「なかよし」読者の小学生に「ゴーストライター」という言葉を教えてくれたのは『62日の砂時計』でした

「なかよし」読者の小学生に「ゴーストライター」という言葉を教えてくれたのは『62日の砂時計』でした

夏休みがあけての新学期、9月1日は憧れの文芸部部長が引退する日とあって、新学期の朝から憂鬱な里美。そこへ風変わりな転入生がやってきて・・・。タイムスリップという要素を含んだSF的なミステリーマンガです。SNSでいまだ取り上げられている、世代を超え語り継がれている曽根原澄子先生の代表作です。


62日の砂時計とは?

連載当時のなかよし

りぼん、ちゃお、と並ぶ3大人気月刊誌。
毎月の付録や応募者全員プレゼントに女子は心を躍らせていました。

最初の9月1日から11月1日までのあらすじ

主人公の里美は文芸部の中学生。新学期初日の9月1日は、憧れの部長、神津先輩が引退する日。ため息をつきながら登校します。そこへ里美のクラスに転校生、剛がやってきました。初対面なのに、なにやら里美のことを前から知っていたような口ぶりで、馴れ馴れしく話しかけてくる剛。部活に行こうとすると、俺も入部する!と、なかば強引に文芸部に入部してしまいます。剛の態度や言動の悪さから、2学期一杯は部に残るという先輩の言葉に、理由はどうあれ素直に喜ぶ里美。

ある日、先輩が投稿している同人誌「猫のゆりかご」で、毎回特選をとる「砂川一人」が剛だとわかります。先輩は、「あいつは作品だけでなく、恋敵。君が好きだ」と告白。「返事は11月1日まで待つ」と。
その日は里美の誕生日と、「猫のゆりかご」の入選発表の日。

11月1日、先輩からの告白の返事をしようと(もちろんオッケー♡)約束の場所で、待つ里美にまとわりつく剛。タイミング悪く先輩が来てしまい誤解されてしまう。怒った里美は剛を平手打ちし、剛は誕生日プレゼントの砂時計のキーホルダーを投げ渡し、自転車で走り出したところで里美の目の前でトラックにはねられ死んでしまいます・・・。

登場人物

11月1日が誕生日。おとなしい性格で、神津先輩への気持ちも告白できず見てるだけ。
文芸部の作品集には童話を執筆。

里美

けん

9月1日2学期初日に里美のクラスに転入してきた。実は花子のいとこで、父親は神津先輩の父親のゴーストライター。剛自身も「砂川一人」のペンネームで同人誌「猫のゆりかご」に執筆。特選をとるなど才能がある。

剛(ごう)

けん

里美が憧れる文芸部の部長。父親は作家の日向翔。自身も「猫のゆりかご」に投稿し、佳作入選するなど、才能はある。剛がライバルの「砂川一人」だと知ると里美が好きだと言うが・・・。

神津先輩

けん

里美の同級生。2人とも文芸部員。

花子と雪枝

けん

剛が里美の誕生日に渡した砂時計。

砂時計のキーホルダー

けん

2回目の9月1日から11月1日

剛が目の前でトラックにはねられ死んだ。気づくと里美は自分の部屋のベットで目を覚まします。母親が夏服を出してきたので変に思う里美。クラスに入ると転入生が。それは死んだはずの剛でした。「今日は一体何月何日なの?!これは夢なの?」しかしカバンには剛からもらった砂時計が流れを止めてついていました。里美はもう一度9月1日に時間が逆戻りしたのだと悟ります。2ヶ月経てばあの11月1日にもどれるのか?そんな里美に、「起こることはちゃんと起こる」という剛。また自分は11月1日に死ぬと。

そんな中、里美が預かった剛の原稿を神津先輩が盗み、同人誌に送ってしまいます。盗作したことを知った里美は先輩と決別します。自分を責める里美を剛は「結局、俺は神津のゴーストライターになったわけだ。でも、精一杯書いたんだ。」と優しく許します。心配する里美は「11月1日は1日中家から出ないで」と提案。そして二度目の、運命の11月1日・・・。

ラストシーン

砂時計を落とした里美を追いかけ家を出てしまう剛。
それに気づき慌てて駆け寄る里美の前にトラックが。里美をかばう剛。
流れ始めた砂時計。剛は生きていました。

関連する投稿


なかよしっ子に朗報!『「なかよし」あの頃の作品とふろくが大集合』がマンガアプリPalcyで開催!!

なかよしっ子に朗報!『「なかよし」あの頃の作品とふろくが大集合』がマンガアプリPalcyで開催!!

少女・女性マンガアプリPalcy(パルシィ)にて、夏休みのマンガ時間を盛り上げる『カワイイは永遠!「なかよし」あの頃の作品とふろくが大集合』が現在開催中となっています。期間は8月31日まで。


実写化された懐かしの少女漫画まとめ<講談社編>

実写化された懐かしの少女漫画まとめ<講談社編>

テレビ、映画などに実写化された懐かしの少女漫画をまとめていきます。今回は「なかよし」「フレンド」など講談社の少女誌に連載されていた漫画の特集です!


今も記憶に残る「なかよし」の漫画!「ふたご座恋愛事件」

今も記憶に残る「なかよし」の漫画!「ふたご座恋愛事件」

1980年代、「なかよし」で大活躍した、さこう栄さんの少女漫画で印象に残っている作品といえば、「ふたご座恋愛事件」。 とってもかわいい双子の真奈美と由香利が、高校1年の若さでありながら将来の婿探しに奮闘する…という設定に釘づけになったものでした。 今回はそんな「ふたご座恋愛事件」について、詳しくチェックしていきます!


日本神話をモチーフにした異世界ロマンス!セイントテール作者・立川恵の「夢幻伝説タカマガハラ」って覚えてる?!

日本神話をモチーフにした異世界ロマンス!セイントテール作者・立川恵の「夢幻伝説タカマガハラ」って覚えてる?!

「なかよし」にて連載されていたセイントテール終了後、立川恵先生の次回作としてスタートした「夢幻伝説タカマガハラ」。日本神話をモチーフにした世界観や魅力的なキャラクターが当時の読者の心を掴んでいました。切ない恋心とともに進む異世界冒険譚の、あらすじやキャラクターをまとめます。


ああ、懐かしの応募者全員サービス!全プレにまつわる思い出ありますか?

ああ、懐かしの応募者全員サービス!全プレにまつわる思い出ありますか?

少女漫画雑誌にあった「応募者全員サービス」略して「全プレ」。大盤振る舞いのプレゼントだと思ってわくわくして母親にねだった無垢な小学生時代。みなさん、全プレにどんな思い出がありますか?


最新の投稿


「パックマン」「ゼビウス」などナムコット名作がブランケットに!ファミコン外箱を再現した「クラシックゲームブランケット」登場

「パックマン」「ゼビウス」などナムコット名作がブランケットに!ファミコン外箱を再現した「クラシックゲームブランケット」登場

株式会社KADOKAWA Game Linkageは、ナムコットブランドのファミコンソフト『パックマン』、『ゼビウス』、『ドルアーガの塔』の外箱をモチーフにした「クラシックゲームブランケット」3タイトルを2026年2月16日に発売します。両面印刷で外箱の表裏デザインを忠実に再現し、A5サイズ16ページの冊子も同梱。現在、予約受付中です。


病院も映画館も煙モクモク!?自由すぎる昭和の常識を徹底図解

病院も映画館も煙モクモク!?自由すぎる昭和の常識を徹底図解

日本文芸社は、「昭和100年」の節目に、書籍『眠れなくなるほど面白い 図解 昭和の話』を11月27日に発売しました。庶民文化研究家・町田忍氏監修のもと、「病院でもタバコOK」「消費税なし」「過激すぎるTV」など、令和の感覚ではありえない“自由すぎた昭和の本当の姿”を、図解と豊富な資料写真で紹介。世代を超えたコミュニケーションツールとしても楽しめる一冊です。


ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎祭!仲村トオルも清水に降臨

ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎祭!仲村トオルも清水に降臨

映画『ビー・バップ・ハイスクール』公開40周年記念イベント「清水 ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎祭」が、聖地・清水駅前銀座商店街で12/13・14に開催決定!初日は仲村トオルさん登壇のセレモニーを実施。学ラン・セーラー服でのコスプレOKエリアや、名シーンの聖地巡礼ツアー、映画全6作の上映会など、アツすぎる内容で、あの頃の青春がブッ返る!


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。