1983年に大ヒットした名曲『初恋』村下孝蔵
『初恋』は村下孝蔵のデビュー4年目、1983年2月25日にCBSソニーより発売した5枚目のシングルA面の曲。
発売後じわじわと知名度を広がっていき、梅雨時の6月頃には有線放送やラジオのヒットチャート上位に入り、レコード売り上げも急上昇していった。
村下の元マネージャー嶋田富士彦によると、村下の楽曲は特に有線で強く支持され、地方では演歌に似たチャート変動を示したという。
オリコンチャートで最高3位、52.6万枚を売り上げ、村下にとって最大のヒット曲となった。
村下孝蔵『初恋』の初期ジャケットビジュアル
「初恋」のジャケットは当初村下の横顔の顔写真であった。
途中から現在アルバムの『初恋〜浅き夢みし〜』にも使用されている村上保の切り紙絵に変わっている。
変更後の村下孝蔵『初恋』ジャケットビジュアル
甘酸っぱい「初恋」のイメージとマッチした村下孝蔵の透き通る歌声
当初『初恋』は村下がスローテンポのバラードとして作ったものだった。
だが編曲家の水谷公生が「ありきたりのフォークにしたくない」とテンポを上げてポップ系に編曲し、村下がそれを受け入れたことで完成をみた楽曲であった。
水谷はかねてからプロデューサーの須藤晃に「もうフォークにこだわらなくてもいいんじゃないか」と進言していたという。
そのアレンジを受け入れた村下を水谷は「でっかい人だった。人にゆだねる強さがあった」と評している。
ギターの柔らかいポップな音色に乗った切ないのフォーク調の歌は、普段あまりレコードを買わない中高年にも支持された。
村下孝蔵の実体験に基づいた『初恋』の歌詞
世の少年少女が乱れていき、人と人との繋がりが薄れていく流れを感じたプロデューサーの須藤は『初恋をタイトルした聴いた人が切なくなるような曲を作ろう』と村下に提案した。
村下は熊本水俣市で過ごした中学時代、テニス部の女の子を好きになった。
放課後の校庭をラケットを握りながら、走り回る可憐な少女。
それを校舎の窓から見る少年時代の村下。
そして、「好きだよ」のひと言が言えないまま、彼女は転校してしまった。
引っ越して行く当日、駅に出向いて見送るつもりだったが、彼女の友達がたくさん見送りに来ていたので、近寄って「さよなら」を言うことができずに遠くからずっと眺めていた。
こうして少年・村下孝蔵の初恋は終わった。
だが、彼女の面影がいつまでたっても忘れられなかった…。
そんな思い出を歌に込めたのが『初恋』であった。
初恋の人とテレビ番組で再会
村下の初恋の相手だった桜井靖子さん(旧姓:高尾)が音楽番組で『初恋』を披露した際にドッキリ出演。
歌唱中に突然現れた桜井さんに村下はビックリ。
歌い終えた後も動揺していた。
同年同時期に『初恋』を三田寛子がカバー
村下孝蔵が『初恋』をリリースした2か月後に三田寛子がカバーをリリース。
時期をほとんど置かずカバーする珍しいケースであった。
三田寛子の「初恋」は、田尾安志(当時中日ドラゴンズ)と共演した花王トニックシャンプーのCMタイアップ。CMでは田尾とのデュエットバージョンが使われていた。
オリコン最高56位、売り上げ5.7万枚
今も愛され続ける名曲『初恋』
村下孝蔵は、1999年6月24日「高血圧性脳内出血」により死去。46歳没。
だが、彼の残した『初恋』は時代を経ても色あせることなく人々の心を魅了しており、中澤裕子(2002年)、Acid Black Cherry(2007年)、佐藤竹善(2007年)、島谷ひとみ(2007年)、加藤いづみ(2008年)、杏里(2008年)、玉置浩二(2014年)、May J.(2016年)など多くのアーティストによって長い間歌われ続けている。
村下孝蔵の故郷、熊本県水俣市には歌碑と『初恋通り』が。
村下の死去から14年を経た2013年、故郷である熊本県水俣市の商店街『ふれあい一番街』に「初恋」の歌碑が建立され、商店街ストリートの名称も『初恋通り』と改名された。
初恋の歌碑
初恋通り
水俣市では『好きだよって言おう 初恋のまち みなまた』というテーマのもと,「初恋通り 少女像」や「初恋のまち みなまたのイメージCM」の作成、「みなまた 初恋フォトコンテスト」などのイメージ展開を進めている。
どんなに時代が変わっても、変わって欲しくないものがある
「飾らない、変わらない、僕の人生、僕の歌」が座右の銘であった村下孝蔵は、「どんなに時代が変わっても、変わって欲しくないものがある」とよく語っていた。
誰もが大人になる前に通り過ぎていく初恋の切なく甘酸っぱい記憶。
忘れてはいけない大事なものを気付かせてくれる名曲『初恋』は彼の思いの通り、今も愛され続けている。
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