球初の女性選手として、ボールを投げるのでした───!
『野球狂の詩』主な登場人物
★ 東京メッツ:岩田鉄五郎

岩田鉄五郎
岩田鉄五郎はメッツの投手です。左投げ左打ち。50歳過ぎても投げており、どうしても自分の後釜になれる投手が見つからずに投げています。しかし、水原勇気の投球を見た瞬間、彼女の20年に一度の逸材と思い、プロ野球協定も考えずにスカウトするのです。最初は勇気が承知しないため、彼女の家の前に風の日も雪の日も現れてつきまとい、そして説得します。
声を務めるのは西村晃→北山年夫→納谷悟朗の3名です。私にとって、納谷悟朗は永遠のとっつぁんです。鉄五郎役は3人も変わっていますが、やはり納谷悟朗さんの代表作な気がします。
★ 東京メッツ:水原勇気

水原勇気
水原勇気はメッツの投手です。1975年ドラフト1位(アニメでは1977年ドラフト1位)、女性初のプロ野球選手。背番号1。左のアンダースロー。最初は岩田鉄五郎のスカウトに応じず獣医を目指していましたが、岩田鉄五郎の説得に考え直し、大学受験の日に大観衆の前で投球を披露することに決めたのです。ドリームボールを完成するためにボーリングをしたりと彼女の苦難はここから始まったのです。
声を務めるのは、木之内みどり(1話目のみ)、2話目から信沢三恵子。木之内みどりは実写主演映画でも水原勇気を演じました。『刑事犬カール』が懐かしい女優さんですね!信沢三恵子は、『天空の城ラピュタ』のシータです!
★ 東京メッツ:五利一平

五利一平
五利一平はメッツの監督です。岩田鉄五郎とは旧知の中。現役時代は捕手でした。強気な鉄五郎をいつもハラハラしながら見守っています。捕手らしく、鉄五郎を支える存在です。
声を務めるのは、雨森雅司。アニメ『天才バカボン』・『元祖天才バカボン』でのバカボンのパパ役です。やっぱり初代のバカボンのパパといえば、忘れられない人ですね。
★ 東京メッツ:火浦健

火浦健
火浦健はメッツの不動のエースです。右投右打。背番号14。北海道出身、人呼んで「北の狼」。タイガースの王島大介は生き別れの双子の弟。実母・加代がつけた名は「一郎」。服役2年を経て、テストでメッツに入団しました。74年20勝を挙げ最多勝利と新人王獲得しメッツの優勝に貢献します。
声を務めるのは、曽我部和恭。『超電磁マシーン ボルテスV』の峰一平、『パタリロ!』のジャック・バルバロッサ・バンコラン、『J9シリーズ』のかみそりアイザック、諸刃のシュテッケン、I・C・ブルース、『聖闘士星矢』の双子座のサガ・双子座(海龍)のカノン、『美少女戦士セーラームーン』のクンツァイトなど、美形キャラが多いです。まだ58歳という若さで亡くなられたのが残念です。大好きな声優さんでした!
★ 東京メッツ:帯刀守

帯刀守
帯刀守は水原勇気と同年にメッツに入団しました。ノンプロの音羽建設から入団した強肩強打の捕手です。高校生の女の子の水原が自分をドラフト1位に指名されたことを不満に感じ一時は入団を保留したりしますが、岩田鉄五郎がよこした水原の投球ホームの写真を見て、さらに再度球を受けてみてその理由を納得、入団を決意するのです。
声を務めるのは、仲村秀生。1974年に始まった『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの島大介役が有名ですね!懐かしい!あとはやはり『あしたのジョー』の力石徹ですね。
★ 東京メッツ:国立玉一郎

国立玉一郎
国立玉一郎は「スラッガー藤娘」と呼ばれる強打名守の三塁手で、メッツの主砲です。歌舞伎の名門国立屋の七代目、女形役者です。球界入りを反対した父親と鉄五郎との約束で「初打席が三振なら即引退」とされたが、初打席は国立の大ファンである阪神・大文字から逆転サヨナラ本塁打を撃つのです。
声を務めるのは、富山敬。『タイガーマスク』で主人公・伊達直人、『宇宙戦艦ヤマト』の古代進や、劇場アニメ『銀河鉄道999』及び『わが青春のアルカディア』の大山トチローなど、松本零士作品に数多く出演。『ちびまる子ちゃん』で、主人公のまる子の祖父・さくら友蔵の声を担当していました。まだまだ活躍されてほしかった声優さんです。
★ 東京メッツ:日の本盛

日の本盛
日の本盛は、メッツの投手で、右投右打、背番号17。野球よりも酒が好きです。二日酔い状態のほうがピッチングの調子が良いです。グラウンドで吐き気をもよおしながら投げることもたびたびです。
声を務めるのは、山田康雄です。『ルパン三世』と、クリント・イーストウッドは、山田康雄と三位一体だと思います。他では『アンデルセン物語』のズッコや『ビアンカの大冒険』のバーナードが忘れられません。
★ 東京メッツ:富樫平八郎

富樫平八郎
声を務めるのは、玄田哲章です。アーノルド・シュワルツェネッガー、ローレンス・フィッシュバーン、サミュエル・L・ジャクソン、ダン・エイクロイド、ジョン・グッドマン、ジェラール・ドパルデューの吹き替えを担当しています。アニメでは、クレヨンしんちゃん(アクション仮面 / 郷剛太郎)、クッキングパパ(荒岩一味)など加着しています。
★ 東京メッツ:岩田清志

岩田清志
★ 東京メッツ:千藤光
岩田清志は投手です。右投右打。背番号21。火浦健の入団までは、メッツ投手陣の屋台骨を支える大エースでした。現役時代は鉄五郎に引退を勧告するなどして対立しあっていました。岩田家の婿養子になっています。
声を務めているのは、鈴置洋孝です。『機動戦士ガンダム』のブライト・ノア役、『ドラゴンボール』の天津飯役などが代表作です。鈴置洋孝も50代で亡くなっており、本当に残念ですね。

千藤光
千藤光は投手です。そして、強打と俊足を持っている選手でもあります。高校時代にノーヒットノーラン2回、甲子園決勝戦を完全試合で栃木県代表・江川一高を優勝に導き、1972年メッツにドラフト1位で入団したのです。
声を務めているのは、安原義人と三橋洋一です。安原義人は特にミッキー・ロークをはじめ、ケヴィン・ベーコンやゲイリー・オールドマン、ビル・マーレイ、メル・ギブソンロビン・ウィリアムズ、リチャード・ギアなどの吹き替えを担当することが多いです。三橋洋一(橋本晃一)も様々な媒体で声を担当しています。
★ 武藤 兵吉 メッツからカープへ

武藤 兵吉
武藤兵吉は、軍曹のあだ名を持つ一軍半の捕手です。打撃が悪く、なかなか1軍レギュラーに定着しません。結婚して息子が一人います。水原勇気のことを気に入らなかったですが、ある朝、勇気が投げるボールの夢を見て、ドリームボールの完成を夢見ます。勇気のドリームボールの完成を信じた最初の人物です。しかし、カープの選手とトレードされるのでした。
声を務めたのは、今西正男です。色々な脇役をしていますが、アニメで印象深いのは『銀河鉄道999』のアンタレス役でしょう。泣かせられた男気のある役でしたね。
★ 阪神の一塁手:王島大介

王島大介
王島大介は阪神の一塁手です。人呼んで「南の虎」。火浦健の双子の弟で、本来の名前は「二郎」です。北海道で生まれたが実母の家が火事となり、その後捨てられたがたまたま現地に来ていた両親に拾われて、九州・熊本で育つことになるのでした。血液型が両親と違うことを知っており、それでも何も言わず王島夫妻を実の親として接して生きています。
声を務めているのは、作間 功。様々な役で、アニメや映画で活躍しています。
号泣必至の感動作! 劇場版アニメ『北の狼 南の虎』
火浦健と生き別れの弟、王島大介の物語は『野球狂の詩』の中でも秀逸です。アニメでは13、14話の前後編で作られており、それを再編集して劇場版として公開されました。政と健の親子愛、健と大介の兄弟の物語、今見返してみても人情のある作品でした。やくざ映画を観ているような気もしましたが、余計に切なくさせられました。
なんとこの劇場版は『未来少年コナン』の劇場版の併映作品として公開されていたのです。まだ映画館が大人1000円もかからない時代で、2本上映もあった懐かしい時代ですね!
水木一郎が歌う主題歌がまた泣かせる! こんな名曲、今のアニソンにはないかもしれない!

北の狼南の虎
水木一郎の歌う「北の狼南の虎」も名曲です。TVなどで出演した際は、他のアニソンを歌うことが多いのですが、この曲は水木一郎が歌ったアニソンの中でも隠れた名曲だと思います。もっともっと今の若い人たちにも聴かせたい、聴いていただきたい歌です。この曲を聴いただけで私は涙が出てきます。
OPも素晴らしいですが、EDもまた素晴らしいです。なんとも温かみのあるEDも、作品の世界観が見事に溢れています。こちらもぜひ聴いていただきたいです。「北の狼南の虎」と「かあさんの灯」の作曲は中村泰士です。中村泰士の作曲したちあきなおみの「喝采」も名曲でしたね。
TV版アニメ主題歌も素晴らしい!
TVアニメの主題歌の堀江美都子の歌も素敵です。メロディも感動的でした。水木一郎が歌った歌も実に味わい深い。こおろぎ'73のバックコーラスも良いですよね。こおろぎ'73は。1979年版『サイボーグ009』の「いつの日か」も名曲ですね。
木ノ内みどり主演で実写映画化!
『野球狂の詩』は実写映画化にもなっていたのです。主演は木ノ内みどり。『刑事犬カール』が忘れられない人も多いのでは?可愛かったですし、カールも可愛かったですね。野村克也も選手として本人が出演していたりと、豪華!
斉藤由貴主演でドラマ化も!!
1985年1月にドラマ化もされています。主演は斉藤由貴。ちょうど19歳という時代のことで、デビュー間もない頃のようです。岩田鉄五郎役に伊東四朗というのも時代を感じさせます。ちょっと観てみたいですよね!
その後の東京メッツが漫画で復活!
その後の物語が漫画では描かれています。これを知らなかった方も多いのでは?『新・野球狂の詩』において化粧品会社に譲渡され、札幌華生堂メッツとなっています。メッツのメンバーも変わっていますし、それぞれの人生を歩んでいるようです。これもまたアニメになったら面白いですよね。
まとめ
アニメでは他に、 肝付兼太、 たてかべ和也、古谷徹など豪華メンバーがさりげなく出演していて、今観てもとても胸が熱くなります。劇場版となった『北の狼南の虎』も素晴らしいです。機会見つけられて、ご覧いただけたらと思います。