カリギュラ(Caligula)

ニューヨーク出身だが若い頃からヨーロッパを放浪し、コック・俳優・探偵・漫画家などの職を転々とするデタラメな人生を送った後、雑誌の編集に関わったのを契機に出版業界に参入、イギリスで猥褻本の通販に成功して荒稼ぎをし、そこで得た資金を元にアメリカでエロス本ペントハウスを創刊し、それ売れて大富豪となったボブ・グッチョーネ製作総指揮による、一流のスタッフ・キャストを集めて作り上げた豪華絢爛歴史スペクタクルハードコアポルノです。

ボブ グッチョーネ- 2010年10月没
Bob Guccione - Wikipedia
スタッフ

ポルノ映画への改変

ようするに、脚本のゴア・ヴィダルは口の悪さから他のスタッフとトラブルを起こし現場を追放、
監督のティント・ブラスはこの映画をただのポルノで終わらせるのをヨシとせず、思想性を大盛りにしようと企んでクビ、
これまでに二度のアカデミー賞受賞経験のある美術監督のダニロ・ドナティは、湯水のように金を使って桁外れにゴージャスなセットと衣装を共に異常な量(セット数は64、衣装総数は3592着)作成。
そんな紆余曲折を経て映画は何とか撮影終了するのだが、エロスが足りないと感じていたボブは、自分自身の演出によってファックシーンや、男女性器大写しシーンなどを撮り足し、映画をぶち壊しに。

そうして出来上がった『カリギュラ』は、どう考えてもR指定間違いナシ、一般劇場での公開不可能な完全成人映画になったが、ボブはMPA(日本で言う映倫みたいなもの)を通さず、独自に映画館を開業してソコで『カリギュラ』を上映してみせるという荒技を見せる。
批評的には散々だったが、話題性だけは抜群だった『カリギュラ』は、通常の映画よりはるかに高い入場料ながら全米で爆発的にヒットし、海外配給も大成功に終わる。
ストーリー
ローマ帝国黎明期。
初代皇帝アウグストゥスの死後、義理の息子ティベリウスは第二代ローマ皇帝の座に就き、軍事・政治の両面に手腕を発揮して安定した治世を10数年行うが、堕落したローマ市民の享楽的な生活に対する引き締めを図った結果人望を失い、ついでにやる気も失ってカプリ島で隠居生活を開始する。
しかし、ティベリウスの不在を良い事に、腹心だった親衛隊長のセイアヌスが帝位への野心を丸出しにした活動を開始し、その果てにティベリウスの子ドルッススを暗殺するに至ったため活動再開する。
ティベリウスは速やかにセイアヌスを逮捕させると、その三人の子もまとめて処刑。
この処刑は、セイアヌスの子供の中に14歳になる少女がいたのだが、その少女が処女であったため当時のローマ法では処罰できないという問題にブチ当たり、死刑執行人がその少女を予めレイプしてから処刑したという、余談もあったりします。

ティベリウス -演 ピーター・オトゥール
元々強力だった猜疑心に磨きをかけたティベリウスは、厳格な政治というようなレベルを飛び越えた恐怖政治を開始する。
幾人もの元老院議員を“国家反逆罪”と断罪して処刑、さらには市民に対しても理不尽な罪状での逮捕・処刑を繰り返し、ローマを恐慌状態に陥れることとなります。

梅毒を病み、狂気の皇帝と化したティベリウスの統治が続く中、その後継者とされていたティベリウスの甥の子カリギュラは、溺愛する妹のドルシラとの近親相姦や、腹心の親衛隊長マクロの妻エンニアとの夫公認の不倫に溺れる肉欲ライフを満喫していた。

右ドルシラ -演 テレサ・アン・サヴォイ
しかし、身辺警護の兵士が微かに酒臭かったのを理由に、その兵士の股間を縛り上げ大量の酒を口から流し込み、お腹がパンパンになったところで膀胱辺りを剣で貫いてみせる無意味な残虐性や、自分の後継者をカリギュラの弟であるジェメルスに変更しようとする素振りを見せるティベリウスに、カリギュラは徐々に不安を感じ始める。
そのカリギュラの不安は、ティベリウスが自分をさりげなく毒殺しようとしたコトによって恐怖へと変わる。
カリギュラは毒物のエキスパートである宮廷医師カリクレスを抱き込み、ティベリウスを速やかに葬り去るための計画に着手する。

それが効を奏したのか、或いは側近中の側近であったネルバの自殺によって心が折れたのか、80近い老境にある病人とは言え一年は持つ健康状態だったティベリウスは、突然の重篤状態になる。
その知らせを聞いたカリギュラはマクロと共に嬉々として病床を訪れ、既に死んだと思われたティベリウスから皇帝の証である指輪を取ろうとするが、突如ティベリウスが息を吹き返したのに驚き、反射的に鈍器のようなものを手にして殴り殺そうとする。
それをしたらカリギュラが暗殺者として糾弾されると考えたマクロは、カリギュラを制止すると自らが手を下し、ティベリウスを窒息死させる。
カリギュラの時代が始まる

カリギュラ - マルコム・マクダウェル

巨大芝刈り機を使ったマクロの処刑シーンは残虐性故非常に有名
元々精神面に難のあった25歳の青年は、無限の権力を手にしたコトによって狂気の暴走を開始する。


カエソニア - 演ヘレン・ミレン
Junichi@Zeque Prod.さんはTwitterを使っています: "今日のヘレン・ミレン祭りはここだと聴いて・・・。『カリギュラ』のカリギュラの妻、カエソニアですよ。 http://t.co/tdzdNl3ESD"
自分の妻の出産を一般公開する…そんな彼は、妹ドルシラをひたすら愛し、 信頼していた。しかしその妹が娘の誕生と同時に熱病で亡くなったことにより、 彼の狂気を頂点へと追いやる拍車をかけた。
http://plan13th.blogspot.jp/2009/02/blog-post_748.htmlPlan 13th from outer dimension ~異次元の13日計画~: カリギュラ
ドルシラの死というショックに打ちのめされたカリギュラは、宮殿を抜け出してローマの街をさまよい、果ては酔っ払いとカン違いされて牢獄に放り込まれるが、やがて正気…というか通常通りの狂気を取り戻したカリギュラは狂気とともに宮殿に舞い戻る。
ドルシラというブレーキ役を失ったコトによって手に負えない異常者へと進化し、自らの神格化まで宣言したカリギュラは、ローマをより一層の狂乱の中に叩き込んだ。

カリギュラ効果
日本での扱い

日本では一般映画館で上映されたが、当時はヘアーも禁止されていたので、
肝心な場面ではモザイクだらけで何が何やらさっばりわからなかったそうです。
ローマ帝国5代皇帝 暴君ネロ
カリギュラの死後、カリギュラの伯父クラウディウスが第四代皇帝となる。
第四代皇帝クラウディウスは、カリギュラ妹アグリッピナを娶る。
このアグリッピナの産んだ子供が、第五代皇帝ネロである。
アグリッピナはクラウディウスの妻ですが、カリギュラは妹全員と肉体関係を持っていたため、アグリッピナの連れ子であったネロはカリギュラの息子であるという説もある。

ネロ
舞台化もされています
カリギュラ
コクーンブロデュース
観劇日:2007/11/09
劇 場:シアターコクーン
脚 本:アルベール・カミュ
演 出:蜷川幸雄
出 演:小栗旬/若村麻由美/横田栄司/勝地涼/長谷川博己/月川悠貴/塾一久
青山達三/磯部勉/廣田高志/新川將人/宅嶋渓/冨岡弘/今村俊一/田村真
栗田愛巳/鍛冶直人/大富士/福田潔/井面猛志/KAI/野辺富三/石田佳央
明石伸一


じっくり見たい方はこちら

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