【ドゥ・ザ・ライト・シング(Do the right thing)】パブリック・エナミーと一緒に振り返ってみた

【ドゥ・ザ・ライト・シング(Do the right thing)】パブリック・エナミーと一緒に振り返ってみた

 スパイク・リー監督による1989年制作の映画で「問題作」と言われることも多いです。日常生活の何気ない、さりげないすれ違いがきっかけとなって起こる、アフロ・アメリカン(黒人)とイタリア系、さらにはアジア系までを巻き込む人種間の摩擦を、ニューヨークの猛暑を舞台に描いています。またHipHop界の大御所パブリック・エナミーの「Fight the power」も映画に多大なインパクトを与えているので、映画と同時に振り返ってみたいと思います。


物議もかもしたことも

 この映画が公開された当時、アカデミー賞で、
「『ドゥ・ザ・ライト・シング』はもっとノミネートされてもいいはず」
(脚本賞にノミネートされています)
 という抗議が起こったことを覚えています。

 そういえば、今年(2016年)も、同じようなことがありましたね。
「OscarsSoWhite(オスカーは白過ぎ‥)」と言われ、有色人種はアカデミー賞にノミネートされることすら少ない、少なすぎる‥‥と。
 改善するというニュースもあったように思いますが、この映画からおよそ30年近く経ってもアメリカの映画事情が変わっていないことに、少々、複雑な想いを抱きました。

※下記はその件についての、スパイク・リーの見解も載っています。

オスカーボイコットで注目のスパイク・リーがベルリンで会見 : 映画ニュース - 映画.com

スパイク・リー

 映画もそうですが、スパイク・リー監督(この映画では出演、脚本、製作も)という人物にも注目してみましょう。

監督としてのスパイク・リー

最も偉大な黒人監督 Spike Lee (1958~) アトランタ生まれ   ●黒人映画を初めてメジャーで公開させた  ハリウッド映画なんてものは、白人だけしか出ないものである。僕がロサンゼルスを旅したときには、白人はほとんど見かけなかった。ほとんどの人が有色人種だった。それなのに、ハリウッド映画には白人しか出ない。これではあまりにも現実とギャップがありすぎる。サイレント時代から、映画に出演するスターはほとんどが白人。黒人はちょい役ばかり。60年代あたりから黒人を題材にした映画も沢山作られるようになったが、しかしスタッフは白人のままである。  ところが、スパイク・リーの登場で、ようやく生粋の黒人映画が誕生するのである。  スパイク・リーの映画には黒人しか登場しない。白人の人が出ないわけではないが、白人は脇役である。スタッフもほとんど黒人。  しかしこの手の映画は世間では受け入れられないのが現状で、最初はスパイク・リーも苦労していた。24歳にしていくつかの映画賞を受賞するも、大衆は振り向いてはくれなかった。だが、少しずつ評価されつつあった。  そしてようやく認められるときがくる。「スクール・デイズ」が全米でメジャー公開されたのである。メジャーに黒人映画が登場するのは初めてのことである。 ●今にも画面から飛び出しそうな映像力  スパイク・リーの映画はとにかく熱い。映像のワンシーン・ワンカットから熱気が漂っている。黒人のリズミカルで激しいトークは、画面からいかにも飛びださんばかりだ。スパイク・リーは映像だけでも説得力がある感性の作家である。現在のハリウッドでこれだけ映像力のある作家は他にはいない。  そして、スパイク・リーは真っ正面から黒人問題に闘いを挑む。その作家性にも敬服させられる。「マルコムX」は、リーの野心と情熱たっぷりで、そのパワフルな映像にはただただ驚くばかりだ。

http://static.cinema-magazine.com/old_page/kyosyo/spikelee.htm

巨匠の歴史

 確かに、アメリカ映画に白い肌の俳優・女優さんしか出ていない‥‥というのは、不自然な気がするのですよ。多民族国家なのに。
 そこに「おや?」と思ったスパイク・リー監督は、元々、映画をつくる才能に長けていたのでしょう。
 監督の作品も見てみましょう。

【フィルモグラフィー】 オールド・ボーイ (2013) 監督   BAD 25(原題) (2012)<TVM> 監督   アリーケの詩(うた) (2011)<未> 製作総指揮   セントアンナの奇跡 (2008) 監督/製作   インサイド・マン (2006) 監督   それでも生きる子供たちへ (2005) 監督   セレブの種 (2004) 脚本/監督/製作   25時 (2002) 監督/製作   10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス (2002) 監督   ヴァニシング・チェイス (2001)<未> 製作   キング・オブ・コメディ (2000)<未> 製作/監督/脚本   ワン・オン・ワン ファイナル・ゲーム (2000)<未> 製作   ベストマン (1999)<未> 製作   サマー・オブ・サム (1999) 監督/脚本/製作   ラストゲーム (1998) 監督/製作/脚本   ゲット・オン・ザ・バス (1996) 製作総指揮/監督   モハメド・アリ かけがえのない日々 (1996) 出演   ガール6 (1996) 監督/出演/製作   ニュージャージー・ドライブ (1995)<未> 製作総指揮   キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒 (1995)<未> 監督   クロッカーズ (1995) 監督/脚本/製作   ドロップ・スクワッド (1994)<未> 製作総指揮   クルックリン (1994) 脚本/製作/出演/監督   マルコムX (1992) 脚本/製作/監督/出演   ジャングル・フィーバー (1991) 出演/脚本/製作/監督   モ’・ベター・ブルース (1990) 製作/監督/出演/脚本   ドゥ・ザ・ライト・シング (1989) 監督/製作/脚本/出演   スクール・デイズ (1988)<未> 出演/脚本/監督   シーズ・ガッタ・ハヴ・イット (1985) 出演/脚本/監督   ジョーズ・バーバー・ショップ (1982) 監督/脚本

http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=12836

allcinema

マルコムX

 デンゼル・ワシントン主演の「マルコムX」も話題になり、またこれも物議をかもした問題作と言われましたね。キング牧師ではなく、マルコムXの方を‥‥というのが、スパイク・リー監督らしいと思いました。

ドゥ・ザ・ライト・シング(Do the right thing)の意味

通りの名前にまでなっている「Do The Right Thing」という言葉

 個人的なことですが、10年くらい前、あるアメリカの方々とインターネット上ですが交流することが多かった時期がありました。
(とあるバンドのファンクラブが当時はアメリカにしかなかったので)
 英語はさほど得意でないのですが、それでも辞書やら片手に、好きなバンドの話で盛り上がり、楽しい時間も過ごしたりしました。

 でも、どうしても「ああ、自分って日本人なんだな」と感じた瞬間というのが、この言葉‥‥

 RIGHT(正しい)
 WRONG(間違ってる)

 でした。
 アメリカの方々(少なくともその時に交流した)は、この二つの言葉をよく使用されていました。

 「その中間、中庸を行くって方法もあるじゃない」
 と言うのは、日本人の私くらいだったように思います。カルチャー・ギャップなのでしょうか‥‥・。
 日本とアメリカ‥‥置かれている環境の違いを、その言葉でも思い知ったように感じました。

 多様性と言えば聞こえがいいかもしれないけれど、きっと「正しい」「間違ってる」をはっきり表現しなければ、生活していけないのかもしれないですね。

映画を観た人々の感想(カスタマー・レビューより)

 私の感想だけでも心もとないので、Amazonカスタマー・レビューを読んでみました。
 クマおたく様とこなー様の感想を引用させていただきます。

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