ドロップキック
ホークも得意とする技だが、アニマルもここぞという時にドロップキックを放つ。助走なしで炸裂する時もあるから相手レスラーは交わせない。
跳躍力といいタイミングといい、アニマルは抜群の運動神経の持ち主だ。
1986年11月、七尾市民体育館で行われたアニマル・ウォリアーの2対1の変則タッグマッチ。
アニマル浜口と仲野信市がアニマルと対戦したが、この試合でアニマルは得意技のオンパレード。
ドロップキック、リフトアップ、顔面に容赦のないニーパット、そしてフライングショルダータックル。
さらには二人を相手にWラリアットで放送席を絶句させ、必殺パワースラム!
僅か90秒の間にこれだけの大技を披露するとは、何というサービス精神。
プロレスラーは、試合前、だいたいこういう戦い方をしようと頭に入れておくが、相手の動きもあるし、観客の反応を見てアドリブでファイト内容を変えることもある。
とにかくアニマルはパフォーマンスの天才でもある。
アメリカマット界で成功を収めたレスラーは、とにかく観客を盛り上げる急所を熟知している。
シュミット式バックブリーカー
アニマル・ウォリアーが特にアメリカの試合で見せたのが、シュミット式バックブリーカー。
しかし普通のバックブリーカーではなく、アニマルは相手レスラーを抱え上げたまま連続3回シュミット式バックブリーカーを炸裂させる。
日本ではAWA世界タッグ選手権で、長州力をシュミット式バックブリーカーからバックフリップで後方にぶん投げた。
とにかく怪力レスラーならではの荒業だ。
アニマルの必殺技を6個紹介したが、ほかにも強烈な技がいくつもある。
ボディスラムで叩きつけてからジャンピングエルボードロップ!
何しろあの豪腕だから、スリーパーホールドもキャメルクラッチもベアハッグも、やられたほうはたまったものではない。
胸板への逆水平チョップも痛烈だし、一発一発が重い。
あとは殴る蹴るの暴行を加える喧嘩殺法と、倒れた相手に容赦のないストンピングの嵐で踏みつける!踏みつける!踏みつける!
鬼気迫るド迫力に相手レスラーも怯む。
ともあれ、ロード・ウォリアーズの試合は、ずっと会場が湧きっ放しだった。
80年代のプロレス黄金期のなかでも、鮮烈な印象を残した名レスラーだ。
アニマルの強さの秘密
アニマル・ウォリアーの強さの秘密は何か。
ジムで限界まで挑む猛トレーニングや、強気の性格など、いろいろな要因が挙げられるが、何といってもアニマルの研究熱心さこそ、短期間で成功を収めた秘訣だと思う。
普通の人間なら、プロレスに限らず、ミュージシャンでも俳優でも、僅か3年でスーパースターになってしまったら、天狗になる。
ところがアニマルは、家族もいたこともあるが、想像以上に健全で、賢明だ。
ロード・ウォリアーズの技の改良からイメージに至るまで、常に研究し、向上心旺盛に鮮度を保った。
ワンパターンでは飽きられる。
ロード・ウォリアーズはヒールとして売り出したが、人気が凄過ぎて、どこの会場へ行っても大歓声。
ヒールにとってはブーイングこそ賞賛なのだが、これは嬉しい誤算だ。
ロード・ウォリアーズが全日本プロレスの世界最強タッグ決定リーグ戦や、チャンピオンカーニバルに出場することを待望していたファンは多い。
しかしロード・ウォリアーズの主戦場は、あくまでもアメリカだった。
今思うと、毎シリーズ参加するよりも、年に何回かの特別参加だからこそ新鮮だったのかもしれない。
アニマルが考えたアイデアはことごとく成功した。だから主催者のアイデアが的外れな場合、アニマルは「NO!」と言った。
アニマルは、ファンが求めているものがわかっていたのだと思う。
アニマルの探究心と創意工夫の努力がよくわかるのが、アニマル・ウォリアー著『ロード・ウォリアーズ破滅と絶頂』だ。
ただこのエッセイをオススメできるのは、相当なプロレスファン。
なぜかと言うと、プロレスの裏側を書いているので、プロレスの裏も表も知り尽くしているベテランファンなら感銘して読めるが、新しい平成プロレスファンはショックを受けてしまうかもしれない。
一言フォローするとしたら、プロレスはビジネス。試合の勝ち負けよりも、観客を大満足させることが至上命題なのだ。
そのためにはどうすればいいか。アニマル・ウォリアーは、とことん考え、追求していった超一流のプロレスラーだ。
最強タッグと言うと、ブルーザー・ブロディ、スタン・ハンセンのミラクルパワーコンビとは一度も対戦したことがないので、異論を挟むファンもいると思う。
でも、史上最高のタッグチームは、間違いなくロード・ウォリアーズだろう。
ロード・ウォリアーズ 破滅と絶頂
アニマル・ウォリアーVS輪島大士
もっとアニマル・ウォリアーの試合を満喫したいので、面白い試合を厳選して送りたい。
1987年6月。大阪府立体育館で、アニマル・ウォリアーの貴重なシングルマッチ。
対するは打倒ロード・ウォリアーズに燃える輪島大士。
元横綱の輪島は、大相撲で幕内最高優勝は14回。この記録は何と史上ベスト7位の大記録なのだ。
しかしプロレスではアニマル・ウォリアーが一枚も二枚も上手。
輪島の黄金の左腕。ゴールデンアームボンバーはアニマルの鋼鉄の肉体に通用するのか!
ロード・ウォリアーズVS長州力、谷津嘉章
背景としては、革命戦士・長州力は、ジャンボ鶴田とのシングルマッチ、すなわち頂上決戦を前に、ロード・ウォリアーズを倒しておきたいところ。
果たして長州力の技はロード・ウォリアーズに通用するのか。
秒殺試合も痛快だが、やはり長州力、谷津嘉章のような強豪相手のほうが、ロード・ウォリアーズの強さを発揮できる。
アニマルはバイオレンスラリアット、ジャンピングエルボードロップ、後頭部へのラリアット。
そしてアームロックのような細かい技も披露。
長州、谷津のWドロップキックに対して放送席のジャイアント馬場が「当たってない」と一言。
この一言がプロレスのリアリティーを生む。まさに名解説。