【琴錦】大相撲史上唯一となる2度の平幕優勝を成し遂げたスピードスター

【琴錦】大相撲史上唯一となる2度の平幕優勝を成し遂げたスピードスター

スピード感と躍動感溢れる取り口でF1相撲の異名をとった琴錦。大相撲史上初2度の平幕優勝を成し遂げた華々しい経歴や、スキャンダルや怪我によって大関に昇進できなかった挫折。そして引退後について紹介。


F1相撲の異名をとった史上最強の関脇、琴錦

本名:松澤 英行
1968年6月8日生まれ
群馬県群馬郡箕郷町(現・高崎市)出身
身長:177cm、体重:144kg
愛称:角界のマイク・タイソン
所属部屋:佐渡ヶ嶽部屋
得意技:突き、押し、右四つ、寄り、もろ差し、掬い投げ
最高位:東関脇
生涯戦歴:663勝557敗58休(100場所)
幕内戦歴:506勝441敗43休(66場所)
優勝:幕内最高優勝2回
殊勲賞7回、敢闘賞3回、技能賞8回

琴錦 功宗(ことにしき かつひろ)

『琴錦』入門までの経歴。

中学時代は柔道部に所属し活躍していたが、相撲大会にも借り出され全国大会にも出場した。
その実績によりロサンゼルス五輪金メダリストで国民栄誉賞受賞者の山下泰裕からもスカウトの声が掛かり当初は高校進学が決まりかかっていた。

しかし、佐渡ヶ嶽親方(先代(12代)、元横綱・琴櫻)の再三に渡る勧誘により入門を決意。
決め手となった殺し文句は「相撲に来れば強い奴とたくさん戦えるぞ。柔道じゃ稼げねえから相撲で稼げよ。」であり、このセリフをきっかけに大相撲へ進むことを決意したという。

同期生には湊富士、大至、旭豪山らがいる。
琴松沢の四股名で初土俵。
入門当初から期待され、初土俵から2年ほどで幕下に昇進した。

入門当時の琴錦(左)

二代目、琴錦を襲名

西幕下5枚目で迎えた1987年(昭和62年)9月場所には11代(先々代)佐渡ヶ嶽親方(元小結・琴錦)の四股名でもある『琴錦』と改名した。このとき鏡山部屋の序ノ口力士に同音の虎勝錦がおり、本来は改名できないはずであったが、佐渡ヶ嶽親方より鏡山親方に懇請し格違いで譲ってもらい、改名を果たした。

実は『琴錦』の四股名は入門する直前に友達と考えて出来た四股名とまったく同一であり、11代佐渡ヶ嶽親方と相撲の型が似ていたこともあって11代親方夫人の許しを得たものであった。
しかし、当の本人は11代親方の現役時代の四股名が琴錦だったということは全く知らず入門後に聞いて驚いていたという。

琴錦 登(ことにしき のぼる)
本名:藤村登
最高位:小結
右差しの速攻を得意とし、しばしば大物食いを見せた。
引退後は佐渡ヶ嶽部屋を興し、琴ヶ濱、琴桜、長谷川を育てた。
また、相撲解説者としても活躍した。

初代、琴錦

『F1相撲』と呼ばれる速攻の突き・押しで順調に昇進を重ねる

元々はまわしを取って組み合う四つ相撲であったが部屋付きの親方のアドバイスで突き押し相撲に変更。
小柄な体から繰り出される、速攻の突き・押しの取り口から「F1相撲」と評された。
このほか「角界のマイク・タイソン」と評した力士もいた。
そのスピードは第55代横綱 北の湖や第68代横綱 朝青龍に匹敵したと言われている。

1988年3月場所に十両に昇進。
1989年5月場所に20歳の若さで新入幕を果たした。
1990年5月場所には横綱・北勝海を破り初金星をあげ9勝6敗と勝ち越し、初の三賞となる敢闘賞を受賞。
7月場所では東前頭筆頭で横綱・千代の富士、大関・北天佑を破るなど9勝6敗で初の殊勲賞を受賞。

9月場所で新三役(小結)に昇進し初日に北勝海を破るなど9勝6敗と勝ち越し、2場所連続2回目の殊勲賞を受賞した。
11月場所には新関脇に昇進。大関・霧島、小錦、横綱・旭富士を破るなど初日から6連勝の活躍を見せ10勝5敗と二桁勝利を挙げ、3場所連続の殊勲賞と初の技能賞を受賞。

翌1991年(平成3年)1月場所には初日から8連勝の活躍を見せ11勝4敗と2場所連続で技能賞を受賞し、5場所連続の三賞となった。
2場所連続して2桁の勝ち星を挙げいよいよ大関昇進が現実的になっってきた。

琴錦、重婚スキャンダルで譴責処分に…。

大関取りを目前に控えた1991年3月場所前に琴錦の女性問題が発覚。
木下佳子さんとの婚約を報じられた琴錦は、これを否定。
埼玉在住の女子学生と結婚を前提に交際しているとしたが、佳子さんとの入籍と妊娠が明らかになった。
さらに琴錦は既に入籍しているのに「婚約を解消し女子学生と結婚する」とか「どっちも好きだし…」などと人間性を疑われるような言動を繰り返してしまう。
その結果、「重婚をするつもりか。」とマスコミから気の毒なぐらいバッシングされ、『さまよえる下半身』という秀逸かつ不名誉なニックネームを付けられた。

最終的には佳子さんとよりを戻したが、この騒動を重く見た日本相撲協会は琴錦と佐渡ヶ嶽親方に対して譴責処分を発表、「相当の好成績を挙げない限りは大関昇進はありえない」と厳しい対応を決めた。

このスキャンダルにおいては嫌々婚約者の元へ戻ったと伝わっているが、子供が誕生すると一転して子煩悩ぶりを発揮したことも話題になった。

師匠の佐渡ヶ嶽親方は大関誕生の期待をかけながらも琴錦の素行面を不安視していたが、その不安が的中してしまった。
佐渡ヶ嶽親方も責任を問われ20%の減俸3か月と譴責処分を受けた。

当時の週刊誌記事

この場所では前例のない辛辣な野次を浴びた影響もあってか、9勝6敗に終わり大関昇進の絶好機を逃してしまった。
その後も5月場所は8勝7敗と勝ち越したが、7月場所は場所中に左足首を痛める不運もあり4勝11敗と不本意な成績に終わり関脇から陥落した。

琴錦本人は周囲の大関取りの期待に応えようと「勝たなきゃ!」と強く思いすぎて空回りしたと語っている。

この場所は同部屋の兄弟子琴富士が平幕優勝した場所だったが、場所後の打ち上げでは自ら歓喜の輪に入らず、隅の方で一人寂しく兄弟子の姿を眺めるだけだったという。

琴錦、どん底から復活の初優勝

自分の撒いた種とはいえ、琴錦の落ち込みは相当のもので、一時は廃業も考えたという。
そこで1991年7月場所が終わると師匠・佐渡ヶ嶽親方は落ち込む琴錦をリフレッシュさせるため強制的に故郷に帰した。

故郷でも周りから白い目で見られると思っていた琴錦だが地元のファンの温かい励ましを受けたことでやる気を取り戻し、怪我の治療をしながら稽古に励むようになった。

そして迎えた9月場所。
東前頭5枚目まで番付を下げた琴錦だったが、快進撃を続け優勝争いに加わる。
部屋の同僚は優勝争いを行っている琴錦に気を使いげんを担いで、食べるもの・タクシーを呼ぶ時間・通る道などを同じに合わせてくれていたという。

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